※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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番外編。


雪が溶けたら

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 雪が降っている。

 三門市が死んだみたいに見えた。もっと降り積もれと思わなくもない。

 季節が巡り、やがて春が来る。また、オレの両親を置き去りにして。

 

「直」

「洸太郎…………」

 

 窓の外を見ていた俺の手を取り、恋人が心配そうな顔をした。

 

「どうした?」

「いつものことだよ。時の流れが恐ろしくて。それだけ」

「それだけってこたぁねーだろ」

 

 自傷みたいな言葉を咎められる。

 

「……寒いのは嫌いだ」

「だな。帰ろうぜ」

 

 オレと手を繋いだまま、雪降る街を歩いてくれるおまえに救われた。この温もりが、オレの全てだ。

 当たり前のようにオレの家に上がり、共に過ごしてくれる。

 

「愛してるって、それだけ言って」

 

 隣に座るおまえにワガママを言う。顔を上げられない。

 

「愛してるよ、直」

「うん。うん、ありがとう」

 

 洸太郎の両腕が、オレの顔の方に伸ばされた。頬に手を添えられて、目と目が合う。

 

「泣いてねーな?」

「なんとか」

「俺は、おまえの笑顔が好きだ。でも、別に泣くのを我慢しなくていい」

「…………」

 

 雪解けみたいに、涙が流れた。どうしようもなくて、洸太郎に抱き付く。

 

「……いなく、ならないでほしかった。ずっと一緒にいてほしかった。オレ、オレは…………」

 

 恋人が、優しく背中を撫でた。

 

「ただ、独りでいたくなかった……!」

 

 嘆きは、波のように寄せては返す。

 

「大丈夫だ。俺がいる」

「隣にいるのが、おまえでよかった…………」

 

 愛してる。オレは、おまえを運命にしたんだ。

 泣き止んでみたら、外は吹雪いている。

 

「泊まってけ」

「そうする」

 

 半ば同棲してるみたいなもんだけど。いつでも新鮮に嬉しい。

 

「おまえは、無理に喋らなくていいし、無理に笑わなくていいし、独りじゃねぇ」

「ああ。ありがとう。オレ、もう大丈夫だから」

 

 そう言って笑うと、頭を撫でられた。

 

「そういや、知ってっか?」

「ん?」

「俺たち、一部から、ヤンキーふたり組だと思われてるらしいぜ」

「おまえが金髪だからじゃん?」

「直も、スーツの着こなしがヤカラみてーなんだよ」

「えー」

 

 理不尽な。まあ、そんなものは跳ね返せばいい。

 この世界は、偏見という抜け出せない檻で出来ている。

 独りでは立ち向かえなくても、おまえがいれば戦えるよ。

 オレは、言葉で。おまえは、散弾銃で。武器は違うけど、ボーダーの仲間だ。

 ずっと、背中を追いかけてたが、今は並んでるから。

 

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