※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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番外編。


青葉食む

 目を覚ますと、いつも通りに隣におまえがいる。

 オレは、毎日、それを幸福に思う。

 しばらく、少し幼く見える寝顔を眺めていると、恋人が起きた。

 

「……はよ」

「おはよー」

 

 あくびをしながら、ふたりで洗面所へ向かい、身支度をする。

 染めた金髪にワックスをつけて立たせると、いつもの、パッと見ヤンキーなおまえになった。

 そう言うオレは、染めた茶髪である。オレたちは、よくヤンキーふたり組みだと思われていた。他人のことなんて、どうでもいいけど。

「飯、何がいい?」と訊かれた。

 

「パンがいいな」

「了解」

 

 オレは、料理があんまり出来ないから、基本的には作ってもらってる。

 今日のメニューは、トーストと目玉焼きとカリカリのベーコンと炒めたキャベツ。それらが、ひとつの皿に乗せられて、オレの前に置かれた。

 そして、向かいに座るおまえの前にも。

 

「いただきます」

 

 ふたりで、声を揃える。

 バターが塗られたトーストの上に、ベーコンと目玉焼きを乗せて、齧った。

 

「美味いな」

「おまえが作るよりはな」

「んだよ、バカ!」

「はは。悪り。おまえは、甘いもんを極めりゃいい」

 

 恋人は、にっと笑う。その笑顔を向けられると、なんでもゆるしてしまいそう。

 トーストを二枚食べ終えてから、塩コショウがかかったキャベツを食べる。

 恋人は、オレが美味しそうに物を食べるのを見るのが好きらしい。時々、食事を忘れて、じっとオレを見ている。

 オレが、ひとりだと、散々な飯を食ってるのを知ってるからだろう。

 ゼリー飲料ひとつ。袋ラーメンを砕いてバリバリ食う。プロテインバーを一本だけ。バナナとヨーグルトのみ。そんな感じになる。

「そりゃあ、餌だろ」って言われたっけ。

 確かに、おまえと一緒に住み始めてからは、食生活が改善されたけど。

 餌って言うほどヤバいの?

 

「ごちそうさま」

 

 食後。淹れてもらったコーヒーを飲む。オレのは、砂糖とミルクとチョコレート入りだ。甘党だから。

 おまえが窓の外を見てるから、オレも視線をやった。

 庭の木の青葉が、風に吹かれて揺れている。

 外は、きっと気持ちいいだろう。

 

「庭に出て、煙草吸おうぜ」

「賛成」

 

 オレの提案に乗ってくれた。

 ステンレスの灰皿を持って、庭へ出る。心地よい風と木漏れ日を受けながら、オレたちは煙草に火を着けた。

 

「ふう」

 

 すっかり慣れた、お互いの煙草の匂い。オレの、ほんのりバニラの香りがする煙草と、おまえの煙草の香り。

 

「昼は、面倒見れねーんだから、ちゃんと食えよ」

「はいはい」

「忙しくても、ゼリー飲料だけで済ますな」

「はーい」

 

 仕事に行くまで、穏やかな時間を過ごした。

 そんな、五月の新緑の頃。

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