※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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番外編。


月を見ている火

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 ぱちりと、目が覚めた。

 時刻は、朝の四時。早朝覚醒だ。

 ベッドから、上半身を起こす。

 隣では、洸太郎が眠っている。

 寝顔を眺めて過ごすことにした。

 昨夜、抱いた時は、可愛かったなぁ。普段はカッコいいんだけど。

 部屋の中には、家のシャンプーのひまわりの香りと、ふたりの煙草の匂いがしている。

 オレたちは、同じような香りがするんだろう。それは、幸せなことだ。

 二時間ほど、おまえを見つめていた。

「……はよ」と、あくび混じりに洸太郎が起きる。

 

「おはよー」

「いつ起きた?」

「四時」

「そうか」

 

 眠りが浅いオレを慰めるように、頭を撫でられた。

 ふたりで身支度をして、朝食を摂る。

 今日は、オレはメディア対策室で仕事。洸太郎は、防衛任務が入ってる。

 一緒にボーダー本部まで歩いた。

 

「じゃあ、後でな」

「ああ、また」

 

 それぞれの仕事場へ向かう。同じ香りが別れていく。

 始業時間。オレは、デスク前に座り、パソコンでボーダーのアンチの動向を観察し、報告書にまとめる。

 休憩時間。喫煙室で、煙草を吸った。ほんのりとバニラの香りがする。

 煙草に火を着けると、この火はオレだと思う。諏訪洸太郎への感情を燃やし続ける炎。それが、オレの本質なんだと思う。

 洸太郎は、オレの月灯りだ。

 オレの暗闇を照らす、優しい光。

 でも、アイツにとっては、オレが光らしい。炎だから。

 この火は、消えたりしない。

 かつて、オレは火を隠して、煙だけ吐いてたけど、今は素直に生きている。

 洸太郎のおかげだ。

 オレはもう、気持ちを閉じ込めはしない。おまえが受け止めてくれるから。

 救ってくれたのが、洸太郎でよかった。

 きっとオレは、正しくない。でも、いいんだ。おまえが愛してくれるなら。

 オレの人生は、間違っていない。

 仕事は、つつがなく済み、終業時間。帰り支度をして、喫煙室へ行く。

 一服していると、洸太郎が来た。

 

「よう」

「お疲れ」

「お疲れさん」

 

 しばらく、煙草を吸いながら、他愛ない話をする。

 

「帰るか」

「うん」

 

 灰皿に吸い殻を入れて、オレたちは歩き出した。同じ家に帰ることが出来る幸せを噛み締めて。

「ただいま」「おかえり」を互いに言い、靴を脱ぐ。

 着替えてから、ふたりでソファーに並んだ。

 

「キスしていい?」

「いいぜ」

 

 喫煙者同士のキスは、おまえとのキスは、安心する。

 永遠に消えない火は、月を愛していた。

 

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