※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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IF。


Cat

 愛されたかった。愛してもらえるなら、オレは別に人間じゃなくなったっていい。

 かくして、貝瀬直の願いは叶った。

 

◆◆◆

 

 雨の中、捨てられていた黒猫を拾う。

 諏訪洸太郎は、とりあえず、自宅に猫を連れ帰った。

 雨に濡れた猫を綺麗なタオルで拭いてやり、温めたミルクを与える。

 

「どうすっかな」

 

 猫を飼える者を探さなくてはならない。メッセージアプリを起動し、とりあえず同い年の仲間のグループチャットに猫の画像を送った。

 

『捨て猫拾った』

 

 すぐに、既読がつく。そして、3人分のメッセージが返ってきた。

 

『猫に煙草はダメだな』

『手分けして飼える奴を探そう』

『りょ』

 

 貝瀬からだけ、反応が一切ない。

 

「っかしーな、貝瀬から返事がねーなんて」

「にゃー!」

「どうした?」

「にゃ」

 

 抱き上げると、猫は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。

 頭をすり寄せて、甘える猫。

 

「ははっ。なつっこいな、おまえ」

「にゃ~ん」

 

 猫は、上機嫌で返事をする。

 諏訪は、優しく頭を撫でてみた。

 

「にゃんっ」

「………」

 

 黒猫は、目を閉じて、諏訪を信頼し切っているように見える。

 

「……可愛いな」

「にゃー」

 

 この猫の飼い主が見付かるまで、禁煙しよう。

 それから、三日後。猫の飼い主候補が何人か見付かったが、黒猫は諏訪以外には懐かなかった。酷く暴れるので、仕方なく、諏訪は猫と同居し続けている。

 他にも、心配事があった。

 貝瀬直が消えてしまったのである。家は、もぬけの殻。連絡もつかない。

 

「直…………」

 

 ぽつりと、友人の名前を呟くと、「にゃあ!」と猫が返事をした。

「どうした? おまえ、直って名前なのか?」

「にゃあ!」

「ははは……」

 猫の“直”は、諏訪の頬を舐める。

「コラ。ざらざらするだろ」

「にゃー」

「直」

「にゃあ!」

「貝瀬直は、どこ行ったんだ?」

「にゃ!」

 何も言わずに消えられるような男じゃねーんだよ。アイツは。

 つまり、“何も言えずに”いなくなったということ。事件? 事故?

 心配になる。不安になる。煙草が吸いたい。

 

「にゃ~」

「ああ、大丈夫だ、俺は。アイツも、直みたいに素直な奴だったらよかったんだけどな」

「にゃん」

「アイツ、俺のことが好きなんだと。ったく、好きな奴に心配かけんなよ」

「にゃ~」

 

 直は、何故か申し訳なさそうな鳴き声を上げる。

 

「おまえは、急にいなくなんなよ」

「にゃ!」

「本当に、俺の言ってることが分かるみてーだな」

 

 そんなはずないのに。

 

「アイツ、見付けたらシバくぞ、流石に」

「にゃ~ん」

 

 腕の中の黒猫が、慰めるように鳴いた。

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