※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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IF。ガチ恋粘着獣オマージュ。


友にガチ恋ヤバ男

 想い人が、見知らぬ女に告白されているのを見てしまった。

 死んでください。死んで。死ね。頼むから、死んでください。

 貝瀬直は、恋敵の死を願った。

 諏訪洸太郎に、オレはフラれたんだ。オレのものにならなくてもいいから、誰のものにもならないで。

 この恐ろしい執着に、貝瀬は“恋”と名付けた。一方で、“祟り”だとも思っている。

 ゆるせない。許せない。赦せない。

 おまえが、誰かのものになるなんて嫌だ。絶対に嫌だ。

 優しいせいで。人が好いせいで。面倒見がいいせいで。いつも、人に慕われている。

 呪わしいよ、その人間性。性格。存在。消えてほしい。嘘。全部欲しい。全部ください。

 関わるんじゃなかった。他人なんかに。おまえに。

 ずっと、居心地のいい揺りかごの中にいればよかったんだ。

 ああ、でも、揺りかごは壊されたんだっけ。

 だから、えーと。

 思考が、ぐちゃぐちゃになる。貝瀬は、爪を噛んでいたことに気付き、代わりに煙草を取り出し、火を着けた。

 ほんのりバニラの香りがする煙草は、少し気分を落ち着かせる。

 しかし、ギラつくその眼光は、荒い呼吸は、獣のようだった。

 声をかけたのは、自分から。でも、優しくしてなんて頼んでないし。優しくされたから、好きになってしまっただけ。オレがおかしくなったのは、おまえのせいだろ?

 責任を取れよ。オレを化物にした責任を。

 

「は、はは…………」

 

 片手で、口元を隠す。この牙で、おまえに喰らいついてやろうか?

 貝瀬は、ふらふらと歩く。偶然、喫煙室まで人に会わなかったから、歩き煙草を注意されなかった。

 無人の喫煙室で、貝瀬は項垂れる。

 病院行ったら、治してくれんの?

 そんなことを考えていると、諏訪がやって来た。

 

「よう、貝瀬」

「おう」

 

 平静を装う。ちゃんと笑えてるかは、分からないけれど。

 諏訪が、自然に隣に座るから、貝瀬は叫びたくなる。

 いや、諏訪からしたら、オレは友達だし。隣に座るのなんて、特別なことじゃないし。

 貝瀬は、必死に自分の中の獣性を押さえ付ける。

 

「貝瀬」

「なに?」

「煙草、危ねーぞ」

「……ああ、サンキュ」

 

 短くなった煙草が、指を焼こうとしていた。急いで、灰皿に押し付ける。

 オレは、世界で一番、おまえのことが好きなんだから、おまえの一番がオレじゃなきゃ嫌だ。

 友達のひとりじゃ、我慢出来ない。仲間のひとりじゃ、我慢出来ない。ただの他人には、戻れないんだよ。

 オレのことを好きな人を好きになれたらよかったのに。

 貝瀬直の、重くて粘性のある感情には、果てがない。

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