※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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ワートリ11周年記念。
IF。年齢加算。


11年

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 今日、32歳になった。

 洸太郎と付き合ってから、11年近く経ったのか。

 

「はよ。誕生日おめでとう、直」

「ありがとう」

 

 朝、目覚めた恋人に祝ってもらえた。幸せだ。

 ずっと、ずっと、おまえのことを愛してるよ。

 冷めない穏やかな恋を、愛と呼んでも許されるだろうか?

 嵐は過ぎ去り、凪が訪れたオレの人生は、おまえがいなきゃ成り立たない。

 

「どうした? 直」

 

 オレが、じっと洸太郎を見つめていたからか、そう訊かれた。

 

「いや、愛しいなって思って」

「……なんだよ」

 

 照れくさそうに笑う洸太郎。

 一足先に32歳になったおまえは、何を思ったんだろう?

 オレの手を取ったこと、後悔はさせたくない。

 隣にいてくれるってことは、嫌がられてないだろうが。

 

「洸太郎はさ」

 

 ベッドの上に並んだまま、オレは尋ねる。

 

「オレに出会ったこと、どう思ってる?」

「事故」

「えっ!?」

「自損事故だな」

「どういうこと?」

 

 不安になってきた。

 

「俺は、おまえをほっとけなくて、ずっと見てた。そしたら、落ちたんだよ。気付きゃ、恋っつーか、愛みてーな感情を抱いてた」

「そっか…………」

 

 一安心。そして、顔が熱くなってきた。

 ああ。オレも、そうだな。事故みたいなもんだったよ。

 偶然だったんだ。おまえを見かけたのも、声をかけたのも。

 ボーダーの仲間になって、友人になって、恋人になって、愛を抱いて。今がある。

 精神的な支柱なんだ。人生に欠かせない存在なんだ。どうしようもなく愛してるんだ。

 お互いにそうなら、本当に嬉しい。

 オレは、あまり物語を読まない人間だけど、もし、おまえが一冊の本だったなら、手に取るよ。

 オレという物語と一緒に、最後まで歩いてほしい。

 洸太郎は、オレのことを炎(ひかり)だと言った。

 オレは、洸太郎のことを月(ひかり)だと言った。

 いつまでも、互いを照らそう。

 

「直、飯にしようぜ」

「おう」

 

 ふたりで洗面所に向かい、身支度をする。

 鏡に映る自分を見るのが嫌じゃなくなったのは、いつからだったか。

 朝食は、洸太郎が用意してくれた。オレは、料理のセンスがないから。代わりに、後片付けをする。

 本日の天気は、晴れ。

 

「洗濯日和だ」

「そうだな」

 

 こんな日常が、壊されないことを願う。願うだけじゃない。努力する。

 オレは、自分にも出来ることがあると知ってるから。

 隣に手を伸ばすと、優しく掴まれた。

 この手を、決して放さないで。

 

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