A: 今はノーコメント
008 - 夕日を観に行こう
12分のロードを超えて、キャラクリ。100年前*1の3Dグラフィックで、男か女かの2択。まあ、どっちにしろDクラス職員だからね。服装の自由なんかあるわけない。女性を選ぶと、そこからさらに5分のロード。
その後、アセット流用であることを隠そうともしない独房。いや、100年前クオリティのアセットって何!? さらにここで30分意味もなく待たされる。
今、プレイしているのは「SCP Not Light」。平均評価は⭐️☆☆☆☆。
30分経過すると、ドアがぱかっと開く。ので、出ようとすると、ロード40秒。フルダイブでこれやられると感覚が変なのよね。
ようやく出られたと思って辺りを見回そうと左を見たら、右から石のような感触。そして首に激痛が走るとともに視界が一回転して死亡。石を擦る音なんかなかった。
今のはおそらくSCP-173。見続けてないと首をへし折りに来る彫像。出たらすぐに右を見るべきという初見殺し。
というわけで、出たら、すぐに右を向く。そこにいたのは、
どうやら173か096かのランダムらしい。おまけにこのゲーム、セーブ機能なんかないわけで、死ぬたびに30分待つところからやり直しになる。価格? フルプライスだよ。
あと、死ぬ時が死ぬほど辛い。そういえば、SAO問題*2ってあるけど、その対策をしていないのかな? いや、そんなゲーム売らないでよ。死にたくないよ。
TAKE3、173を引いた! 瞬きをせずに後退りして……ロード入りまーす。40秒くらい。
数分探索して得たアイテムは、懐中電灯と育良啓一郎の写真。わかったことは、区画移動や部屋に出入りするたびに40秒くらいのロードが入ることと、たぶん、敵は173とシャイガイの2体だけで、どちらもロード超えると消える。
どうすればいいかも提示されないので、トロコンを目指してみる。が、もうラス1。このサイトの全部屋を探索したら達成。
そして、難なくトロコンとろろ昆布。いやー、虚無虚無です。
現実世界に戻り、隣のベッドを見る。まなも同じゲームをしていたが、もう戻っている。
「どうだった?」
まなに訊いてみる。
「死ねなかった……」
「えっ、死のうとしてた!?」
まさか、SAO問題に期待するとは……。
「ただ苦しいだけだった……。死って、超気持ちいいと聞くんだけどね」
「そうなの!?」
「うん。脳内麻薬がドバドバ出て。走馬灯や臨死体験もそれによるとか。天国とかもたぶんそれ。時間も無限に引き伸ばされて、永遠の快楽を味わう……」
まなは生き生きと語っている。こんなこと言っているけど、まなはリストカットはしないようだ。腕に傷跡がない。代わりに左手に歯型が付いている。
「……ねえ、まな」
「何?」
「もしかして、死にたい?」
「わ、わりと」
目が泳いでる。
「でも」
泳ぐのやめた。
「辛いのは嫌」
「そう……」
逆に言えばそれは、辛くなければ死ぬということ。
「コロニーごと逝けたら良かったんだけど、やっぱ他人巻き込むのはダメだよね」
「それで月行くのも謎だけどね」
「うん……。なんであんな行動したんだろ? 私」
「さあ?」
まなにわからないんなら、誰にもわからないよ。
「逆にさ」
「?」
「伊音は、生きてるのって楽しい?」
「えっ」
それは、予想だにしない質問だった。
「そりゃあ、楽しいよ」
「本当に?」
「うん。だってさ、今こうしてる間、楽しいでしょ? ゲームしたりとか」
「……うん」
「それに、友達と遊んでる時とか、美味しいもの食べてる時も、みんな楽しいでしょ?」
「まあね。でも、一時的な快楽。永くは続かない。必ず終わりは来て、それはとても辛い」
まなはベッドで沈むように横になると、右手を上に上げる。まなはよく寝る時にしている行動だ。
「それ、よくやってるけど、どういう意味?」
「明るいと意味ないんだけどね。こうして、手が闇に溶けているところを見ると、心地いい」
「そ、そう……。そういや、なんだかんだで訊くタイミング逃してたけど、解放の条件って何だったの?」
「条件? あー。なんかスカウトされた」
「スカウト?」
「うん。なんか、私の強さを見込んでとか。ほんと、私なんかを雇うなんてどうかしてるよね」
どうかしてるのはまなの思考回路だと思う。
「私なんか、弱いし、ブスだし、バカだし……」
嫌味か。どれもまなの得意分野でしょーが。
「断ろうとしたんだけどね。でも[編集済]」
急に、まなの声が聞こえなくなった。口は動かしてるんだけど、どう動かしているかまではいまいち読み取れない。
「ごめん。聞こえない」
「だから、[編集済]」
やっぱり聞こえない。こんなことは初めてじゃない。地下9階について先生に訊いた時もこうだった。
「ごめん。まだ聞こえない」
「もういいよ」
勝手に諦められた。
「まあ、そんなわけで、クミフダ社所属になりました。たしか、Speed-Card-Protection大剛才衆の一角、ジョーカー・ノワール」
「え!? あの、
「いや、大それてるよ」
「お前の目は節穴か〜!」
とまなの頬をぐりぐりする。
まながランダムマッチを始めてしまったので(ああ、今日も犠牲者が……)、私は別のゲームをすることにした。「エターナル・エタニティ・フォーエヴァー」。20年前にサービス開始してから、同接0人の日が何日もあるのに、いまだにサ終していない謎のVRMMORPG。
20分のロードを乗り越え、都市ビッハン。20年前どころか100年前*3の3Dグラフィック。BGMだけは良い。辺りを見回すが、プレイヤーが1人もいない。MMO要素は皆無。
私も3ヶ月ぶりのログインなので、ステータスを確認しよう。
JOB: SWORD
LEBEL: 1
CRAN: NOT IN
HP: 100/100
MP: 50/50
ATK: 10
DEF: 5
INT: 0
RES: 0
AGI: 10
LAK: 5
色々間違っているらしいけど、私の英語力ではわからない。
レベルが上がりづらく、50分くらいで止めちゃったんだったな、そういえば……。
「とりあえず、肩慣らしといきますか」
街から出る。ちなみに、さっき出てきたSAO問題だけど、このゲームでは解決されていない。この辺りの世代の多くのゲームがそんな感じで、だからこそ鹿児島では人気が高いとか。このゲームの話じゃないけど。
かくゆう私もこういうのはワクワクする。
おっ。ちょうどいいのがいた。ネネネ。タヌキに似てるけど、毛の色は灰色。耳と鼻は低い。
「早速これを試すか」
ジャンプしながらステータスを開く。すると、下半身が地面に埋まる。この状態だと、ゲーム最大値の素早さで動くことができる。これで一気に距離を詰める。ネネネがこっちに気づいた時には、私の刃は首を捉えていた。
ザクッ
音がチープ。首を斬ったけど、斬れてない。これでも最弱のモンスターなんだよ。
ネネネは反撃してくる。爪で引っ掻いてきたり、噛み付いてきたり。でも、私はそれを避ける。たまに当たっても微ダメ。そして、隙をついて斬る。
ザクッザクッザクッ
30回くらいでようやく倒れた。ゲームバランスがこんな有様なんです。
ドロップアイテムを確認しようとした時、視界が揺れ、巨大なワームが現れた。
「最悪」
ジャイアントワーム。推奨レベルは30。今の私では太刀打ちできない。
「というわけで逃走!」
さっきのバグ技で逃げる。しかし、何かに下半身が当たって止まる。硬い。それは私の下半身に強く巻きつき、持ち上げた。
それは、ジャイアントワームの脚だった。ジャイアントワームはそのまま私を弄り始めた。
ヤられる!?
しかし、尻から先には入ってこなかった。100年前のグラフィックが幸いしたのか。穴がないのだ。現代でも、そこのディティール凝ってるゲームはR18以外じゃ珍しいけどね。
ジャイアントワームは口のあたりに、なんかエネルギーを溜めだした。なんか撃つ気だ。あれ食らったら死ぬ。リアルでも死ぬ。
仕方ない。緊急脱出だ。私はタスクマネージャを起動し、このゲームを強制停止。これやると、パーティーメンバー(いない)やサーバーに迷惑がかかる上、私も数時間意識飛ぶんだけど、死ぬよりはマシ。SAO問題が解決されていなかった頃にはよく行われていたらしい。本家SAOよろしく、この方法含めてログアウトできないゲームもいくつかあったようだけど。
意識が戻ると、1分足らずの作業をして、まなに提案してみる。
「まな、せっかくだから、どっか出かけない? ワープゲートもできたし」
「んな唐突な。まあ、いいけど」
「というわけで、ワープゲートでの行き先で、ルーレット作ってみました」
「おー」
早速、スタート。結果、新潟になった。
| クレジット |
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| タイトル: SCP-173 - 彫刻 - オリジナル 原語版タイトル: SCP-173 - The Sculpture - The Original 訳者: Dr Devan 原語版作者: Moto42 ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-173 原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-173 ライセンス: CC BY-SA 3.0 |
| タイトル: SCP-096 - "シャイガイ" 原語版タイトル: SCP-096 - The "Shy Guy" 訳者: 訳者不明 原語版作者: Dr Dan ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-096 原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-096 ライセンス: CC BY-SA 3.0 |
| タイトル: エージェント・育良の人事ファイル 作者: Ikr_4185 ソース: http://scp-jp.wikidot.com/author:ikr-4185 ライセンス: CC BY-SA 3.0 |