※この作品はR-18です。

Alt Key SCP-TCG-JP-J   作:Isaie

8 / 40
Q: コーライニン人Cはどこに行ったのですか?

A: 今はノーコメント


節城野村編
008 - 夕日を観に行こう


 12分のロードを超えて、キャラクリ。100年前*1の3Dグラフィックで、男か女かの2択。まあ、どっちにしろDクラス職員だからね。服装の自由なんかあるわけない。女性を選ぶと、そこからさらに5分のロード。

 

 その後、アセット流用であることを隠そうともしない独房。いや、100年前クオリティのアセットって何!? さらにここで30分意味もなく待たされる。

 

 今、プレイしているのは「SCP Not Light」。平均評価は⭐️☆☆☆☆。

 

 30分経過すると、ドアがぱかっと開く。ので、出ようとすると、ロード40秒。フルダイブでこれやられると感覚が変なのよね。

 

 ようやく出られたと思って辺りを見回そうと左を見たら、右から石のような感触。そして首に激痛が走るとともに視界が一回転して死亡。石を擦る音なんかなかった。

 

 今のはおそらくSCP-173。見続けてないと首をへし折りに来る彫像。出たらすぐに右を見るべきという初見殺し。

 

 というわけで、出たら、すぐに右を向く。そこにいたのは、SCP-096(シャイガイ)。見たら絶対殺すマン。Tポーズで滑って来る。私はあえなく死亡。

 

 どうやら173か096かのランダムらしい。おまけにこのゲーム、セーブ機能なんかないわけで、死ぬたびに30分待つところからやり直しになる。価格? フルプライスだよ。

 

 あと、死ぬ時が死ぬほど辛い。そういえば、SAO問題*2ってあるけど、その対策をしていないのかな? いや、そんなゲーム売らないでよ。死にたくないよ。

 

 TAKE3、173を引いた! 瞬きをせずに後退りして……ロード入りまーす。40秒くらい。

 

 数分探索して得たアイテムは、懐中電灯と育良啓一郎の写真。わかったことは、区画移動や部屋に出入りするたびに40秒くらいのロードが入ることと、たぶん、敵は173とシャイガイの2体だけで、どちらもロード超えると消える。

 

 どうすればいいかも提示されないので、トロコンを目指してみる。が、もうラス1。このサイトの全部屋を探索したら達成。

 

 そして、難なくトロコンとろろ昆布。いやー、虚無虚無です。

 

 

 

 現実世界に戻り、隣のベッドを見る。まなも同じゲームをしていたが、もう戻っている。

 

「どうだった?」

 

 まなに訊いてみる。

 

「死ねなかった……」

 

「えっ、死のうとしてた!?」

 

 まさか、SAO問題に期待するとは……。

 

「ただ苦しいだけだった……。死って、超気持ちいいと聞くんだけどね」

 

「そうなの!?」

 

「うん。脳内麻薬がドバドバ出て。走馬灯や臨死体験もそれによるとか。天国とかもたぶんそれ。時間も無限に引き伸ばされて、永遠の快楽を味わう……」

 

 まなは生き生きと語っている。こんなこと言っているけど、まなはリストカットはしないようだ。腕に傷跡がない。代わりに左手に歯型が付いている。

 

「……ねえ、まな」

 

「何?」

 

「もしかして、死にたい?」

 

「わ、わりと」

 

 目が泳いでる。

 

「でも」

 

 泳ぐのやめた。

 

「辛いのは嫌」

 

「そう……」

 

 逆に言えばそれは、辛くなければ死ぬということ。

 

「コロニーごと逝けたら良かったんだけど、やっぱ他人巻き込むのはダメだよね」

 

「それで月行くのも謎だけどね」

 

「うん……。なんであんな行動したんだろ? 私」

 

「さあ?」

 

 まなにわからないんなら、誰にもわからないよ。

 

「逆にさ」

 

「?」

 

「伊音は、生きてるのって楽しい?」

 

「えっ」

 

 それは、予想だにしない質問だった。

 

「そりゃあ、楽しいよ」

 

「本当に?」

 

「うん。だってさ、今こうしてる間、楽しいでしょ? ゲームしたりとか」

 

「……うん」

 

「それに、友達と遊んでる時とか、美味しいもの食べてる時も、みんな楽しいでしょ?」

 

「まあね。でも、一時的な快楽。永くは続かない。必ず終わりは来て、それはとても辛い」

 

 まなはベッドで沈むように横になると、右手を上に上げる。まなはよく寝る時にしている行動だ。

 

「それ、よくやってるけど、どういう意味?」

 

「明るいと意味ないんだけどね。こうして、手が闇に溶けているところを見ると、心地いい」

 

「そ、そう……。そういや、なんだかんだで訊くタイミング逃してたけど、解放の条件って何だったの?」

 

「条件? あー。なんかスカウトされた」

 

「スカウト?」

 

「うん。なんか、私の強さを見込んでとか。ほんと、私なんかを雇うなんてどうかしてるよね」

 

 どうかしてるのはまなの思考回路だと思う。

 

「私なんか、弱いし、ブスだし、バカだし……」

 

 嫌味か。どれもまなの得意分野でしょーが。

 

「断ろうとしたんだけどね。でも[編集済]」

 

 急に、まなの声が聞こえなくなった。口は動かしてるんだけど、どう動かしているかまではいまいち読み取れない。

 

「ごめん。聞こえない」

 

「だから、[編集済]」

 

 やっぱり聞こえない。こんなことは初めてじゃない。地下9階について先生に訊いた時もこうだった。

 

「ごめん。まだ聞こえない」

 

「もういいよ」

 

 勝手に諦められた。

 

「まあ、そんなわけで、クミフダ社所属になりました。たしか、Speed-Card-Protection大剛才衆の一角、ジョーカー・ノワール」

 

「え!? あの、SUIT(Speed-card-protection United Invincible Talents)!? あ、でも、唯さんもだからなぁ。ジョーカー・ルージュ。そう考えると、驚くような話じゃないかも」

 

「いや、大それてるよ」

 

「お前の目は節穴か〜!」

 

 とまなの頬をぐりぐりする。

 

 

 

 まながランダムマッチを始めてしまったので(ああ、今日も犠牲者が……)、私は別のゲームをすることにした。「エターナル・エタニティ・フォーエヴァー」。20年前にサービス開始してから、同接0人の日が何日もあるのに、いまだにサ終していない謎のVRMMORPG。

 

 20分のロードを乗り越え、都市ビッハン。20年前どころか100年前*3の3Dグラフィック。BGMだけは良い。辺りを見回すが、プレイヤーが1人もいない。MMO要素は皆無。

 

 私も3ヶ月ぶりのログインなので、ステータスを確認しよう。

 

NAME: CU2PLUS

JOB: SWORD

LEBEL: 1

CRAN: NOT IN

HP: 100/100

MP: 50/50

ATK: 10

DEF: 5

INT: 0

RES: 0

AGI: 10

LAK: 5

 

 色々間違っているらしいけど、私の英語力ではわからない。

 

 レベルが上がりづらく、50分くらいで止めちゃったんだったな、そういえば……。

 

「とりあえず、肩慣らしといきますか」

 

 街から出る。ちなみに、さっき出てきたSAO問題だけど、このゲームでは解決されていない。この辺りの世代の多くのゲームがそんな感じで、だからこそ鹿児島では人気が高いとか。このゲームの話じゃないけど。

 

 かくゆう私もこういうのはワクワクする。

 

 おっ。ちょうどいいのがいた。ネネネ。タヌキに似てるけど、毛の色は灰色。耳と鼻は低い。

 

「早速これを試すか」

 

 ジャンプしながらステータスを開く。すると、下半身が地面に埋まる。この状態だと、ゲーム最大値の素早さで動くことができる。これで一気に距離を詰める。ネネネがこっちに気づいた時には、私の刃は首を捉えていた。

 

 ザクッ

 

 音がチープ。首を斬ったけど、斬れてない。これでも最弱のモンスターなんだよ。

 

 ネネネは反撃してくる。爪で引っ掻いてきたり、噛み付いてきたり。でも、私はそれを避ける。たまに当たっても微ダメ。そして、隙をついて斬る。

 

 ザクッザクッザクッ

 

 30回くらいでようやく倒れた。ゲームバランスがこんな有様なんです。

 

 ドロップアイテムを確認しようとした時、視界が揺れ、巨大なワームが現れた。

 

「最悪」

 

 ジャイアントワーム。推奨レベルは30。今の私では太刀打ちできない。

 

「というわけで逃走!」

 

 さっきのバグ技で逃げる。しかし、何かに下半身が当たって止まる。硬い。それは私の下半身に強く巻きつき、持ち上げた。

 

 それは、ジャイアントワームの脚だった。ジャイアントワームはそのまま私を弄り始めた。

 

 ヤられる!?

 

 しかし、尻から先には入ってこなかった。100年前のグラフィックが幸いしたのか。穴がないのだ。現代でも、そこのディティール凝ってるゲームはR18以外じゃ珍しいけどね。

 

 ジャイアントワームは口のあたりに、なんかエネルギーを溜めだした。なんか撃つ気だ。あれ食らったら死ぬ。リアルでも死ぬ。

 

 仕方ない。緊急脱出だ。私はタスクマネージャを起動し、このゲームを強制停止。これやると、パーティーメンバー(いない)やサーバーに迷惑がかかる上、私も数時間意識飛ぶんだけど、死ぬよりはマシ。SAO問題が解決されていなかった頃にはよく行われていたらしい。本家SAOよろしく、この方法含めてログアウトできないゲームもいくつかあったようだけど。

 

 

 

 意識が戻ると、1分足らずの作業をして、まなに提案してみる。

 

「まな、せっかくだから、どっか出かけない? ワープゲートもできたし」

 

「んな唐突な。まあ、いいけど」

 

「というわけで、ワープゲートでの行き先で、ルーレット作ってみました」

 

「おー」

 

 早速、スタート。結果、新潟になった。

*1:
PS1あたり

*2:
リアリティを高めすぎた結果、ゲーム内での死が現実での死に直結してしまう問題。

あるライトノベルから名がとられた。

*3:
PS1あたり




クレジット
タイトル: SCP-173 - 彫刻 - オリジナル
原語版タイトル: SCP-173 - The Sculpture - The Original
訳者: Dr Devan
原語版作者: Moto42
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-173
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-173
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: SCP-096 - "シャイガイ"
原語版タイトル: SCP-096 - The "Shy Guy"
訳者: 訳者不明
原語版作者: Dr Dan
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-096
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-096
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: エージェント・育良の人事ファイル
作者: Ikr_4185
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/author:ikr-4185
ライセンス: CC BY-SA 3.0
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。