【第一幕:再来日の爆竜、ディープな日本への渇望】
太陽が眩しい初夏のある日、亀有公園前派出所に、ひときわ目立つ、エネルギッシュな美女が訪れた。アメリカ海軍中尉にして、あの爆竜大佐の娘、ジョディー・爆竜・カレンその人だった。休暇を利用して、あるいは、近くの米軍基地への短期任務かで、再び日本の土を踏んだらしい。以前、両津たちとも奇妙な縁で交流を持った彼女は、物怖じしない性格と、抜群のスタイル(特に、普段ノーブラで過ごすという大胆さ)で、派出所の面々に強烈な印象を残していた。
「Hey、リョーツ! Long time no see!」
ジョディーは、まるで旧友に再会したかのように、気さくに両津に声をかけた。その笑顔は、アメリカ西海岸の太陽のように明るい。
「お、ジョディーじゃねえか! しばらく見ねえと思ったら、また日本に来てたのか」
両津も、まんざらでもない表情で応じる。彼女の、日本人離れしたグラマラスな体つき(特に、Tシャツの上からでも分かる、ブラジャーをしていない豊かな胸のライン)は、彼の本能を刺激するには十分すぎるほどだった。ボルボ西郷と付き合っていたはずだが、今はどうなっているのか…両津の頭に、下世話な考えがよぎる。
「ええ、少しだけね。でも、今回は普通の観光じゃ物足りないのよ!」ジョディーは、目を輝かせて捲し立てた。「前回、あなたたちと色々経験して、日本の面白さに目覚めちゃったの! だから今回は、もっとディープな、本物の日本を体験したいのよ! ガイドブックに載ってるような、ありきたりな場所じゃなくて、もっと、こう…スピリチュアルで、エキサイティングな場所! 分かる、リョーツ?」
ディープな日本。スピリチュアル。エキサイティング。その言葉を聞いた瞬間、両津の脳内で、悪魔的な回路がスパークした。(…こいつ、カモがネギ背負ってやってきたようなもんじゃねえか…! 日本文化に興味津々な外人、しかもこのナイスバディ…利用しない手はねえ!)
「はっはっは! よくぞ言った、ジョディー!」両津は、胸を叩いて請け負った。「お前が知ってる日本なんて、ほんの上っ面だけだぜ。本当の日本の『深淵』はな、俺様のような、地元を知り尽くした人間にしか案内できねえんだよ!」
彼は、自信満々に言い放つ。
「よし、決めた! この俺様が、特別にお前を、誰も知らない、ガイドブックには絶対載らない、『真の日本文化体験ツアー』に連れてってやる! ただし、俺様の言うことには、絶対に従ってもらうぞ? これは、遊びじゃねえ、真剣な『修行』だからな!」
「Wow! Really!? Sounds great! 修行? OK、望むところよ!」
ジョディーは、両津の怪しげな言葉の裏など全く疑うことなく、持ち前の好奇心と行動力で、その申し出を二つ返事で快諾した。彼女にとって、両津は「ちょっと変わってるけど、面白くて、いざという時には頼りになる(かもしれない)日本の友人」程度の認識であり、彼が案内する「ディープな体験」に、胸を躍らせていたのだ。
【第二幕:両津流ツアー開始、奇妙な風習(?)】
こうして、両津勘吉による、ジョディーのための(そして、彼自身の欲望のための)、「真の日本文化体験ツアー」が始まった。
まず、両津が彼女を連れて行ったのは、亀有の、それもかなり入り組んだ路地裏にある、小さな、そして薄暗い祠だった。埃をかぶり、供え物も枯れているような、お世辞にも立派とは言えない場所だ。
「さあ、ジョディー。ここが、最初の『聖地』だ」両津は、厳かに宣言した。「ここはな、地元のもんでも、よほどの事情通しか知らねえ、強力な『縁結び』と『子宝』の神様が祀られてるんだ」
「へえ…でも、なんだか、少し寂れた感じね?」
ジョディーは、素直な感想を口にする。
「馬鹿野郎! 見た目で判断するな! こういう、寂れた場所にこそ、本物のパワーが宿ってるんだよ!」両津は、もっともらしい嘘をつく。「いいか、ここの神様は、非常に気難しい。だから、正しい作法で参拝しないと、逆に祟られると言われている」
彼は、周囲を窺うように声を潜め、ジョディーに「特別な参拝方法」を伝授した。それは、「まず、祠の前で三回逆立ちし、次に、自分の靴を片方だけ祠に投げ入れ、最後に、大声で自分の願い事(できれば、ちょっと恥ずかしい内容)を三回叫ぶ」という、全く意味不明で、傍から見ればただの奇行としか思えないものだった。
「What!? 逆立ち? 靴を投げる? シャウト?」
さすがのジョディーも、目を丸くして聞き返す。
「そうだ! これが、この地に古来より伝わる、神様への最大の敬意の表し方なんだ! やらないと、とんでもないことになるぞ!」
両津は、真顔で(しかし、内心では爆笑しながら)言い切る。
ジョディーは、半信半疑ながらも、「郷に入っては郷に従え」という言葉を思い出し(あるいは、両津の妙な迫力に押され)、言われた通りに、ぎこちなく逆立ちを試み(もちろんすぐ失敗する)、靴を投げ入れ(祠の屋根に引っかかってしまう)、そして、少し恥ずかしそうに、しかし大声で、「アイ・ウォント・ア・ストロング・ボーイフレンド!」と三回叫んだ。その、あまりにもシュールな光景に、両津は腹を抱えて笑いたい衝動を必死で抑えていた。
次に、二人が向かったのは、活気はあるが、どこか怪しげな雰囲気が漂う、ガード下の闇市のような市場だった。
「ここはな、表の世界では手に入らないような、『本物』が取引されている、秘密の場所だ」
両津は、得意げに説明する。
「ただし、ここには、暗黙のルールがある。よそ者がうかつに歩き回ると、痛い目を見るぜ」
彼は、ジョディーに、「この市場の流儀」として、「常に少し腰を落として歩くこと」「店主と目を合わせる時は、必ず片目をつぶること」「気に入った商品があっても、すぐに手に取らず、まず三回、その周りを時計回りに回ること」などを教え込んだ。
「オーケー、リョーツ! 任せて!」
ジョディーは、持ち前の適応力で、奇妙なルールを実践しようとする。片目をつぶりながら、腰を落としてカニ歩きのように進み、気になる商品(ガラクタ同然のものが多い)の前で、律儀に三回ぐるぐると回る。その奇妙な動きは、当然、市場の商人たちの失笑を買うが、両津は「見たか、これが敬意の表し方だ。みんな、お前のことを認めてるぜ」と、適当なことを言って誤魔化す。ジョディーは、自分が「ディープな日本」に溶け込んでいると信じ込み、満足げな表情を浮かべていた。
【第三幕:パワースポット(?)と浄化の儀式】
いくつかの、怪しげな「文化体験」を経た後、両津は、ついに、このツアーの「核心」へと、ジョディーを導いた。それは、亀有のはずれにある、小さな川沿いの、古びた柳の木が一本だけ生えている、寂れた場所だった。しかし、両津は、ここを「地元民だけが知る、強力な『龍脈』が流れ込む、究極のパワースポット」だと説明した。
「いいか、ジョディー。ここは、普通の人間が、何の準備もなしに近づくと、その強すぎるエネルギーにあてられて、逆に心身のバランスを崩してしまう、危険な場所でもあるんだ」
彼は、真剣な表情で警告する。
「だから、ここでパワーを受け取る前に、特別な『浄化の儀式』を行う必要がある。これは、外国人である君が、日本の大地のエネルギーと、安全に同調するための、絶対に必要なプロセスなんだ」
「浄化の儀式…?」
ジョディーの目に、好奇心と、ほんの少しの緊張の色が浮かぶ。
「そうだ」両津は、厳かに頷いた。「まずは、この聖なる柳の木に向かって、特別な『印』を結ぶ。これは、大地の精霊への敬意を示すものだ」
彼は、ジョディーに、両手を使って、非常に複雑で、かつ、微妙に身体が密着するような、奇妙なポーズを取るように指示した。「そう、もっと腰を入れて! 指先まで『気』を通すように!」などと、もっともらしい指示を飛ばしながら、自然な流れ(を装って)で、彼女の身体に触れる。 背中を支え、腕の位置を直し、腰の角度を調整する…。その度に、彼の大きな手が、彼女の肌(薄手のTシャツ越しだが)の感触を確かめる。
次に、「清めの言葉」を唱えるように指示した。「『アバラカダブラ・チンカラホイ・スッテンテンノ・ピーヒャララ』! これを、魂を込めて三回唱えるんだ! これは、古代ヤマトの精霊語だ!」
もちろん、これも彼が即興で考えた、全くのでたらめだ。しかし、ジョディーは、真剣な顔で、一生懸命、その奇妙な呪文を繰り返す。
そして、最後のステップ。
「最後に、俺が、ガイドとして、君の身体に溜まった『邪気』を吸い出し、代わりに、この土地の清浄な『気』を送り込む。いいか、絶対に身体を動かすなよ。精神を集中しろ」
両津は、そう言うと、ジョディーの後ろに回り込み、その両肩に、ゆっくりと手を置いた。 そして、目を閉じ、何か念を送るようなポーズを取る。
「…ふぅぅぅぅ…」
彼の温かい手のひらから、何らかのエネルギーが伝わってくるような…気がする。いや、単に、男性の大きな手のひらの感触に、ドキドキしているだけかもしれない。ジョディーは、混乱しながらも、言われた通り、目を閉じ、精神集中を試みる。
両津の手は、肩から、ゆっくりと背中へと降りていく。背骨に沿って、滑るように。そして、腰のあたりへ。彼は、時折、指先に軽く力を込め、「ここに邪気が溜まっているな…」などと、もっともらしいことを呟く。その指先が、彼女のTシャツの裾から、素肌に直接触れそうになる瞬間もあった。
ジョディーは、その奇妙さに戸惑いつつも、これが日本のスピリチュアルな儀式なのだと、自分に言い聞かせていた。彼の真剣な(ように見える)態度、そして、「これをしないと先に進めない」「君のためなんだ」という言葉。それらが、彼女の疑問を打ち消し、言われるがままに従わせていた。 身体に直接触れられることに対しても、それが**「儀式の一部」**であり、「気の注入」という目的があるのだと理解(誤解)することで、大きな抵抗は示さなかった。 むしろ、彼の温かい手に触れられていることに、奇妙な安心感や、心地よさすら感じ始めていたのかもしれない。
【第四幕:布石完了、次なる儀式への序章】
「…よし、第一段階の浄化は、これで完了だ」
しばらくして、両津は、額の汗(をかくふりをして)を拭いながら、満足げに言った。
「どうだ、ジョディー? 少しは身体が軽くなったような気がしないか?」
「…ええ、なんだか…少し、スッキリしたような…気がするわ」
ジョディーは、プラシーボ効果か、あるいは単なる気のせいか、本当に少しだけ気分が良くなったように感じていた。
「だろう?」両津は、得意げに頷いた。「だがな、これはまだ序の口だ。真の日本文化の深淵に触れるには、そして、お前自身の内に眠る、更なる可能性を引き出すためには、もっと高度な『儀式』が必要になる」
彼は、意味ありげな表情で、ジョディーを見つめた。
「次の儀式は、よりプライベートな空間で、心身ともに、完全にリラックスした状態で行わなければならない。…準備はいいか? ジョディー。本当の『日本』を知る覚悟は?」
「ええ、もちろんよ、リョーツ! 私、どんなことでも挑戦するわ!」
ジョディーは、持ち前のポジティブさと、未知への期待感から、力強く頷いた。彼女は、まさか、その「高度な儀式」が、自分をどのような世界へと誘うことになるのか、まだ知る由もなかった。
両津は、内心でほくそ笑んだ。計画は、完璧に進んでいる。「文化体験」という名目で、身体的接触へのハードルは、ほぼ取り払われた。次は、いよいよ、裸の付き合い、そして、その先にある、最終目的へと、駒を進めるだけだ…。彼は、ジョディーの無邪気な笑顔の裏にある、豊かな身体のことを想い描きながら、次なる「儀式」の計画を練り始めていた。