千鳥さんと出会ったのは、高校三年生の時だった。
その時、彼女は兄貴――東田一也の恋人だった。
たまたま兄貴が千鳥さんを連れて遊びに来た日、俺は紹介された。
「初めまして。」
「初めまして、藍場千鳥です。」
兄貴の隣には金髪で、非常に背の高い、モデルのような女性が立っていた。スタイルも良く、ピッタリとした服からボディラインが覗かせる。
「どうだ、義也。俺の彼女、美人だろ?」兄貴の一也が得意げに言った。
「そうだな。兄貴にはもったいないくらいだ。早く別れろよ。」
「バーカ、ラブラブだっつーの。」
兄貴は俺の頭を軽く小突いた。
「義也くん、よろしくね。」
「はい、こちらこそ。」俺は軽く会釈した。
兄貴とは五つ歳が離れている。
スポーツも勉強も何でもできて、学生時代は生徒会長を務め、バスケ部ではキャプテンをしていた。
まさに絵に描いたような完璧人間だ。
一方で、兄貴は俺を気にかけてくれていた。勉強を教えてくれたり、遊びに連れて行ってくれたりした。
俺は兄貴に対して、嫉妬と尊敬という複雑な気持ちを抱いていた。
そんな中で、兄貴の二つ下の千鳥さんを見た時、正直「兄貴にぴったりの彼女だな」と思った。
美人で大人っぽくて、何より優しそうな人だった。
この時はさすがに恋心は芽生えなかった。
でも、兄貴と千鳥さんは本当にお似合いのカップルで、俺はいつも羨ましく眺めていた。
ところが、兄貴と千鳥さんは別れてしまった。
兄貴が海外に転職することになり、そのまま千鳥さんとは別れたのだ。
「結婚すれば良かったのに」と俺が言うと、
「そんな簡単じゃねえよ。でも、俺にとって千鳥は初恋の人だったな。」
「初恋?」
「そう。一目惚れってやつだ。」
「ん?兄貴って何人か恋人いたよね?」
「ああ、いたな。」
「どの子も本気じゃなかったってこと?」
兄貴は首を振って言った。
「ああ……俺から告白したことはなくて、女の子から告白されて付き合ってただけだ。」
「え?じゃあ、兄貴は自分から人を好きになったことがないの?」
「ああ、そうだな。いつも相手から好きになってくれたから付き合ってた。」
俺は兄貴に対して「なんとも贅沢な奴だな」と思った。
「でもさ、兄貴は千鳥さんのこと本気で好きだったんだろ?」
「そうだな。初恋だったし、初めて自分から好きになった人で、俺から告白したんだ。」
「……で?なんで別れたの?」
「簡単だ。俺に結婚する気はなかったんだ。」
「なんで?兄貴なら、いくらでもいい人いるだろ?」
「いや、俺は結婚できない。」
俺はこの時、兄貴の言葉を理解できなかった。
「なんで?」
「……俺、子供ができないんだ。」
俺は言葉を失った。
兄貴は今までそんな素振りを見せたこともなかったし、そんな話も聞いたことがなかったからだ。
そんな俺に構わず、兄貴は続けた。
「だから、千鳥に『結婚しよう』って言えなかった。あいつが子供を欲しがってるのは分かってたしな。」
「わかった……でもさ、子供がいなくても結婚はできるだろ?それじゃなくても一緒にいるなら、結婚以外の形だってあるだろ。」
「義也。俺は千鳥が好きなんだ。あいつが俺のせいで不幸になるなら、俺とはもう人生に関わらない方がいいんだよ。」
俺には兄貴の考えが理解できなかった。
でも、兄貴が本気だってことは分かった。
だから、俺は何も言えなかった。
それから兄貴は海外に転勤し、その後一度も日本には帰ってこなかった。
俺は大して頭の良くない大学に進み、特に夢もなく、ただ毎日を過ごすだけの大学生活を送った。
兄貴と違って彼女なんてもちろんいないし、好きな子だっていない。
正直、俺は兄貴が羨ましいと思っていた。
唯一親しい女子と言えば、雪永くらいだった。
雪永は高校時代からの友達だ。
高校生の時、俺は将棋ができるというだけで、雪永から囲碁・将棋サークルに誘われた。
正直、俺は将棋もあまり知らなかったけど、彼女にしつこく誘われて、仕方なく入った。
行ってみると、めっちゃゆるいサークルだった。
将棋どころか囲碁も知らない人ばかりで、トランプやボードゲームを暇つぶしにやるような集まりだった。
俺も熱中することが嫌いだったから、ちょうど良かった。
雪永は特別美人というわけじゃない。
見た目は眼鏡をかけていて、ボーイッシュで、可愛いよりカッコいい感じだ。だが、スタイルは良くて、薄着だと胸が目立つ。
でも、すごく明るくて、いつも元気で、みんなを笑わせる子だったから、男女問わず人気があった。
俺はそんな雪永に、好意がなかったわけじゃない。
でもある日、いつものようにサークルに行くと、数人の男と雪永が話していた。
サークルではよく見る光景だ。
雪永は誰にでも気さくに話しかけるから、男女問わず人気者だった。
でもその日は違った。
男たちが明らかに雪永を口説いていたのだ。
彼らは雪永に好意を持って、積極的にアプローチしていた。
俺は少し驚いたけど、サークルではそれほど珍しいことでもない。
ただ、俺は何か違和感を感じた。
男たちの様子がいつもと違って、真剣だったのだ。
それに、雪永もまんざらでもない様子だった。
その状況が気持ち悪くて、俺はサークルを出て帰った。
それっきり、サークルには行かなくなった。
なぜこんなに気になるのか、自分でも分からなかった。
だって、俺には関係ないことだったから。
「東田くん、なんで部室に来ないの?」
サークルに行かなくなった俺に、雪永が尋ねてきた。
「いや……別に。」俺は咄嗟に答えた。
「うちのサークル、もう来ないの?」
「そうだな、そろそろ受験勉強しないとな。」
俺はとりあえずはぐらかした。
「ふーん。そうなんだ……まあ、受験頑張ってね。」
「おう、サンキュー。じゃあな。」
俺はそう言って、部室に行くのをやめた。
そんな俺の行動を見てか、雪永はそれから俺に近づかなくなった。
そして、俺と雪永の距離は縮まることはなかった。
俺は雪永のことが好きだったわけじゃない。
ただ、自分の中でスッキリしない、落ち着かない気持ちがあっただけだ。
雪永に最後に会ったのは、卒業式の日だった。
卒業式の後、俺は雪永に会った。
他愛もない話をした後、「またな」と俺が言うと、
「うん、またね」と雪永は言って、友達や先生のところへ行ってしまった。
その背中を見て、俺は少し寂しい気持ちになった。
ふと、雪永への好意が恋愛感情だったのか、ただ気になっていただけなのか、分からなかった。
そして、俺は二人の女性を記憶に刻んだまま、大学へと進んだ。
大学はそんなに頭の良くない私立の二流大学だった。学部は経済学部。
二流大学とはいえ、学生数はかなり多かった。俺の通う学部だけでも百人ほどの学生がいた。
大学2年生になった俺は、
サークルに入る気も特に予定もなかった。何か新しいことを始めようと思い、近所のバーの『マジックムーン』でアルバイトを始めた。
下らない酔っ払いに絡まれたり、店長に怒られたりしながらも、俺はバイトを続けた。
その間に政府が新しい育児法を施行したが、まあ、俺には関係ないと思っていた。
一ヶ月ほど経ったある日、店に知り合いがやってきた。
「……義也くん?」
「千鳥さん……?」
それは二年ぶり再会した兄貴の元恋人、千鳥さんだった。
彼女はすでに顔を赤らめて、酔っ払っていた。
「義也くん、久しぶりね」と千鳥さんが言った。
「……久しぶりです」と俺は素っ気なく答えた。
別に千鳥さんが嫌いなわけじゃない。むしろ、綺麗な年上の女性として、俺は彼女を意識していた。
でも、兄貴と付き合っていた人というイメージがどうしても抜けなくて、たとえ俺が千鳥さんを好きになったとしても不毛なだけだという気持ちが強かった。
「義也くん、もう立派な大人になったのね」と千鳥さんが言う。
「……まだまだガキですよ。」
「うふふ、それもそうね」と彼女は笑った。
「義也くん、ここでアルバイトしてるの?」
「ええ、大学から近くて、たまたま入りました。千鳥さんは兄貴と別れてからどうしてたんですか?」
「別に、何も変わってないかな。派遣で事務仕事とか、色々やってたくらい。」
「随分酔ってますね。」
「仕事のストレスが溜まっててね。義也くん、お水くれる?」
「はい。」俺は彼女に水を渡した。
「ありがと……」
千鳥さんは水を一口飲んだ。その姿からは、ひどいストレスが伝わってきた。
「千鳥さんは……兄貴と別れて、今はどうなんですか?」
俺はつい、口に出してしまった。
「え? うーん」と彼女は少し考えた後、言った。
「まあ、義也くんなら話してもいいかな……」と前置きして、話し始めた。
「実はね、私、一也さんとは私から別れを切り出したの。」
「え? なんでですか?」俺は驚いた。
「一也さんと一緒に時間を過ごしても、ただ辛いだけな気がしたの。だって、彼と結婚しないのにダラダラ付き合いを続けるなんておかしいじゃない。」
その言葉に、俺はカチンときた。
「でも、兄貴は千鳥さんと一緒にいたかったんだと思いますよ。」
つい、言ってしまった。
「そうかしら……? 案外、海外で金髪美女と楽しくやってるかもしれないわよ」と千鳥さんは冗談交じりに言った。
「兄貴はそんな器用な男じゃないですよ!」俺は怒りながら反論した。
「ええ、義也くんの言う通りね……変なこと言ってごめんなさい……」
千鳥さんは少し傷ついた表情を見せた。
その様子を見て、俺は反省した。
「いえ、こちらこそ……ちょっと言い過ぎました。」
「ううん、いいの……」
彼女の大人の対応に、子供っぽい自分の態度が恥ずかしくなった。
「義也くん、ところでここで働いてるの?」
「ええ、大学に行ってもやることがないんで、バイトを。」
「そうなの。でもこういう仕事ってストレス溜まりやすいんじゃない?」
「いえ、酔っ払いの相手をするだけなんで、特に。」
「あら、私みたいなってこと?」千鳥さんは笑った。俺は苦笑いした。
「ねぇ……また来てもいいかな?」
突然、彼女が真面目な顔で言った。
「え? まあ、いいですけど」と俺は少し困惑しながら答えた。
「うふふ、ありがとね。ちょっと酔ってきたから帰るわ。」
そう言って、千鳥さんは会計を済ませ、店を出た。
その後、俺は別の客に呼ばれて接客に戻った。
帰り道、俺は千鳥さんの言葉を考えていた。
『また来てもいいかな』って、ただの社交辞令なのか?
それとも、千鳥さんは俺を狙ってるのだろうか?
いや、それは俺の自意識過剰だろうか?
千鳥さんが店に来て以来、俺は色々と考えていた。
彼女のことがよく分からなくなった。いや、少し嫌いになったかもしれない。
確かに兄貴とはもう付き合っていないし、結婚していないから浮気というわけでもない。
でも、なぜかモヤモヤした気持ちが残った。
「俺は千鳥さんを尻軽女だと思ってるのか?」
自問自答を繰り返した。
ある日、バイト先で客足が少なくなった時、千鳥さんがやってきた。
「いらっしゃいませ」と俺が言うと、彼女はニコリと笑って席に座った。
注文したのはカルーアミルクだった。
それから一時間ほど二人で話していたが、結局何もなく別れた。
その時も千鳥さんは酔っていたけど、前ほどではなかった。
それから、千鳥さんは頻繁に店に来るようになった。
常連客の彼女と、俺も自然と親しくなっていった。
そんなある日、閉店作業をしている時に千鳥さんが現れた。
「あちゃー、もう終わっちゃったか。」
「すいません、今日は少し早めに店を閉めたんで。」
「そう……残念……」と彼女は言った。
「ねぇ、終わったんならボディーガードしてくれない?」と千鳥さんが提案してきた。
「え? 俺がですか?」
「だって、もうバイト終わったんでしょ? だからいいじゃない。」
「はぁ……まあ、別に構いませんが……」
俺は千鳥さんを連れて店を出た。
彼女は俺の腕に手を回し、体を寄せてきた。
その仕草にドキッとした。
千鳥さんの体は柔らかく温かく、香水のいい匂いがした。
そんな状態で歩いているうちに、彼女のマンションに着いた。
「ねぇ……義也くん、晩ご飯食べていかない? 昨日、作り過ぎちゃったの。」
「千鳥さんの家でですか?」
「うん……迷惑だったかな? 義也くんとは色々話がしたかったのよ……ダメ?」
彼女の目に少しドキッとしたが、俺は軽く咳払いをした。
「……まあ、いいですよ。残飯処理なら得意ですから。」
「あはは、ごめんね。ありがとう。」
千鳥さんは笑って俺の腕を引っ張った。俺は少し照れながら彼女の家に入った。
「お邪魔します……」と俺が言うと、千鳥さんはクスッと笑った。
部屋は綺麗に整頓されていて、良い香りが漂っていた。
「そこで座って待ってて。今、準備するから。」
そう言って、千鳥さんは台所へ向かった。俺はリビングの椅子に座り、テレビをつけた。
しばらくすると、テーブルにカレーライスが置かれた。
「はい、召し上がれ」と千鳥さんが俺の前に座る。
一口食べると、意外にも美味しかった。そんな俺を見て、彼女は微笑んだ。
それから二人で雑談しながら食事をした。
「実は一也さんに手料理を作る機会ってなかったんだよね」と千鳥さんが言った。
「兄貴には勿体ないですよ。」
「あら、可哀想に」と彼女は少しからかうように笑った。
「千鳥さん……兄貴のどこが良かったんですか?」
俺は思わず聞いてしまった。
「そうねぇ……私、昔はすごく陰気だったのよ」と彼女は少し悲しげな顔をした。
「え?」俺は驚いた。
「まあ、私、美人じゃないし……男受けもしなくてね。高校の頃なんて全然モテなかったの。でも一也さんに出会って、初めて男性から告白されたわ。それから彼の彼女になったけど……本当に優しかった。私を大切にしてくれたし、いつも笑わせてくれたのよ」と千鳥さんは懐かしそうに語った。
「だから、私は彼を愛してたし、彼も私のことを愛してくれてたと思う。でも……結局、結婚はできなかったけどね」と彼女は笑った。
「そうなんですか……」と俺は呟いた。
「義也くんは恋人とかいるの?」
「いえ……特に」と俺は答えた。
「高校生の時は?」
「いえ、ずっと一人でした。俺、スポーツも勉強も特にできるわけじゃないし、自慢できる長所もなかったんで。」
「私はそうは思わないけどね。単に女の子に興味がなかっただけじゃない? だって義也くん、女性が苦手でしょ?」と千鳥さんが言った。
「え? そうなんですか……?」と俺は戸惑った。
「義也くんと話してて、女性に対して壁を作ってるように感じたの。なんというか、潔癖症っていうか、受け付けない部分があるんじゃない?」
俺はドキッとした。確かに今まで、女性に対して無意識に壁を作っていたかもしれない。
それが原因で、千鳥さんを含め、これまで出会った女性を遠ざけてきたのかもしれない。
自分の考えの甘さと浅ましさを感じた。そして、千鳥さんはそんな俺の心を見透かしていた。
「でも、仕方ないよ。私も男性に対して壁を作ってた時期があったし。誰にでもあることよ……」
そう言って、千鳥さんは俺の隣に座り、頭を優しく撫でた。
「義也くんはきっとその壁を乗り越えられるわ」と彼女は笑った。
「本当ですかね? 千鳥さんはどうやって乗り越えたんですか?」と俺は尋ねた。
「知りたい?」と彼女は俺の目を見つめた。
「はい、知りたいです」と俺は答えた。
「じゃあ、目を閉じて……」
千鳥さんはそう言うと、顔を近づけてきた。そして、俺の唇にキスをした。
一瞬だったが、とても長く感じた。初めてのキスはほろ苦く、でも温かくて優しい味がした。
「え……?」俺は驚いて声が出た。
「あはは、驚いた?」と千鳥さんは笑った。
「はい……とても……」と俺は答えた。心臓の鼓動が速くなるのが分かった。
それは千鳥さんと話していた時とは全く違う感情だった。同時に、胸が熱くなった。
そんな俺を見て、千鳥さんは微笑んだ。
「壁は誰かに破ってもらうしかないわ。でも、もし私とのキスが嫌だったら、もう一回目を閉じて?」
「え?」俺は戸惑った。でも、彼女の言う通りにしたいと思った。そして目を閉じた。
すると、再び柔らかい感触があった。今度はさっきより長く、温かくて優しい味がした。
その味は、今まで食べたどのスイーツよりも甘美だった。
「どう? 私の唇の味」と千鳥さんは笑った。
俺は何も答えられなかった。ただ、彼女の唇の感触が忘れられず、胸が熱くなった。
「義也くんは今、どんな気持ち?」と彼女は俺の胸に触れた。
その指使いは優しく心地良かったが、少しくすぐったいような不思議な感覚もあった。
「私はね……義也くんのこと、もし良かったら手伝ってあげたいの。」
「え? どういう意味ですか……?」
「そのままの意味よ。義也くんが望むなら、私、あなたの力になりたいわ……」
俺は彼女の言葉の意味を完全には理解できなかった。でも、彼女に対して特別な感情を抱いたのは確かだった。
すると、千鳥さんは俺の手を引っ張り、寝室へ連れて行った。
俺は言われるがままにベッドに横になった。彼女は無言で俺のシャツのボタンを外し始めた。
そして、千鳥さんは服を脱いだ。ピンクの下着姿になった彼女は、俺を見つめた。
彼女の体は、形の整った大きな胸、引き締まったウエスト、ふっくらとしたヒップラインがとても美しかった。
その美しさに目を奪われ、心臓の鼓動がさらに速くなった。
千鳥さんはゆっくり近づいてくると、そっと俺にキスをした。
今度は先ほどよりも長く、情熱的なキスだった。彼女の舌が俺の口の中に入り、優しく歯茎や口蓋をなぞった。
俺もそれに応えるように舌を絡めた。唾液が混ざる音が部屋に響き、唇を離すと糸を引く唾液が垂れた。
俺の下半身に血が集まるのを感じた。今まで味わったことのない感覚だった。
千鳥さんは俺のズボンを脱がすと、下着越しに俺のペニスに触れた。
その刺激だけで体がビクンと跳ね、彼女はゆっくり手を動かし始めた。
最初は優しかったが、徐々に激しくなるにつれて快感が増していった。
我慢できず腰が勝手に動いてしまうほどだったが、彼女は手を止めなかった。
「あっ……」と声が漏れ、頭が真っ白になった瞬間、絶頂を迎えて彼女の手の中に射精してしまった。
白い手が汚れるのを見て背徳感を覚えたが、同時に再び勃起してしまった。
「あら、元気ね」と千鳥さんは微笑んだ。
「今度はこっち」と彼女は下着を脱いだ。
ピンクベージュの乳首と整った陰毛、そしてその奥の割れ目が露わになった。
彼女のそこは綺麗で、ピンク色の粘膜に覆われていた。
千鳥さんは右手で性器を広げて見せ、「ねぇ、触ってみて……義也くん」と囁いた。
俺はゆっくり指を動かした。温かくヌルッとした感触に、今までにない快感と征服感を感じた。
その感覚は麻薬のようで、俺の心を蝕んだ。
「どう? 女性の感触は?」と彼女が聞いた。
「はい……とても気持ちいいです……」と俺は答えた。
「良かったわ。じゃあ、次はこっちよ」と彼女は俺のペニスを握り、自分の性器へと導いた。
ゆっくり腰を落とし、「あっ……すごいわ……」と吐息を漏らした。
根元まで入ると動きを止め、俺を見つめた。
「義也くんのが私の中に入ってるの分かる?」と彼女はお腹をさすった。
「はい……分かります」と俺は答えた。
「動くね……」と彼女は腰を動かし始めた。
最初はゆっくりだったが、徐々に激しくなり、結合部からはグチュッという音が響いた。
その淫靡な光景に興奮しながら、彼女の揺れる胸と喘ぐ吐息が俺をさらに高ぶらせた。
大きいというより、美乳という方が正しく、洗練された乳房の形である。
「あ……義也くん、気持ちいいわ……」と彼女は動きを加速させた。俺は限界を感じていた。
千鳥さんは俺の口を塞ぎ、舌を絡めてきた。同時に膣が締まり、射精を促す感覚が分かった。
我慢できず、そのまま果ててしまった。
彼女も体を仰け反らせてビクビクッと震えた後、脱力して俺に覆いかぶさってきた。
「はぁ……はぁ……」と彼女は荒い息を吐いた。
「今日、大丈夫な日だったんですか?」
「さぁ、そんなのどうでもいいわよ」と彼女は舌を出して笑った。
俺は内心ドキドキしていた。初めての性交で中出ししてしまった罪悪感があった。
でも、同時に千鳥さんとのセックスが今までにない快楽だったことも間違いなかった。
それから俺たちは体を触り合いながら、くだらない話をした。ピロートークってやつだろうか。
「……兄貴とはしたんですか?」
俺はつい聞いてしまった。
でも、そんな質問をするべきじゃなかった。俺も千鳥さんも傷つくだけだと分かっていたからだ。
「それは……秘密よ」と彼女は笑った。その笑顔は少し悲しげだったが、それが彼女の魅力でもあった。
俺はそれ以上深く聞くのをやめた。
その後、俺たちは一緒にシャワーを浴び、同じベッドで眠りについた。
千鳥さんは俺を抱き寄せた。彼女の体温を感じながら、俺は眠りに落ちていった……。
翌朝、目を覚ますと隣に千鳥さんはいなかった。
テーブルの上にはメモが置かれていて、「仕事に行く。オートロックだから鍵はかけなくていいよ」と書かれていた。
俺は一人で帰り支度をして、マンションを出た。
それから、千鳥さんはバーに来なくなった。