※この作品はR-18です。

霊使い連作 ※ai使用作品   作:砂漠のデスラクーダ

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【照れたままの朝ごはん】

小屋のキッチンには、朝日が柔らかく差し込んでいた。

薪ストーブの上にかけられたポットからは、ぐつぐつと優しい湯気。

 

ヒータはエプロン姿でトーストを焼きながら、

ちらちらと横目でアウスを見ていた。

 

アウスはというと、ダイニングテーブルの端っこにちょこんと座って、

手のひらで頬を支えながら、ぼーっとしていた。

 

「……なに、寝てんの? アウス」

 

「……ううん。寝てない……寝てないけど、なんか……いまだに火照ってて……」

 

「……そっか。そりゃまぁ……うん。昨夜、あんだけ……だしね……」

 

ふたりの間に、もわっとした空気が流れる。

 

「……ご、ごめん、朝からこういう話ってアレだよね!? とりあえず、トースト焦げてる!!」

 

「えっ!? わ、ほんとだっ……!!」

 

ヒータがあたふたとフライパンを持ち上げ、真っ黒になったパンをひっくり返す。

 

「くっそぉ……! あたし料理得意なのに、なんでこんなときに限って……!」

 

アウスがクスッと笑った。

 

「……ヒータ、かわいい」

 

「なっ……!」

 

突然の一言に、ヒータの手が止まる。

フライパンからは焦げの匂いがふたたび立ち上る。

 

「ちょ、ちょっと今の聞き逃さないからね!? なんか自然に言ったけど、ねぇ!?」

 

アウスはトーストの端を手でちぎりながら、ふわっと笑って目を細めた。

 

「ほんとに思ったから……言っただけ」

 

「うわ~~……ずるい……昨日よりドキッとしたかも……」

 

ヒータが真っ赤になりながら、バターを塗ったパンを差し出す。

 

「ほら、焼けたよ。こげてないやつ。……ほめた分、味わってよね」

 

アウスはそれを受け取り、一口。

 

「……おいしい。火の魔力、ちゃんと込められてる。あったかい」

 

「……そ、そっか。よかった……」

 

一瞬だけ、ふたりの視線が交わった。

どちらからともなく、目をそらす。

 

「……なにこの空気。昨日のがまだマシだったかも……」

 

「……昨日は、魔力に任せてたから」

 

「今日のほうが恥ずかしいって、どういうことだよぉ~……!」

 

ヒータは頭を抱える。

でも――頬はゆるみっぱなしだった。

 

朝の日差しがふたりを照らす。

もう交わる魔力もない、静かな朝。

でもその胸の奥では、ちゃんとまだ、

あたたかい何かが、ほんのり灯っていた。

 

【縁側のウィンとエリア/ふたりを見守る視点】

縁側には、風がやさしく吹いていた。

庭の草木がそよぎ、木漏れ日がぽつぽつと板張りの床に影を落とす。

 

ウィンは足をぶらぶら揺らしながら、マグカップを手にしていた。

その横ではエリアが静かにお茶を啜っている。

 

中では、ヒータの騒がしい声と、アウスのくぐもった笑い声が漏れていた。

 

「……あれさぁ、絶対まだ緊張してるよねー。ヒータもアウスも」

 

「当然よ。魔力を深く交差させた翌朝は、自己再調整が必要。精神と体の間にズレが生じる」

 

「……ん~。でも、なんかあのふたりってさ、ずっと前からこうなるって空気あったよね」

 

ウィンは空を見上げながら、ぽつりと呟いた。

 

「アウスって、ちょっと放っておけないとこあるじゃん。寂しがりってわけじゃないけど……たぶん、“ひとりで居ることに慣れすぎてる”感じ」

 

「ヒータは真逆。騒がしいし、熱しやすいし、強引。だけど……内側は、誰かに受け止めてほしがってる」

 

エリアがカップを置いて、そっと視線を落とした。

 

「魔力の相性じゃなく、感情の形がかみ合ってる」

 

「だよね~。ヒータ、あんなに感情爆発型なのに、アウスの前だとちょっと優しくなるし」

 

「アウスも、ヒータといると“反応”が多くなる。声のトーン、手の動き、目の動き。変化してる」

 

ウィンはにこにこと笑いながら、エリアをつつくように言った。

 

「なにその“観察してました感”満載な言い方~。……もしかして気になってたの?ふたりのこと」

 

「……気になるわけじゃない。目につくだけ」

 

「ふーん?」

 

ウィンがニヤニヤと笑いながら、エリアの耳元で小さく囁いた。

 

「でもさ。ちょっと、うらやましくなったり……してるでしょ?」

 

「……」

 

エリアは一拍おいてから、そっぽを向いてお茶を啜った。

 

「……馬鹿」

 

その頬が、ほんのり赤く染まっていたのを――

ウィンはちゃんと見逃さなかった。

 

「ふふっ。エリアも案外、素直じゃないよねぇ」

 

「あなたが素直すぎるだけ」

 

ふたりのやりとりは、風に乗って小屋の中には届かない。

でもその空気は、確かに霊使いの“日常”をあたためていた。

 

【アウス×ヒータ:訓練場で交差する力と信頼】

森の外れ、霊使いたちの訓練場。

木々の間を抜ける風が、草をなびかせる。

 

「さーて、いくよアウス! 今日こそ、“合わせ技”の完成目指そっ!」

 

「うん、準備できてるよ……ヒータ」

 

ふたりの間に立ち上るのは、火と大地の魔力の波。

対照的な属性――けれど、いまのふたりには“重なる感覚”がある。

 

「“マグマ・スパイク”、いっせーのーで!」

 

ヒータが火の刃を生成し、アウスがその下に土の棘を突き上げる。

 

爆ぜる音と、迸るエネルギー。

 

――しかし、わずかにタイミングがずれて爆発は不発に終わる。

 

「う~っ……あとちょっとなんだけどな~!」

 

「……でも、前より魔力がぶつかってない。質感が合ってきた」

 

「うん、わたしもそう思う」

 

息を整えながら見つめ合うふたり。

その距離は、少しだけ近づいていた。

 

「……アウス。あんたさ、前より“思いっきりぶつかってくる”よね」

 

「……ヒータが、受け止めてくれるって思えるから……かな」

 

「うぅ……そーいうとこ、ずるいって言ってんの……」

 

赤くなりながら、ヒータは背を向ける。

 

けど、振り返った彼女の瞳は、

また交差する準備をしていた。

 

「……もう一回! 次こそ決めよう!」

 

「うん、いこう」

 

ふたりの魔力が、今度こそ重なり始める――。

 

【ウィン×エリア:言葉を交わす、その寸前で】

訓練場の少し離れたベンチ。

ウィンは木陰で、スポーツドリンクを片手にぼーっとしていた。

 

その隣には、無言で座るエリア。

 

アウスとヒータの訓練の様子を眺めながら、

ふたりは何かを言いかけては、飲み込んでいた。

 

「……なんか、すごいよね。あのふたり」

 

「感情と魔力の同期が進んでる。パートナーとしても、術者としても……」

 

「……うらやましい?」

 

エリアは一瞬だけウィンのほうを見た。

けれど、すぐに視線を外す。

 

「別に。ただ、そういうの……理解できないだけ」

 

「……あたしも、たぶんそう。わかんないけどさ。けど――」

 

ウィンは、なにか言いかけて、やめた。

そして、エリアに向き直る。

 

「……ねぇ、もしさ。あたしが“踏み込んだら”、どうする?」

 

エリアの目が、少しだけ揺れた。

 

でも彼女は、ゆっくりと、はっきりと――首を横に振った。

 

「……今は、返せない。まだ、整ってないの」

 

「そっか」

 

ウィンは、少し笑って立ち上がる。

 

「じゃ、もうちょっと待ってる。エリアって、感情整理遅いもんね」

 

「……分析すんな。鬱陶しい」

 

「うわー、ツンだぁ……!」

 

笑いながら、ウィンは軽く手を振って、訓練場へと戻っていく。

エリアはベンチに残り、ウィンの背中を見つめたまま、

ふっと、ほんのわずかに――肩を落とした。

 

 

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