任務を終え、森の外れにある安全区域。
4人は小さなキャンプを張り、焚き火を囲んでいた。
火のはぜる音が、沈黙を優しく彩る。
「ふぁ~、ひと仕事終えた後のごはんって最高~!」
ヒータが豪快に焼いた獣肉にかぶりつき、
ウィンはほくほくの焼き芋をかじる。
「……もうちょっと火を通した方が良かったかも」
アウスが少し焦げた端を見て、口元を押さえて笑う。
「いやいや、野外料理にしては上出来!あんた地面から食材探すの上手いもんね」
「……褒めてるの、今の」
「もちろん!」
そんなやり取りに、ウィンが口を挟む。
「うーん、相変わらずの夫婦感だねぇ、このふたり」
「だっ、誰が夫婦だー!!」
ヒータが焦って口をこぼし、アウスはうっすらと目を逸らす。
エリアは静かに木の実をかじりながら、
そんな様子をちらっと見て、なぜか少し目を細めていた。
【見回り当番:ウィン×エリア】
最初の見回りは、ウィンとエリア。
森の夜道を、風がそっと撫でる。
「……今日、さ。ちょっとだけ、嬉しかった」
「何が?」
「エリアと、一緒に戦えてるって感じがしたから」
しばらく沈黙。
でも、エリアはぽつりと呟いた。
「……風に乗った水は、流れが美しかった。あなたの風が、私の術式に合ってた」
ウィンの顔が、ぱぁっと明るくなる。
「え、なにそれ……めっちゃ褒められた……!」
「……事実を述べただけ」
でも、エリアの声は、どこかほんの少しだけ照れていた。
ふたりの距離が、夜の空気の中で、ふっと近づいた気がした。
【見回り当番:アウス×ヒータ】
「ヒータ、こっち、足元悪いから気をつけて」
「……へっへー、ちゃんと気づいてくれるじゃん」
「いつも無茶するから、気になるだけ」
「……ありがと」
少し歩いたあと、ヒータがぽつり。
「今日、あんたと一緒に戦えて……ほんとによかった」
「……うん。ヒータの炎、わたしにはすごく頼もしい」
「そっか……えへへ」
一瞬だけ、ふたりの手が、触れる。
けど、お互い何も言わず――でも、離れもしなかった。
【深夜のキャンプ】
焚き火の灯りがゆれる。
アウスは横になりながら、星を眺める。
その隣で、ヒータはそっと目を閉じる。
ウィンは木の上に登って星を見上げ、
エリアはその下で、そっとその様子を見守っていた。
風と炎、大地と水。
相反する魔力を持つふたりずつが、
少しずつ、重なろうとしていた。
――静かな夜が、優しく彼女たちを包んでいた。
【朝の寝起きイベント】
アウス&ヒータ視点
朝の森はまだ、薄い霧に包まれていた。
焚き火の名残の温もりのなか、ヒータはゆっくりと目を開ける。
「……ん~……さっむ……」
隣には、静かに目を閉じているアウス。
彼女の髪には夜露が光り、寝顔は穏やかそのもの。
「おーい……朝だよ、アウスぅ……」
ヒータがそっと肩を突こうとした、そのとき――
「……ん……もうちょっとだけ……」
「!? しゃ、喋った!? 寝言!? いや、もしかして……」
アウスのまどろみの声に、妙にドキドキしてしまうヒータ。
ほんの数センチ先の寝顔を見つめていると、ふと目が合った。
「……おはよう、ヒータ」
「っ! おっ、おっ、おはよっ!!」
目が覚めきってないアウスの静かな笑顔に、
ヒータは顔を真っ赤にして、そっぽを向いた。
「(ずるい……あんた、その無自覚天然)」
️ ウィン&エリア視点
「……ふああ……ねむ……」
木の上で目をこすりながら伸びをするウィン。
その視線の先には、下で静かに瞑想するエリアの姿。
「……あれ、もう起きてるの? 早っ」
「朝の水気は、魔力の流れを整えるから」
エリアは涼やかに言いながら、目を開けずに返す。
「え、なにそれ、かっこいい……」
「……寝癖がすごい」
「えっ、うそ!? まじで!?」
あわてて髪をぐしゃぐしゃとかき乱すウィン。
そんな様子をちらっと見て、エリアがほんの少し微笑んだ。
「……変じゃない。いつもの、あなた」
「えっ、今、なんかフォローっぽいことした!? したよね!? えっへへ~!」
「……騒がしい」
エリアは目を逸らしたが、その耳が赤いことを、ウィンは見逃さなかった。
【女子トーク:恋バナ未遂回】
任務の帰り道、道端の花が咲く小道で4人が休憩中。
ヒータとウィンは少し離れた場所で、木陰に腰を下ろしていた。
ヒータ&ウィンの視点
「なぁ、ヒータってさぁ、アウスのこと、どー思ってんの?」
「ぶっ!? いきなり何言い出すの!?」
「いや~、なんか最近さ、あのふたり妙に距離近くない? って、見てるとわかるよね」
「そ、それは……その……魔力的な、相性が……」
「ふーん……でもさー、朝のあれとか、完全に"気持ちの"相性じゃない?」
ヒータが顔を真っ赤にして、「うるさいっ」と唸る。
ウィンはニヤニヤしながら肘でつつく。
「じゃあ、じゃあ、ウィンは? エリアとは?」
「……え?」
「明らかに気にしてんじゃん、朝とか。てかさ、わたし気づいたんだけど――」
「ちょ、ちょっと待って!話そらさないで!?!? ねえ!?」
そんな騒がしい会話を少し離れた場所で、
静かにお茶を飲んでいたアウスとエリアは聞き耳を立てていた。
アウス&エリアの視点
「……あのふたり、また騒いでる」
アウスがため息まじりに言うと、エリアは小さく頷く。
「おそらく、恋愛に関する会話」
「……うっ」
「あなた、顔が赤い。図星?」
「エリアも……ちょっと耳が赤い」
「……気のせい」
ふたりは目を合わせると、同時に顔をそむけた。
焚き火はないのに、どこかほんのり温かい、昼下がりの空気だった。