アウス&ヒータ視点
任務の帰り、立ち寄った山の中の小さな湯治場。
夕暮れに染まる露天風呂、ふたりでそっと足を沈める。
「は〜……しみる〜……」
ヒータが背をのばし、肩まで湯に浸かると、
アウスは静かに隣に腰を下ろす。
「こういうの、初めてじゃない?」
「うん……仕事抜きで、ちゃんと温泉入るのは」
沈黙。けれど、心地よい。
「……アウスさ、任務中もずっと冷静だよね。隣にいると安心する」
「……ヒータが熱すぎるから、自然と冷静になるだけ」
「なっ、なによそれ~」
湯気の中で顔を赤くするヒータ。
その頬を、アウスがちらりと見る。
「……でも、頼もしいと思ってるよ。あのときも、迷わず前に出たでしょう。あれ、かっこよかった」
「えっ……あ、え、そ、そんな褒めるの急に……!」
湯気以上に熱くなるヒータの顔。
アウスは少しだけ、くすっと笑った。
「……ちゃんと見てたから」
その一言が、湯よりも深く胸を温めた。
️ ウィン&エリア視点
「エリア〜、こっちこっち〜! 夜の露天風呂って最高だね〜っ!」
湯面にちゃぷちゃぷ足を揺らすウィン。
エリアは無言で湯に入り、髪を軽く束ねて肩を沈める。
「……風が、心地いい」
「でしょ? 自然の中の温泉って、ほんと癒されるよね~」
しばらくふたりで空を見上げる。星がちらちら、湯気の向こうでまたたいていた。
「ね、エリアは……こういう時間、好き?」
「……うん。静かなのが、落ち着く」
ウィンはにっこり笑って、そっと言った。
「じゃあ、わたしが静かにしてるから……今日は、エリアとゆっくり、同じ空見てたいな」
その言葉に、エリアは目を細める。
「……うるさくないウィンは、少し寂しい」
「えっ、どっち!? ツンデレ!?」
湯けむりのなか、ふたりの声が重なって、
空に昇っていった。
️【宿屋でふたりきり回】
夜の温泉街。
こぢんまりとした宿の一室で、ふたりずつに分かれて部屋に入る。
アウス&ヒータ視点
布団を敷いたあと、ヒータがごそごそと荷物を整理していると、
アウスがふと声をかけた。
「ヒータ、こっち、枕高すぎない? 替えようか」
「えっ、あ、ありがと……うん、大丈夫」
少しだけ沈黙。
「……なんか、ね。2人きりって……変な感じ」
「うん。いつもより、距離が……近いから」
ヒータがもじもじしながら、
ふとアウスの方を見る。
「……えっと……さっきの、温泉での言葉……うれしかったよ」
「……そっか。なら、よかった」
互いに、ちょっとだけ見つめ合う。
でもすぐに視線を逸らして、照れ隠しのように布団にもぐる。
「お、おやすみっ!」
「……うん。おやすみ、ヒータ」
でもその夜、ふたりともなかなか寝付けなかったのは言うまでもない。
️ ウィン&エリア視点
「うぅ……ふたり部屋って、緊張するね……」
「なぜ?」
「だって、だってだよ!? 距離近いし、エリア美人だし、布団近いし!!」
「……騒がしい」
エリアは窓の外の夜空を眺めたまま、そっと言った。
「ウィンが隣にいると、安心する。……だから、眠れる」
ウィンの口が、ぽかんと開く。
「……え、ええええ!? それ、反則ぅ!!」
「……事実を述べただけ」
顔を真っ赤にしてゴロゴロ転がるウィン。
エリアは彼女の寝乱れた髪をそっと直して、
布団に入る。
「……おやすみ、ウィン」
「……も、もうムリ、寝れない……///」
そんな夜。
心が少しずつ寄り添う音だけが、静かに満ちていく。