突然マリアが現れたことについては他のプレイヤーには起こっていないらしい。
ネットを見ても知人の話を聞いてもそれらしき話は一切ない。
あれから数週間、いつものようにゲームを始めるとナビゲーターのマリアが現れてはバグった距離感でナビゲートをしてくる。ゲームから出てきた割には人肌並みの暖かさはあるし、毎度毎度女性特有のふんわりとした香りを残して消えていく。
「今日のデイリーミッションもクリアしましたね。『千里の道も一歩から』、コツコツやっていきましょう」
このゲームは特に素材関係が渋い毎日少しでもデイリーミッションで報酬を多く貰っていかないとすぐ素寒貧になってしまう。
ただデイリーだけで終わらせてはいけない。少しでもステージを進めて達成度を上げていく必要がある。特にいつもやっているソシャゲならまだしもこうして彼女がここにわざわざ居てくれる以上は力になってあげたい、そうあなたは思っていた。
そんな中スマホが充電20%を下回ったことを知らせる通知が飛んできた。電池の減りが激しいなこのゲーム、そうあなたは愚痴りながら充電ケーブルを自分の今いる自室の真ん中まで引っ張ろうと、スマホから手を放して立ち上がろうとした矢先──
世界が滲むように暗くなった。
立ち眩みにしてはどんよりとした感覚。どうやら自分が思っていたより疲れていたらしい。こうして家でゲームをする少し前まで仕事をしていたのでその疲れがかなり来ていたらしい。
そんな状態でがっつりゲームをやろうなら体が限界を来すのも当たり前という訳で──
ふらっと千鳥足で倒れることは防いだものの、それに気づいたマリアが慌ててあなたを呼ぶ。
「こうして収集をしている以外にもお仕事もあるのでしたね……そうだ、耳かき。借りますね」
どうして耳かきを。理解するより先にあなたは二つ返事で了承する。
マリアは部屋に置いてあった耳かきに手を取り姿勢を変えて正座をする。一瞬だけ──姿勢を変えるときにスカートの中が見えたのはさておいて。ぽんぽんとそのむっちりとした膝を叩く。
「少し休みましょう。はい、どうぞ」
また、ぽんぽんとその魅惑的な膝を叩いてあなたを促す。
そのニーソックスに縛り付けられて今にもはちきれてしまいそうな柔肉の塊。短いスカートとニーソックスの合間にある絶対領域。そこに頭を乗せろと、そう言っているのか。
「膝枕……というものをしたら疲労が回復すると聞いたことがあります。遠慮はしないでください。疲れて駄目になってしまったら私……いや、我々も困ってしまいます」
ちょっと恥ずかしいのか、我々と言い換える。
かわいいと言いかけたものの、これ以上困らせるのも良くはない。あなたはマリアの厚意に甘えることにした。
──失礼して
ぽすっ、とその膝の上に頭を預ける。
「んっ……」
あなたの髪がくすぐったいのか短い声を上げる。
女の子特有の柔肉があなたの頭を優しく迎え入れ、柔肉にラッピングされた鍛えられた筋肉が程よくあなたの頭を押し返す高級肉枕。
あなたはマリアに頭を預けたまま体を動かして、見上げるような形で下からマリアを見る。大きな双丘があなたの顔半分を覆い、その柔らかさが呼吸と共に触れては離れてを繰り返していく。
他人に膝枕をされた事はないので誰かと比較する事はできない。けれどもあんなむちむちとした柔肉が気持ち良くないはずがない。
「では、お好きな耳を私に向けてください」
何が始まるんです?
そうあなたが聞こうとする前にちょっと前に耳かき棒を貸したことを思い出す。
理解したあなたは促されるまま彼女の体から背を向ける形で右耳を差し出した。
「耳かき、しますね」
細長い棒がそっとあなたの耳の中に入り込む。
そしてごそり、ごそり、と小さな垢をこそぎ落とし掬い上げていく。
「かり、かり、かり、……っと」
あなたが下に向けている左耳はマリアの柔らかい膝枕に押し付けられている。むにゅ、むにゅ、とバレないように力を込めて埋めてみると面白いように反発する。
一通り小さな塊は撮り終えて、梵天でくるくると回して粉を絡めとる。そして梵天が耳から離れた所で。
「お耳、失礼しますね。ふーっ……」
人肌に温められた吐息がぞくぞく、と耳からあなたの背筋に刺激を走らせる。
「ん……はい。出来上がりです。じゃあ反対向いてください」
反対を向けばマリアのお腹が待っている。
軍服の奥に隠れたお腹はどうなっているのだろう。引き締まった綺麗なお腹だろうか、それとも太もものように肉感あふれるぷにぷにした柔らかいお腹だろうか。
そんな想像をしていると余計に股間に血が溜まっていく。
「眠ってもいいですよ」
そんな事を言ってはいるが今のあなたはそれどころじゃ無い。うっかり邪な想像をしたところで鎮めようと必死に無心になろうとしても破廉恥な妄想が肥大化し脳内で跳梁跋扈していく。
挟んだら最後、限界まで搾り取って来そうな悪魔のふともも。あなたの頭に触れては離れを繰り返す豊満な母性の象徴。
耐えられるはずがない。
「最後に……ふーっ」
またまたトドメの息だ。
耳の中をくすぐるマリアの吐息が余計に興奮を煽り立てる。
「はい。終わりましたよ。そのまま楽にしてていですからね」
気付いたら耳かきが終わってしまっていた。
「耳、思ったより綺麗でしたね。清潔な事はいい事です」
字面にしてみれば褒めているだけに見えるが、声色は張り合いがないと思ったのかちょっとだけ残念そうだ。
しばらく彼女の膝を堪能していると、マリアはとん、とん、とん、とあなたの腕を指で優しく叩いた。
まるで子供の眠りを誘うように。
「……あなたには感謝しています。あなたが子供だった頃から。あなたの指揮で多くの戦場を戦い抜いて、多くのものを守って来れたのですから」
あなたはずっとマリアのいる部隊で様々なステージをクリアして来た。
それを彼女もしっかりと覚えているようだ。その声色はずっと子供を見守って来た母親のような、包み込む羽毛布団のような優しさも乗っていた。
「あなたも大人になっても色々やる事が沢山あって。……昔のようには付きっきりで指揮をしていただく事は無いのでしょうが、私。あなたと一緒にこれからも……ん?」
ふと、マリアの視線があなたの股間に向いていた。
ああ、間に合わなかった。気付いてしまった。
ズボンが仄かに形を変えていることに気付いてしまったマリアの顔がサーっと茹で蛸のように赤く染まる。
「えっ、あっ、そのっ……あなたも男性ですから……その……私が悪いんです!」
わたわたとパニクっているその姿は見ていて少し可哀想になってくる。
うまく誤魔化してあげようと思ったところで
「だから……なんとか……なんとかします……ね?」
初代ガンダム14話のガンダムを木っ端微塵にできるらしい爆弾よりも強烈な爆弾が投下された。