ショッピングモールで初めて出会ってからおおよそ一年、ここへ移住してから半年以上が経ち、また暑い季節が訪れた。
電気が使えない生活の中では冬よりも夏の方が少し辛く、最近は家の近くにある湖で涼むことを主とした少し原始的だがそこそこ快適な生活を続けており……
今、私たちは防音も何もない木造の家の壁越しにジリジリジリジリとうるさいほどにセミの鳴き声を感じている。
そんな照りつける日差しの中、エアコンもかからない室内で増々上がる室温に大汗をかいた私たちはお互いの肌を擦り合いながらナメクジのように絡み合っていた。
「んっ♡ちょっと……こんな変態みたいなっ…♡こと、いつまでするつもりなの」
「もうちょっといいだろ……」
「そのもうちょっとが…あっ…♡もう何回目がわかってるのかしら…?」
もう既に私の全身は自分から噴き出した汗と、触れ合う度に混ざり合う彼の汗が合わさってべちゃべちゃになってしまっている。
肌に張り付いているピンク色のタンクトップには首回りや腋の下、背中にもくっきりと分かるほどの汗染みが作られてしまっており……
彼が言うに、男を興奮させるメスの薫りを放っているらしい。
酷くデリカシーのない言い草だが、動くたびに太ももにぶつかるガチガチに勃起した彼のペニスがそれを証明してしまっているようで
なんとも言い返せなかった。
「すげぇ汗かいてるな」
「んっ♡あ、当たり前でしょっ……こんな暑い日にずっと抱き合ってたら汗だくになるのも当たり前で……あっ!♡」
彼はじっとりと湿った私の胸に服の上から触れるとそのまま服を捲り上げ、濡れて色が変わっているブラジャーの上から優しく胸を揉みしだいてみせる。
ぐっと掴むような手の動きに合わせて私の胸へと指が食い込み、やわやわと崩れてしまう。
そして胸を弄んでいた指が下着の上部から内側に滑り込み、ぬるぬると滑りながら這いまわった。
べとついた汗のせいで乳肉がまるで手の平にまとわりつくように引っ張られていく。
「はぁ……っ♡あつい……もう、汗でべたべただから……」
暑がる私を他所に指の腹が胸の頂点を撫でると、それだけで腰を張らせるように小さく体が跳ねてしまう。
こうして刺激されると嫌でも体の感覚が鋭敏になり、擦れ合う肌は段々と性感を増していく。
「あっ…♡あなたより若くて運動もしている私の方が新陳代謝が…はぁ、高いのはあたりまえなの…そもそも、あせというものは……」
こんなことに巻き込まれても拒絶しようとしない自分を納得させるかのように、できる限り科学的で合理的な言い訳を紡いでいく。
すると突然、彼の指が私の下着から強引に抜かれ……彼は胸に溜まっていた私の汗を指ですくって舐めとっていた。
「あっ…♡ちょっと…やめ」
「…しょっぱい」
「女性の汗の感想なんて普通言うかしら……ほんと最低っ……♡」
彼にこうして汗を舐め取られるのも、もう何度目になるだろうか。
初めてやられた時はただただ恥ずかしくて嫌だと思っていたけれど、 二度三度とやられる内になんだかいけない気分になっていき……
今では変態趣味に付き合わされることに少しの快感を覚えてしまっていることが染められてしまっているようで悔しい。
どうして……いつからこの状況に慣れが生まれてしまったのだろう?
もう私はかつての自分がこういったことを毛嫌いするタイプの人間であった時の感覚が思い出せなくなってしまっている。
そんな複雑な胸中をよそに、彼は私の二の腕を掴むと上に引き上げ……汗蒸れた腋を露わにした。
「っ………♡」
むわっ…と自分でもわかるくらいに濃い汗の匂いが部屋に広がり、その恥ずかしさに思わず声を漏らしてしまう。
彼はそんな私の反応を気にも留めずに、私の腋に顔を埋めると鼻を押し付けてスンスンと匂いを嗅ぎ始めた。
熱を放つそこに鼻息が当たり、生暖かい刺激にゾワゾワっと身が震えるようなくすぐったさを感じる。
「ふっ……♡く…臭くない、かしら?」
「全然……臭くない、やばいくらいお前の汗の甘い匂いはするけどな」
「そっ……!それは……そのっ……よかった、わね?」
彼はそのまま私の腋に舌を這わせると、ぬるりと汗をすくい取り……それを口に含むと味わうように舌を鳴らした。
匂いフェチというのか前々からそういった趣味があるのはなんとなく分かってはいたが、いざそういった変態的な性欲を自分へと向けられると照れを隠せない。
身を捩って悶えながら羞恥心と快感が入り混じる複雑な感覚を処理し切れずに身体中の汗腺からじわっと汗が噴き出す。
そして彼は蒸れた私の腋に舌を伸ばしてきた。暖かく粘ついた舌の感触が皮膚に触れるとゾクッとした感覚が走り、身体がビクンッと跳ねてしまった。
彼の舌が動く度にぞわぞわとした感覚が走り、むず痒さから逃げるように体をくねらせるがどこまでも追いかけて来る。
「くぅ…っ!♡んくっ♡♡」
さすがに逃げることを諦めた私は、せめてもの抵抗に声が出そうになるのを必死に押し殺しながらも彼の愛撫を受け入れる。
まるで犬のようにじゅるじゅると音を立てて腋を舐められ続けていくうちにだんだんと頭が真っ白になり、くすぐったさが快感に変わっていくのを感じ……
興奮と部屋の暑さに当てられて身体が熱くなり、くらくらと目眩がしてきた。
彼は腋から舌を這わせ続けながら、今度はそこから胸の横に垂れた汗をペロっと舌で舐め取ってくる。
味を愉しむかのように丹念と胸をしゃぶり、肌を舐りながら舌先は徐々に胸の方へと向かって行く。
「んぁっ……♡ちょっと、まだ…やるつもりなの?」
そんな私の言葉などつゆ知らずといった風に胸へと手を伸ばすと、ブラジャーの下部から引っかけるように指を捻じ込み……そしてぐっしょりと水を吸って重くなったブラジャーをずり上げた。
ぶるんっと胸の揺れと共に硬くなった乳首が露出し、一層熱気が強くなる。下着から胸が解放されたことで少しは涼しくなるかと思いきや、室内自体が非常に暑いのであまり意味を成さない。
右の乳輪の外側に添うように生暖かい舌が円を描き、焦らすような責めが続く。しかし、刺激を求めて充血している恥ずかしい先端には決して触れてはくれない。
チロチロと動く舌が既に固く勃起している胸の頂に今まさに触れようとしたところで乳輪の外側へ戻ってしまう。
「ふっ♡ふぅっ♡」と期待感から息遣いが自然と荒くなり……何かを懇願するように涙で潤んだ瞳は彼の舌の動きから目を離せなくなっている。
いつしかもう私はすっかり彼に体を明け渡し、股間は暑さによる汗だけではなく別の液体にも塗れてしまっていた。
「あぁっ…!♡やめっ…っ!♡♡」
不意を打つように舌の動きが一段と激しく、早くなり、肌を掠める舌の軌道が乳輪の内側へと向かう。
口を突いて出そうになった「やめて」という言葉を私は必死に押し殺した。「やめて」と言えば彼は本当にやめてしまうから。
(あっ…♡イクっ…♡♡♡いま先っぽを舐められたら♡絶対にイっちゃう…♡♡♡)
だが、胸の味をひとしきり堪能した彼は唾液の橋を架けながらすっと舌を離してしまった。
「あっ♡!?…………はぁ…え?」
突然の肩透かし。名残惜しそうに濡れた胸がてらてらといやらしく光る。
もうすぐ来るはずだった強い快感に備えていた私は、間抜けな声を出しながらぼおっとした目で彼の顔を窺ってしまう。
内側から熱が溢れて来るような感覚にヒクヒクとした痙攣が収まらなくなり、今はただもじもじと膝をこすり合わせながら燻る疼きに身悶えるしかない。
彼に何度も弄られたせいですっかり性感帯として開発されてしまい、少し触れられるだけで甘い痺れが走るようになった乳首はつんっと尖って痛いほど膨れており
発情しきった身体が切なくてたまらない。
「はーっ♡……はーっ♡なんで……♡」
「どうかしたか?随分苦しそうだけど大丈夫か?」
「い、いいえっ…!別になんでもないわ……っ♡もう終わりなら離れ…♡んんっ!なんでもないわ…♡」
求めていることを気取られないように虚しい努力で平静を装う。
でも、憎たらしくもこういったことで完全に一枚上手な彼は愉快そうな表情でニヤニヤと笑いながら私を見下ろしていた。
そして「ならいいけど」と呟くと、快感を求める乳首は放置したまま胸の谷間に顔を突っ込むとそのまま深呼吸を始めて匂いを味わう。
大きく吐き出される彼の吐息が肌の上から胸骨の辺りに触れる度に少し興奮してしまう自分がおり、背筋にぞくぞくとした震えが走っていく。
自分で尖ったソコを触ることもできるけど……それでも私はまだ素直になれない。
もうここまで来てしまえば折れざるを得ないことは自分でも分かっているというのに、負けた気分になるのでやりたくなかった。
「やぁっ♡」
彼は片意地を張り続ける私の腰へと下心を隠そうともせずに手を這わす。
感度の高まった皮膚をごつごつとした男らしい手で身体を好き放題に嬲られ、指先が軽く食い込むだけで腰全体に電流が走る。
腰のくびれを撫で回していた手はやがて臀部まで降り、触れられるだけでゾワっと身体が震えてしまう。
「相変わらずデカイ尻だよなぁ?揉みごたえ抜群だ」
「好きで大きいわけじゃないっ……♡」
お尻を鷲掴みしながら少し乱暴に揉みほぐされると触られてもいない胸の先が疼き、秘部はきゅんっと収縮する。
やがて暑さと熱さに頭をやられた私は、無意識の内からの彼の胸板に硬くなった乳首の先端を擦りつけて弄っていた。
息をするのに合わせて違和感がない程度に胸を上下に揺らし、乳頭を圧しつけることによって性感を高めていく。
男性の前で隠れながらも乳首オナニーという痴態を披露するという恥ずかしさから耳まで真っ赤に火照っているのを感じるが、勝手に動いてしまう自分をもう止めようにも止められない。
彼はそんな様に気付いているのか気付いていないのか、何も言わず……ただ黙って全身に手を這わせながら快感に浸る私を見つめている。
「っ…♡ふっ…♡♡……んぁ!♡………あっ♡♡あぁっ!!♡♡く…♡い゛…っ!!♡♡♡」
目の前で光が弾ける。我慢できずに声が漏れ出し、より強い快感を味わう為に足がピンと伸びる。
夢心地に浸りながら彼の背に強く手を回し、ぐりぐりと乳首を押し付け……腰を浮かせながら、私の秘所からは尿か潮か自分でもわからない透明の液体をぷしっと噴出してしまう。
そして覆いかぶさっていた彼のお腹の辺りをべっとりと汚した。
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「ほれ、飲み物」
「つめたっ…………ん。ありがと」
私は頬に押し付けられた冷たいペットボトルを彼から受け取った。
そのボトルには有名企業の飲料水を示す青いラベルが巻き付けられている……これは山からの清流に晒して冷やしておいたものの内の一本だろう。
キャップを捻り開けた私は飲み口に唇を添えると、ゴクゴクと喉を鳴らして一気に呑みこむ。
冷えた液体が喉を通って流れ込むのを強く感じ…火照りが収まる清涼感が身に染み渡るようで気持ちいい。
(あ゛~……また流されちゃった)
もう何度目になるかわからない反省が頭をよぎり、心の中で頭を抱えてしまう。
隣を盗み見ると悩みの種である彼は、古臭い瓶ラムネのキャプを押し込んでいた。
しゅわっと抜ける炭酸の音とラムネの中に沈み込んだビー玉が瓶に衝突する小気味のいい音が響く。
「……もう」
自分勝手なくせにちょっと気が利くこの人との日常を私は本格的に好きになってしまったのかもしれない。