「……信じ、られない」
運営委員専用として設けられたVIPルームにて、薙切えりなが呟いた。
いつもの癖で腕を組むが、腕の震えが身体に伝わり、動揺を更に加速させた。
Aブロックは以下の順で四名が──。
一位。【94】《葉山アキラ》。
二位。【93】《幸平創真》。
二位。【93】《黒木場リョウ》。
三位。【90】《タクミ・アルディーニ》。
Bブロックは以下の順で四名が本戦出場を決めた。
一位。【96】《燦徳正吾》。
二位。【95】《薙切アリス》。
三位。【92】《新戸緋沙子》。
四位。【88】《田所恵》。
点数に差はあれど、上と下を比べても8点の範囲内。えりなの目から見ても、どの品も非常に出来が良く、熾烈な研鑽だったと言える。
しかし、一人、一人だけ飛び抜けた才能を見せつけた料理人が居た。それは点数という差では表れていない。本当の意味でその料理人の才能を感じ取れた者は、薙切えりな以外にはほとんど存在しないだろう。
Bブロックの最後を飾った──
匂いを嗅がなくとも、食べずとも、美味なのは嫌というほどに伝わってきた。神の舌によって築き上げてきた揺らぐことのないプライドも、あの皿の前では崩されてしまう気すらした。
──疼く。
何度も、何度も、何度も。
頭の中で予想を組み立て、思い描く味。そしてその度に、作り上げた味を自ら否定する。この程度であるはずがない。この程度の味を
──疼く。
食材も、調味料も、
Bブロックの調理を見に来た瞬間から、えりなの視線は正吾の調理場へと釘付けになっていた。他に余所見する気すら起きず、制限時間全てを彼の調理を見るためだけに捧げた。
初めて仲良くなった異性の友達。
腕が良いことは知っていた。実力があることも分かっていた。自身が認めるに値する料理人だと──勘違いをしていた。
「…………遠い」
認めるなど、思い上がりも甚だしい。認められなければならないのは、自分の方ではないか。
神の舌があっても同じ料理は作れない。えりなはそう断言出来た。食材のランクや調理技術とはまた別の力。上手く言葉に出来ない実力の壁を、えりなは身が焼かれるような思いで受け止めていた。
次元が違う。立っている領域が違う。
これではまるで、まるで──幼い頃に憧れた、あの人物のようではないか。
──疼く。疼く。疼く。
震えが強くなる度に、身体の奥が疼く。
二つ目の心臓でも出来たかと錯覚してしまうほどに、強く脈を打つ。体温は上がり、息は乱れ、無意識に身体を抱き締める。
震えは足にまで回り、立っていられなくなる前に後ろに置いてあるソファーへ倒れ込んだ。高級な皮の冷たさが、火照った身体に心地良い。
淑女らしからぬ体勢で息を整え、視線を上げる。目に入ったのは巨大モニターに映し出される『燦徳正吾』という文字だった。
「……燦徳くん。……私は、貴方を……!」
超えてみせる。
その言葉がえりなの口から溢れることは──なかった。
秋の選抜予選が終わり、次の日から二日間学園は休日となった。
予選に参加していた生徒は休養日とし、観戦していた者達は披露された料理を分析し己の糧とするために努力していた。
大半の生徒が充実した休みを過ごしている中で、そうでない者が一人。
秋の選抜予選Bブロックに選手として参加し、最終的な順位は三十人中で同率の五位。本戦への出場資格を逃したとはいえ、高等部一年の中では非常に強い存在感を示すこととなった人物──北条美代子であった。
大会で負けた後悔も、やり切った満足感も、彼女の中にはない。ただ目の前に立っている男、燦徳正吾への憎しみを噛み殺すようにして震えていた。
今日は朝から正吾に呼びつけられ、指定されたホテルへと来ている。制服を着る必要もないので、服装はトレーニング用に持っている色気の無いジャージだ。
「ようこそ、ウチのホテル自慢のスイートルームへ。良いセンスだろ。一泊するだけでも軽く百万近くは飛ぶぜ?」
「……せっかくの良い部屋も、アンタの顔があるだけで最低の部屋だよ」
赤色のカーペットに純白の壁。大きく目を引くのはキングサイズのベッド。置かれている机や椅子は全て最高級品で揃えられており、視界に入る物の合計金額だけで車が何台も購入出来るほどだ。
「ハッ、そうそう。強気な負け犬って可愛いよな。今日は精々、そのままの威勢でいてくれよ」
「あんたこそ、化けの皮が剥がれたじゃないか。ヘラヘラした優男面より、そっちの方が幾分かマシだね」
「それはどうも。自分の所有物にまで愛想良くする必要はないからな。これが俺の本性だ。調子に乗って喧嘩売ってきたくせにボロ負けした可哀想な女にはキツかったか?」
「ッ! ……なんでも完璧みたいな面しやがって。ギリギリの一位だったじゃないか! 薙切アリスと一点差のなっ!!」
所有物という言葉に僅かな怯えを見せながらも、美代子は強気を崩さない。
売り言葉に買い言葉のやり取りで短気な美代子が挑発に乗らないはずもなく、的外れと分かってはいながらも嫌味を返す。予選落ちした立場で何を言ってるんだと、己の弱さに肩を震わせながら。
「ああ、確かにギリギリだったな。一位通過ならただ目立つだけだが、満点なんてやり過ぎで悪目立ちだ。だから審査員に命令して点数を調整させたんだよ。いいか? 俺には満点を取るメリットなんて……
「……ッ! ……そ、それで? アタシに何をさせようってんだい?」
これ以上噛みついても歯は立たない。美代子は血が出そうな程に拳を握り締めながら、この場に呼ばれた理由を訊ねた。
既に実家には跡を継がないという宣言を電話でしてあるので、正真正銘の一人者。夢だった後継者を自らの手で断ち切った美代子に、恐れるものなどなかった。
燦徳正吾という男の本質が
勝負に敗北した場合の代償は自分自身。中華に精通した料理人が欲しいという正吾の言葉を、美代子は少しも疑っていなかった。
女として扱われる屈辱こそあるが、燦徳家が世界的な権威を有しているのは事実。燦徳の名を背負った料理人になれば、間違いなく料理人として成長出来るのだ。
長年の夢を捨てたのだから、当然後悔がない訳ではない。気に入らない男に従うのも本意ではないが、悪いのは全て敗北した自分だ。何を言っても負け惜しみ。どれだけ睨みつけても無意味。ならば少しでも自分が成長出来る道を選ぶのみ。
北条美代子は燦徳正吾に従うと、受け入れていた。
それが──どういう意味であるのかも知らずに。
「良い心掛けだ。じゃあ早速だけど……
「…………はっ?」
「聞こえなかったか? ──服を脱げって言ったんだ」
当然、美代子もこの至近距離で聞き逃した訳ではない。単純に意味が分からなかったから間の抜けた声を溢したのだ。
予想していた答えは今後の学園での立ち振る舞い。卒業、または退学してしてしまった場合のその後の行動。将来的にどんな料理人として燦徳家に貢献しなければならないのか、などなど。北条美代子という料理人をどう扱うかについての話がされると考えていた。
しかし、目の前の『男』は確かに言った。『女』である自分に──服を脱げと。
「──ッ! お前っ!!!」
激情が抑えきれず、美代子の手が正吾の胸ぐらを掴み上げる。前回避けられたとは思えないほど、簡単に。
質感で高級だと分かる黒のカッターシャツから、繊維の痛む音が鳴った。
「服を脱げだって!? 私をなんだと──」
「女だろ」
ピタッと、美代子の動きが止まった。身を任せていた怒りも、憎しみも、激情も、全てがその一言に
こちらを見ている正吾の目は胸ぐらを掴み上げられている人間の目とは思えないほど落ち着いており、美代子のことを何の脅威にも感じていない、その気になればどうにでも出来ると──舐め腐っていた。
「ッ! か、帰らせてもらう! そんなふざけた話、お断りだッ!!」
掴んでいた手を離し、美代子が部屋の扉へと早足で歩き出す。料理人として従うことは受け入れたが、女として求められることを受け入れた訳ではない。そんなもの、敗者以前に人間としての尊厳に関わる話だ。到底、頷ける命令ではない。
「……な、何だコイツら!?」
美代子が部屋を出るために扉を開けると、そこにはメイド服を着用した女性が三人立っていた。メイドらしく低姿勢で構えてはいるが、美代子を通すつもりがないことは明白だった。
「誰が逃げていいって言ったんだ? 美代子」
「に、逃げるだと!? どこまでもふざけやがって! このクソ野郎ッ!」
逃げ道を塞がれ、追い詰められた美代子がついに暴力を解禁する。嘲笑うような表情で近付いて来る正吾の顔へ、男顔負けの力で思い切り拳を振り抜いた。
間違いなく顔を捉えたかに思われた一撃だったが、正吾は最小限の動きで拳を避けると、無防備な手首を掴んで捻り上げ、美代子を床に組み伏せた。
「痛ッ……! こ、このっ!!」
「無駄無駄。この体勢で動ける訳ないって」
関節を決められた状態で身体の上に跨られてしまえば、脱出は不可能。足をバタバタと動かしてみるが、やはり体勢が悪すぎる。
「おい、手錠」
正吾の催促に、メイドの一人が動く。言葉通りの物を取り出すと、正吾が取り押さえている間に楽々と美代子の両手を手錠で拘束した。効力は本物、手は完全に封じ込められた。
「なっ! 何するんだっ! こんなことして……ただじゃ済まないよっ!!」
「はいはい。ベッド行こうな〜」
美代子の声に耳を貸すはずもなく、正吾は拘束した手を掴み上げて美代子をベッドに運んだ。
雑に放り投げたので、美代子は顔の方からベッドにダイブする形となった。
「ほら、暴れるなって」
「おいっ! や、やめろっ!!」
腰の部分に座り、美代子の動きを制限する正吾。またもバタバタと暴れる足を止めるため、足首を掴んだ。
「おーい、両足頼む」
再びの命令に、今度は二人のメイドが動いた。それぞれ片足ずつをベッドに押さえ付け、美代子の抵抗を完全に無力化した。
どうにかして身体を起こしたい美代子だが、腰と足を止められてしまってはどうしようもない。まさに『まな板の上の鯉』だった。
「ははっ、色気のねぇパンツだな。お前は俺のモノになったんだ、今後はもっと可愛いの履かせてやるからな」
「こ、このッッ!!」
正吾は美代子のズボンに指をかけ、容赦なく下げた。隠されていた灰色の下着が露わになり、太ももまで丸見えの状態となった。
「ハサミくれ」
正吾が近くに待機していたメイドからハサミを受け取ると、下げたズボンをチョキチョキとリズム良く切り裂いていく。他人の服であるなど微塵も感じさせず、一切の躊躇なく最後まで切り抜いた。
足を固定したままズボンが取り払われ、美代子の下半身を守る物はパンツ一枚のみ。沸騰しそうなほどの羞恥に襲われながら、美代子は必死に声を荒げた。
「燦徳ッ! お前っ! 犯罪だぞッ! 抵抗出来ない女に! こんな真似しやがってッ!!」
「なんだよ。散々女扱いされたくねぇって言ってたくせに、こんな時だけ『女』を主張するのか? 都合の良いプライドだな」
「なっ……!」
痛い所を突かれ、黙らされた美代子。
正吾はそんな彼女の様子に口角を上げると、メイドの協力を借りながら着々と準備を進めていった。血流が回り勃起したイチモツを取り出し、ローションを垂らす。最後の砦であったパンツもハサミで切り裂き、下半身を完全に露出させた。
「やめろっ! やめろっ! こんなの……許されるはずがないっ! ……くっ!」
「ああ、悪い悪い。ちょっと冷たいぞ」
足首を二人のメイドに固定され、残る一人のメイドには頭と首を押さえ付けられた。イチモツを挿入する準備を終えた正吾は、美代子の秘部へローションを塗り始める。
「んっ……やっ、やめ……ろぉっ!!」
秘部の入口付近と膣の浅い部分にローションを塗られ、美代子の口から悲鳴に似た声が溢れる。子供とは言え高校生。ここまでされれば、自分の身に何が起こるかぐらい分かる。そしてそれが、絶対に拒否しなければならない行為であるということも。
「やめろっ! 嫌だっ! 離せっ! 離せっ! 離せよっ!!!」
「さて、準備完了っと。北条美代子。──喰わせてもらうぞ」
ピタリと秘部に当てられた肉棒の感触に、美代子の身体が震える。肉食動物に捕食される寸前の小動物のように。
ゴムすら付けていない生のイチモツが──微塵も抵抗出来ない処女の膣へ捻じ込まれた。
「──かはッッ!! ん゛んんんッ!!!!」
処女膜が一瞬で破られ、涙が誘発されそうなほどの痛みが美代子を襲う。
愛撫もせず、ローションに全てを任せた挿入はとても快楽からは無縁のものだった。
膣内に初めて経験する異物感。身体の中に太い棒を無理矢理差し込まれたような感覚であり、これまでに強気な態度を崩さなかった美代子も流石に耐え切れなかった。
「嫌っ! こんなのっ! いっ、痛いッ!! ぬ、抜け……!!」
「あ〜、気持ち良い〜。無理矢理するの最高だわ〜。特にお前みたいなじゃじゃ馬女はさ。
メイドたちの意外な腕力により、ベッドに押さえ付けられた身体は全くと言っていいほど動かせない。美代子は一切の抵抗すらさせてもらえず、膣内を肉棒に蹂躙された。
「んあっ! んぐっ! ああっ! ぐぅっ!」
パンパンと容赦のないピストンが繰り返され、膣の拡張が進む。肉棒が出し入れされる度に膣へのフィット感は増していき、擦れる部分から感じる快楽も大きくなっていった。
処女、それも自慰行為の経験すらない美代子にとっては抗うことすら出来ない快楽地獄。ただ都合の良い『穴』として、性のはけ口にされた。
「キッツ。もっと力抜けよ」
「むっ、無理にっ! 決まって、んだろっ! 馬鹿がっ!!」
「肛門丸見えにされながら汚い言葉吐く女って滑稽だよな」
「お、おい! 何やって……ひんっ!!」
親指でぐいっと尻の肉を動かされ、丸見えとなった肛門。まず女子高校生が受けないであろう屈辱を与えられ、美代子は耳の先まで赤く染まった。
「くそっ! 離せ……! んんっ! は、離せぇ……!」
必死に声を上げる美代子だが、脱出という結果はついてこない。身体は既に言うことを聞かず、強がれるのは声のみとなっていた。
「おら、奥もしっかり潰そうな〜」
「あぐっ! く、苦しい……! そ、それ……やめ、ろっ!」
ゴリゴリと膣内を擦り上げるだけではなく、膨れ上がった亀頭により
「……おっ、出そう。出る出る」
「ッ!? まっ、待て! お前まさか……!」
無遠慮に弄ばれて十分程の時間が経過した頃、美代子は捻じ込まれている肉棒が少しずつ膨らみ始めたのを感じ取った。ギチギチに圧迫されていた膣内が更にキツくなれば、嫌でも変化には気付けた。
そして正吾の口から溢れた『出る』という単語に、美代子の顔が青ざめる。止まらない快楽に耐えつつ、どうにか肉棒を引き抜こうと動いてはみたが──やはり無駄な抵抗となった。
「──……んあ゛ぁぁぁあああっ!!!」
「……ふーっ、出た出た。やっぱ処女の穴はキツいわ」
性行為に於いて、男にとっての終着点である射精。
火傷しそうなほどの熱を持った白濁の精液が身体の中に注ぎ込まれ、子宮付近が一気に重くなる。本来子供を授かるための神聖な行為でなければならないそれも、互いの合意がなければただの
避妊もせずに射精されたという事実が、美代子の心に深い傷を残す。妊娠してしまえば学園は退学するしかない。実家の跡取りは自分の意思で辞退したので受け入れられた。しかし、これは自分の意思ですらないのだ。
「お、お前……! 狂ってる……!」
「おっ、いいね。まだまだ元気そうじゃん。やっぱお前良い女だわ。一生可愛がってやるから安心しろよ」
「舐めたことを……んんっ!」
ずぷりと膣から引き抜かれた肉棒に、思わず声が溢れる。広げられた穴はすぐに閉じることなく、膣内に空気が流れ込んでしまう程度には形を維持。先程射精された精液はごぽっと溢れ出し、美代子の股を不快感と共に垂れた。
──犯された。
女としての屈辱に震え、美代子は涙を堪えきれなかった。最早、押さえ付けられる首や足にも力が入らない。美代子が感じられたのは、自分の膣内に確かに存在する熱い熱い精液のことのみ。蹂躙された膣内と押し潰された子宮口による余韻と合わさって、正常な思考など出来る状態ではなかった。
「あー、気持ち良かった。穴の具合はまだまだだけど、無理矢理襲うってシチュエーションに興奮出来たわ。それでどう? 自分の立場分かっただろ? 料理の腕も中途半端で、無駄にエロい身体してるだけの……弱い女だってさ。お前を応援してるように見える学園の男も、別にお前を応援してる訳じゃない。ただエロい身体でエロいチャイナ服着てるお前に、ちんこ勃たせてただけだ」
「……許さない。……お前だけは、絶対に……!」
朦朧とする意識の中、美代子はほとんど残されていない体力を振り絞って正吾を睨みつける。攻撃出来るなどと考えている訳でもなければ、逆転出来るとも考えていない。自分に希望が残されていないことなど、美代子は十分に
それでも、睨まずにはいられなかった。人として、こんな外道な行いが許されていいはずがないと。お前に屈することなどありえないと。そう示さずにはいられなかった。
「……本当にいいな。本戦一回戦までの二日間、退屈はしなさそうだ」
女としての
強い精神力と肉体を持つ反抗的な雌。これを調教して自分のモノに出来ると考えただけで、イチモツは再び凶悪なまでに勃起した。
しかし、挿入はしない。正吾は美代子に対して、ただの
「身体を拭いてやれ。その後、四つん這いにして拘束。調教方法は『KK』でやる。準備してくれ」
正吾の指示を受け、三人のメイドたちが行動を開始。美代子の身体には自由が戻ったが、当然暴れる体力など残っている訳もなくベッドに倒れ込んだままだ。ほんの僅かでも脱出の可能性があるとすれば、間違いなくこの瞬間だけの話だっただろう。
「
死刑宣告とも受け取れるその言葉に──美代子は己の運命を悟った。
お陰様でお気に入り登録が3000を超えました! ありがとうございます!