──『
通称、遠月学園とも呼ばれる日本屈指の料理学校。
卒業到達率は10%にも届かないと言われる超絶エリート校だ。
中等部と高等部の二つが存在しているが、俺が編入するのは当然高等部。
この編入試験日を待ち侘びていた。なんせ二度目の人生に於ける最大の獲物──『薙切えりな』との初対面になるのだから。
「いってらっしゃいませ。正吾様」
「ああ、見送りありがとう。行ってくる」
使用人の女に別れを告げ、デカい門を潜る。
まずやるべきこと、それは──
「……おっ、居た居た」
不機嫌そうな背中で歩く原作主人公を発見。下町の定食屋であることをモブに馬鹿にされた件は既に終わったらしい。
幸平創真は薙切えりなを手に入れる上で最大の障害だ。主人公とヒロインの関係性を断ち切るためにも、俺は原作主人公と仲良くなっておく必要がある。
「よう。お前も編入試験か? 俺は燦徳正吾。よろしく」
「……おっ、おう。幸平創真だ」
「そんな警戒すんなって。俺は下町の定食屋だろうと馬鹿にしねぇよ」
「聞いてたのかよ……。ったく、この学園はなんなんだ。意味わかんねー」
料理に関してはチート頼りだが、コミュニケーション能力は磨き上げてきた自前のもの。伊達に名家に生まれていない。幸平自身が気さくな性格をしていることもあり、俺はすぐに打ち解けられた。
「この調子じゃ、どんな偉そうな奴が審査員なんだか」
「ははっ、そうだな。……多分、めっちゃわからせたくなる奴だぞ」
「へっ? わからせ……なんて?」
「なんでもねぇよ。ほら、創真。──来たぞ」
試験会場に現れた一人の女。
長い金髪を揺らしながら、強気な態度を隠そうともしない。制服であるブレザーを押し上げる双丘の存在感に目を奪われつつも、短いスカートと黒のソックスによる絶対領域の引力にも襲われた。
「本日の編入試験を一任されました。──薙切えりなと申します」
(このエロさで料理人ってのは無理があるだろ……)
しかし、今後このツッコミを入れたくなるキャラがバンバン出てくるのだ。いちいち反応していては時間の無駄。精々舐め回すように見て、脳内で犯すとしよう。
「えっ? 誰? あの女の子が試験官ってことか? 正吾」
「そうみたいだな。説明始まるぞ」
と言っても、原作知識があるので聞く必要はない。
面接や書類選考を面倒がったえりなが調理台を持って来させた所まで、俺はひたすら彼女を凌辱する妄想に励んでいた。
「メインの食材は卵。一品作りなさい。
瞬間、モブが脱兎の如く逃げ出した。
我先にと他人を押し退け、醜いことこの上ない。てかなんで男ばっかなんだよ、可愛い女でも居れば家の職場にスカウトしたのに。
「お、おい、なんじゃこりゃ……。みんな逃げちまったぞ」
「まあ、彼女は有名人だしな。彼女に料理を『不味い』って言われたら、料理人としての人生が終わるとまで言われてる」
「はぁっ!? ますます訳わかんねーぞ!?」
「だよな。それは同感」
料理で全てが決まり過ぎるんだよな、この世界。
でもそのお陰で俺の野望も現実味があるんだから、文句はないけど。
「私の新作を食べる権利が欲しいの……? ふふっ、いやしい娘ね」
「申し訳……ありません。……えりな様」
そして唐突に始まる百合。
えりなと見つめ合っている少女は秘書である
当然この女も──俺の獲物だ。
「作る品は何でもいいの?」
百合に挟まる男、幸平創真。
もう少しえりなと緋沙子を見てニヤニヤしたかったが、主人公による強制進行は止められない。俺は流れに乗り遅れないよう、創真の後ろへ静かに移動した。
そこからのやり取りはどうでもいい。創真が舐めた口を叩いて、えりなと緋沙子がキレただけ。俺の存在に気付いてもらえた瞬間から、俺のやるべきことは一つ。
──『
「ま、不味いわよぉっ!!」
「あれぇぇぇぇえ!?!?」
原作通り、創真の『化けるふりかけご飯』は不合格の烙印を押された。不必要にえりなを煽らなきゃ合格出来たと思うんだが、まあ仕方ない。
絶望しながら出て行った創真に声もかけてやれなかったが、どうか許して欲しい。ビクンビクン悶えるえりながエロすぎて、荒ぶるイチモツを抑えるので精一杯だったんだ。
「はぁ……はぁ……。もう一人、ね。幸平くんの失格を見ても、試験に挑む意思は変わらないのかしら?」
どうやら、ようやく俺の番らしい。
イチモツも落ち着いてきたし、いけそうだ。
「もちろん。燦徳正吾です。よろしくお願いします」
「……燦徳。なるほど、燦徳家の長男が遠月に来るという噂は本当だったのね」
やはりと言うべきか、えりなは俺のことを知っていたらしい。隣で聞いていた緋沙子が驚いた顔を向けてくる。可愛い。早くあの真面目そうな顔を快楽でぐちゃぐちゃにしてやりたい。
──が、その前に本命だ。
俺はこの試験で薙切えりなに『燦徳正吾』という料理人を刻み込まなければならない。脳に、身体に、そして──舌に。
「……審査に手心は加えません。それでもいいなら、作りなさい」
「少々お待ちを、お客様」
これから俺は転生して初めて──
本気を出した場合、俺もどうなるか分からない。それぐらい、俺は自分のチートのことを把握していないのだ。
まあそれでも、これは即興で作る品。それほど心配はしていない。これで準備期間とかあったら大変なことになってたかもな。中毒者を生み出してしまったなんて普通にあり得る。
「さて──出来上がりだ」
えりなの前に皿を出す。作ったのは誰にでも作れそうな『オムレツ』だ。
味見なんてしていないので、どんな味なのか俺にも分からない。
「なっ、オムレツ!? えりな様になんて物を食べさせる気だ!」
「でも、そのえりな様は食べる気満々みたいだけど?」
簡単すぎる料理に緋沙子がケチを付けてくるが、審査するのはえりなだ。そしてそのえりなは、俺のオムレツから目が離せないでいた。催眠にでもかかったかのように皿へ引き寄せられると、置いておいたスプーンを手に取り、一口分の卵を掬い取った。
料理なんて興味ない。俺にとって料理は『手段』に過ぎない。
ただの道具でただの武器。
それでも、確実に言えることは──。
「……あっ。……んんっ、こんな……!! んぐっ……ああっ……あぁぁぁんっ!!」
俺の料理が──
創真の時以上に身体を震わせ、膝から崩れ落ちたえりな。
予想は出来ていたので、顔を床に打たないように正面から受け止める。想像も出来ない程の旨味により意識は朦朧としている。俺はこのチャンスを逃さず、えりなの胸に手を当てた。
(……でっけぇ)
これが同い年の女子とは思えない。服の上からでもしっかりと柔らかさを感じられる至高の胸だ。危険なので揉むという行為は控えるが、思いっきり密着しているえりなの匂いを嗅ぎまくった。
創真の後に料理を出すことで、創真の料理で受けた衝撃を上書きする。爆発的な美味によって、薙切えりなの意識を俺だけに向けさせたかった。
「え、えりな様!」
「大丈夫です。怪我はしていませんよ」
呆然としていた緋沙子が復活し、えりなに駆け寄ってきた。チャンスタイムは終了だと、俺は緋沙子にえりなを預けた。
「い、一体、どんな調理を……?」
「ああ、貴女は試験官じゃないので食べないでください」
「なっ! ……いや、貴方の言う通りだ。申し訳ありません」
緋沙子がオムレツに手を付けようとしたので、しっかりと拒否。これも後に行う狩りのための仕掛けだ。食べさせはしないが、匂いだけはちゃんと嗅がせておくのが大事だ。
「んっ! んんっ……!!」
匂いだけで官能的な表情を見せる緋沙子。今すぐひん剥いて思いっきりヤリまくりたいが、まだその時じゃない。俺の理性を舐めるなよ。野望のためなら、俺はどんな欲望だって押さえつけてみせる。
「薙切さん。試験の結果はどうでしょうか」
俺は膝を折って、まだ立ち上がれそうにないえりなに視線の高さを合わせる。頬は赤く染まり、息も絶え絶え。事後のようなエロさ全開だ。それからスカートを手で押さえていることから、多分濡れてる。
(やっぱ料理人は無理だろ。このエロさで)
さっきから勃起しないように全力を尽くしている。なんなら料理作る時より頑張っている。マジでエロすぎるだろこの女。顔も身体も匂いも声も、全部が男を誘ってやがる。俺じゃなかったら耐えられなかっただろう。鍛えといてよかった。
「……ご……ご、合格とします」
「どうも。必要なら手を貸しますけど、立てそうですか?」
「と、当然です! ……緋沙子、行くわよ」
「はっ、はい! えりな様!」
こうして、無事に遠月学園への編入が決まった。
生まれたての子鹿のような足で去っていくえりなと、それを支える緋沙子。二人の美少女を見送り終えてから、俺もすぐに退室した。創真の料理を食べるために、学園総裁がその辺に隠れているはずだからだ。いつまでも俺が居たんじゃ、出て来られないだろう。
しかし、学園の外に出た瞬間に気付いた。
「……あっ、えりなが口付けた箸じゃん。あれ」
孫娘との間接キスとか、とんだ変態ジジイだった。
「……欲求不満、だな」
エロい身体を目の前で見せられるだけ見せられて、触らないという拷問。我慢を重ねた俺のイチモツも暴れたがっている。
俺はすぐに最近登録した電話番号──八重子の番号にかけ、家に来るように告げた。
家に帰ってから日付が変わるまで、俺は八重子の身体を隅々まで犯しまくった。
ベッドに座り込みながら枕を顔に当て、えりなは涙目で震えていた。身体に残る衝撃と快感がまだ続いているからだ。
「……なんだったの。あの味は」
神の舌として幼い頃から数え切れないほどの料理を味見してきたえりな。
そんな彼女ですら、正吾の出したオムレツに理解が追いつかなかった。
卵料理はシンプルだからこそ料理人の腕が試される。
つまり──実力を見せるのに適した食材という訳だ。
「……んっ、んんっ。……まだ、舌に残ってる」
試験が終了してから三時間は経過している。新作料理を試そうとしていたにも関わらず、えりなは自室で何も出来ずにいた。それほどまでに神の舌が受けた美味は想像を絶するものだった。
「……燦徳……正吾くん」
名前を呟くと同時に、えりなは胸が熱くなった。自身の舌をここまで満足させられた料理人など、久しく出逢っていなかったからだ。
ふと、
──恋の味を知らない少女、薙切えりな。
性の味も知らない純潔の少女は大洪水となっている自身の下着にも気付かず、しばらくの間『燦徳正吾』という料理人に思考を奪われたのだった。