初日に函館で行われた一次試験に続き、正吾を含む反逆者メンバーたちは二日目に札幌で行われた二次試験も無事に突破していた。
提示された『麺料理』のお題に対して試験官からされた食材すら与えないという妨害にも屈さず、じゃがいもを麺に変えた豪雪うどんで試験の合格を勝ち取ったのだった。
合格に浮かれるメンバーたちを待っていたのは、列車が出発するまでの間に許された札幌観光の自由時間。季節柄、早い時間帯でも日は落ちている。大都市である札幌の街並みは色鮮やかな光に包まれ、雪景色と合わせて幻想的な美しさを放っていた。
食べ歩きをする者、公園を歩く者、北海道の文化に触れる者。自由時間をどう使うかは文字通り個人の自由。試験という張り詰めた空気からの一時的な解放を、誰もが心から楽しんでいた。
そして燦徳正吾もまた、自由時間を楽しんでいる者の一人。
食べ歩きでもなければ観光でもない、三人の女と共に燦徳家所有のホテルへと入り──ベッドの上で性欲を思う存分に発散していた。
「んあっ! あんっ!! いやっ、んんっ……イっちゃうっ!!」
「ああんっ! しょ、正吾くんの! お、おちんちんっ!! きもち、いいっ……!!」
「ハハッ、可愛いよ。涼子、アリス」
並べられた二つの尻が快楽で揺れる。
榊涼子は正吾の指によって中出し済みの秘部を精液ごと掻き回され、薙切アリスは正吾の固く勃起したイチモツによって膣内を蹂躙されていた。グチュグチュという水音と、パンパンッという交尾の音が部屋全体に響き渡る。二人の女たちの口からは絶えることなく喘ぎ声が溢れ、男の欲望を更に加速させた。
「ッ! ああっ……! い、イぐッ! イっぢゃうぅぅッ!!」
「お゛ッ……! だ、出してぇ! アリスのおまんこにぃ! しょうごぐんの精子たくさんだしてぇッ!!」
「お望み通り……受け止めろッ!」
涼子が潮を吹いた瞬間に合わせて、正吾はアリスの膣奥を亀頭で押し潰して射精した。一度目の射精から大した時間が経っていないにも関わらず、アリスの膣内に吐き出した精液は秘部から溢れる出るほどに大量。
「ふぃーっ、出した出した」
「……んんっ。……あ、ああ。き、気持ち、よかった……」
「はぁ……はぁ……んあっ」
アリスの秘部からイチモツを引き抜き、熱くなった自身のイチモツを見て笑う正吾。北海道に来て初めてする性行為だからか無意識の内に張り切っていたようだと、自分の単純さに少々呆れていた。進級試験の最中であるというシチュエーションも興奮する材料になっていたのだろう。他の同級生たちが観光を楽しんでいる中で女子生徒と肌を重ねるなど、最高の状況としか表現出来ない。
二人の女を全力で抱き潰し、一息ついた正吾。
全裸のまま机に置いておいた水の入ったペットボトルを手に取り、喉を潤す。ベッドの上で絶頂の余韻に浸る涼子とアリスにも、同様に水を手渡した。
部屋には暖房が効いているので、二人は愛液だけでなく汗も大量に流している。失った水分は言うまでもなく多いので、水分補給はしっかりとさせておく。
「──さて、お前はどうする? 美代子」
ベッドに腰掛け、アリスと涼子以外に連れ込んだもう一人の女に視線を向けた正吾。
腕と脚を組みながら近くの椅子に座り、目の前で性行為を眺めていた少女──北条美代子に声をかけた。
「……どうするって、何が?」
曖昧な質問に対して疑問をぶつけた美代子だが、何を訊かれているかなど分かりきっている事だ。わざわざ問いかけるように詰めてくる辺り本当に性格が悪いと、美代子は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「いや? お前は混ざらなくて良かったのかと思ってな。俺たちと一緒にシャワーも浴びなかったし、ベッドにも来なかったしさ」
「……当たり前だろ。誰が自分から抱かれてやるもんか。……アタシはあんたの性欲処理をするために北海道まで来たわけじゃない」
「それもそうだな。別に、無理にとは言わねぇよ。美代子も試験で疲れてるだろうしな。アリスと涼子みたいにストレス発散になればと思っただけだ」
気遣うような台詞を聞いても、美代子の苛立ちは消えない。抱くつもりがないのなら何故ホテルに誘ったんだと、怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
他三人は裸で、自分だけが制服姿ということに違和感を覚えてしまっている自分自身にも、僅かな怒りを滲ませた。
「……抱かないのか?」
「無理矢理にはな。……ホテルに入ってもう一時間か。他のみんなと合流しといた方が良いだろうし、あと一時間ぐらいしたらホテルを出ようぜ。アリスと涼子なら、もう一回戦ぐらい付き合ってくれるだろ」
遠回しに用済みと言われた気がしたため、美代子の苛立ちは更に高まった。普段なら強引な命令口調で従わせ、無理矢理に身体を犯してくるところだ。しかし、今の正吾にそんな様子は微塵もない。美代子は椅子から立ち上がると、正吾を睨みつけながらゆっくりと距離を詰めた。
「……いつもみたいに、命令すればいいじゃないか。そうすれば、アタシはあんたに股を開くしかなくなるんだ。アタシは……あんたに負けたんだから」
ベッドに腰掛けている正吾を見下ろしながら、美代子が苛立ちを含んだ表情で訴えかけた。握り締めている拳も、言い放った言葉も、不安そうな瞳も全て震えている。まるで、捨てられる事に怯える子犬のような姿だった。
「……ハハッ。冷めること言うなよ、美代子。今そこで二人とのセックス見てただろ? 俺は無理矢理じゃなくて、愛し合いながら肌を重ねたいんだ。悪いけど、もう命令はしねぇよ。──絶対にな」
「……ッ! ……そ、そうかい。なら、もう抱かれてやる必要はないってことか。それは……何よりだよ」
強気な言葉を口にしても、美代子の表情は曇ったまま。そんな彼女の様子に心底楽しそうな笑みを浮かべながら、正吾は美代子の腰に手を当てて身体を自分の方へと引き寄せた。
「ッ! ちょっ、いきなり……んんっ」
対面座位のような体勢で膝に座らされると、美代子はそのまま口を口で塞がれた。舌を捻じ込まれるような乱暴なディープキスではなく、唇と唇が触れ合うだけの優しいキス。抵抗しようと思えばすぐに逃げられるほどの、強引さの欠片もない愛情を感じさせるキスだった。
「な、何のつもりだ? こんなキス……アタシにしたこと、ないくせに」
「嫌だったか?」
「……ッ! べ、別に、嫌とは……言ってないだろ」
白い肌を赤く染めながら、美代子が顔を逸らす。直接肌が触れ合っている太ももから熱が伝わり、身体全体が火照り始めた。
「可愛いよ、美代子」
「なっ……! 何言ってるんだ! アタシが可愛いわけないだろ! 女らしさなんてとっくに捨てて──」
「
「〜〜〜ッ!!?」
自分でも分かるほどに顔が熱を発している。それと同時に、美代子の心臓はこれまでの人生で最も早く鼓動を繰り返した。
髪を褒められたことに対して嬉しいと感じている自分の存在が信じられず、美代子は少しばかりの放心状態に陥る。そんな隙を目の前の男が逃すはずもなく、美代子の頬に手を当てながら、優しい言葉をかけた。
「美代子は可愛いぞ、俺の大切な女だ。一生幸せにする。だから、美代子も俺を愛して欲しい」
「あっ……あっ、そ、そんなの……」
「無理しなくて良いんだ。美代子には俺がついてる。──愛してるよ」
確かに感じた幸せの感情に、美代子の脳が犯される。抵抗しようとすら思わない、愛情という名の鎖を受け入れた。
「……ほら、
「やっ、ち、ちが……!」
「違わないだろ? 俺は素直な美代子が好きだぞ」
開脚しながら座っているので、秘部は無防備。パンツをずらされ、愛液が溢れ出ている秘部を指で責められた。膣内をなぞるように優しく、形が分かるようにゆっくりと。
「んんっ! あんっ! ……んぐっ!」
「おいおい、少し触っただけだろ? そんなに気持ち良いのか?」
言い返す余裕もなく、美代子は喘ぐことしか出来ない自分の口を手で必死に塞いだ。好き勝手に弄られている秘部を、自分の意思で指に押し付けているとも知らずに。
「ダメだ、声を抑えるな」
「……んあっ! んんっ、いやっ、あんっ、ひゃっ」
片手で両手を掴まれ、頭の上に固定される。塞ぐものがなくなった口からはまた情けない喘ぎ声が溢れた。
その声で正吾のイチモツに血が流れ始め、美代子のスカートを押し上げるほどの勃起状態となった。
「これ挿れたら気持ち良いぞ? ……なんて、言わなくても知ってるか」
「はぁ……はぁ……」
拘束された両手を振り解こうともせずに、美代子はガチガチに固まったイチモツに視線を奪われていた。スカートを下から押し上げ、腹付近にまで迫っている。
いつもこんな凶器を自分の中に捻じ込まれていたのだと見せつけられ、同時に膣がイチモツを求めて締まりだした。
その瞬間、自分はとっくに手遅れなのだと美代子は理解した。
初めて犯された日から幾度となく調教され、心を折られ、性がもたらす快楽を身体に染み込まされた。
この凶悪に勃起するイチモツがない生活など、美代子はもう考えられなかった。そしてそれ以上に、自分を
故に、北条美代子は叫んだ。
自分を女にした男へ、持て余す性欲と共に。
「いっ、挿れてぇっ……! 正吾のちんこぉ、アタシに……挿れてほしいぃ!!」
涙を浮かべながらの懇願に、正吾が口角を上げる。
秘部から指を抜き、両手の拘束も外してからもう一度軽くキスを落とす。その後ブラを外してワイシャツも脱がせ、上半身を裸にした。
飛び出した豊満な胸を両手で揉みしだき、乳首を同時に摘み上げる。
「んあっ! ち、ちくび……! きもちっ……!」
「そうだ。気持ち良いなら、ちゃんと言え。その方が可愛いぞ」
コリコリと指で弄られてから、カリカリと爪先で刺激される。それだけで美代子の秘部からは次々と愛液が溢れ出し、またがっている正吾の膝はビチャビチャに濡らされることとなった。
「おいおい、漏らすなよ。悪い子だ」
「ご、ごめ……! あ、あたし……!」
「ああ、すまんすまん。少し虐めたくなっただけだ。怒ってないぞ」
素直になるように仕向けはしたものの、予想以上に効果が出て戸惑う正吾。慌ててフォローをしつつ、弄る場所を胸から再び秘部へと変更した。
右手の人差し指と中指を揃えて膣内へ挿入し、Gスポットを重点的に責め始めた。コツンコツンと指で刺激される度に、美代子の腰が与えられた快楽で跳ねる。
「んあ゛ぁぁぁあっ!! き、きもちいいっ! そ、それ、やめっ……!」
「我慢しなくて良いぞ。俺に身を任せろ」
正吾の首に両手を回し、身体全体を押し付けながら快楽に悶える美代子。口は酸素を求めて開いたままになっており、端からは少量の唾液が垂れてしまっていた。
「んん゛ッ! ……あ、い、い……イぐぅっ!!」
そして訪れた絶頂。秘部からはぷしゃあっと潮が勢いよく飛び出し、正吾の膝に追撃を喰らわせた。
強引に与えられるのではなく、美代子自身に合わせた形での絶頂。この初めての経験に、美代子の身体は今までとは違った様子で発情した。
「よしよし、ちゃんとイケて偉いな。もうやめるか?」
「や゛っ、やめない、で。まだ、挿れてもらって……ないからぁ」
「分かった。お望み通りにしてやる」
「ひっ……!」
正吾は美代子の太ももに手を当て、そのまま身体全体を持ち上げながら立ち上がった。美代子の両手は正吾の首に回されているので、安定感は申し分ない。不安定な状態だというのに、美代子に落とされるという恐怖は少しもなかった。
「──じゃあ、挿れるぞ」
「……はぁ、はぁ、い、挿れて……くれ」
正吾は秘部の入口に亀頭を当てると、持ち上げる力を緩めて腰を下げさせる。そのままゆっくりと──イチモツを挿入した。
「あんっ! ……んんっ、んっ。……ふ、ふと……っ!」
「あー、あっついな。締まりもいいし、最高だわ」
支える場所を太ももから脇に変更し、イチモツを一番奥まで挿入。立ったまま挿入していることで重力がかかり、膨れ上がった亀頭は美代子の子宮口をグリグリと押し潰した。
「んあっ! お、おぐっ! つ、潰れりゅ……!」
「逃げらんないだろ! ほら、ちゃんと気持ち良いって言えよっ!」
「ぎもぢいぃっ!! おくがぐりぐりされてて……ぎもちいいのぉぉおッ!!」
美代子の身体を支えながら器用にピストンを繰り返す正吾。下から貫かれるような感覚と大きすぎる快楽に襲われながら、美代子はただの雌に成り下がった。
「流石にこのままじゃ美代子が辛いか……。さあ、ベッドに行こうな」
「んぐっ! んあっ、ひゃんっ!」
消耗する体力を考え、正吾は挿入したまま美代子をベッドに寝かせた。正常位の体勢となったことで動きやすくなり、腹側のGスポットを擦り上げる動きに変えた。電流のように痺れる快楽から逃げようと、美代子の両足が指先までピンッと真っ直ぐに張った。
「きもちいいっ! きもちいいっ! もっとぉっ、突いてっ! もっとぉっ、ぐりぐりしでぇっ!!」
「そんなに俺のちんこが好きなのか? 美代子」
「すきぃっ! しょうごのちんこすきぃっ! しょうごのこともすきだからぁッ!!」
完全に理性が飛び、全てを受け入れた美代子。凛々しさなど微塵も残ってはおらず、ただただ与えてもらえる快楽に身を委ねていた。
流石に三回目の射精ということもあり、正吾のイチモツもまだまだ動く。キツい膣肉をこじ開けながら、一心不乱に腰を振った。
「……楽しそうなことしてるわね〜っ。涼子ちゃん、私たちも混ざりましょ」
「ふふっ……そうね。美代子ったら、あんなに気持ちよさそうに……んんっ、また濡れてきちゃった」
ピストンを繰り返していると、アリスと涼子が復活。美代子が抱かれているのを見て楽しそうに微笑むと、悪戯っ子のような表情を浮かべて近くに寄ってきた。
「おっ、起きたか。……そうだ。なあ美代子、もっと気持ち良くして欲しいよな?」
「してっ! ほし……いっ! もっとっ! きもちよく……してぇっ!」
「お利口さんだ。涼子、そこのカバンの中に入ってるアナルバイブ出して美代子のアナルを虐めてやれ。細いバイブだけど、一応ローションは付けてやってな」
「うふっ、あんまり虐めちゃ可哀想よ」
「だってさ、美代子。どう思う?」
正吾の問いかけに、美代子は即答した。
「いっ、いじめでぇっ! お、お尻……じゃ、なくてぇ。……ア、ア……アナル……! いじめて、ほしい……!」
「──だってさ。涼子」
「……もう、しょうがないわね」
言葉とは裏腹に、妖艶な顔でアナルバイブを取り出した涼子。指示通りにローションを垂らして滑りを良くし、挿入準備を完了。正吾がまんぐり返しの状態に体勢を変えてから、丸出しのアナルにバイブをぬるんっと挿れた。
「んん゛んんぅっ!! あ、あああっ! ぎもちいっ! ぎもぢいぃっ!!」
「うおっ、締まる〜! やっぱアナル責めるとキツくなるなぁ……! 俺が育ててやったアナル弄られて嬉しいだろ? 美代子」
「うれ゛しいっ……! ほんとうは……あなる、をっ! ずっと、いじめでほしかったのぉぉおっ!!」
「ハハッ、知ってるよ」
「美代子、かわいいっ。……んんっ」
秘部とアナル。二つの穴を同時に責められ、美代子が獣のような声を上げる。
協力している涼子は美代子の様子を見て興奮し、自分の指で秘部を弄った。
「私を蚊帳の外にして楽しんでるじゃない。涼子ちゃんが美代子ちゃんを気持ち良くするなら〜……私は正吾くんを気持ち良くしちゃおっと」
「んおっ、アリス……それ、ヤバいっ」
涼子に続いて参戦してきたアリスが正吾の乳首を舐める。男にとっても性感帯である乳首への優しい責めは、イチモツの固さを更に引き上げた。
「んぎっ、か、かったぁい……!」
「ちゃんと楽しんでね、美代子ちゃん。……ついでに、私も気持ち良くしてぇ……!」
「……んぐっ」
正吾の乳首を舐めながら、美代子の顔の上に秘部を置いたアリス。擦り付けるように腰を動かし、美代子の口を自慰行為のために使い始めた。
一つのベッドで四人の男女が絡み合い、それぞれが己の性欲を満たすために動いていた。
「──出る、出る出るッ! 出すぞッ……!!」
そして訪れた三度目の射精。
痙攣する美代子の膣内に、白濁の精液が容赦なく吐き出された。
「……最っ高ぉ〜ッ!」
「……あひっ、あはっ、んあっ……!」
「んんっ! ……美代子ちゃんが必死に舐めてくるから、私もイッちゃったぁ」
「うふふっ、アリスったら」
美代子の秘部から精液と愛液にまみれたイチモツを引き抜き、正吾が満足そうに息を吐く。初めての4Pというぐちゃぐちゃ感が、とてつもない達成感を与えていた。
「……あーんっ。ちゅぱ、れろぉ、じゅぽっ」
「ちょっとアリス! 独り占めはズルイわよ〜! わ、私も……!」
「……はぁ、はぁ、はぁ……!」
アリスと涼子が仲良く分け合いながら正吾の萎えたイチモツを舐め上げる。正吾はそんな二人を愛おしく思い、優しく頭を撫でた。
そろそろホテルを出た方がいい時間なので、キリの良さそうなところでシャワーを浴びるように説得。身体に力が入らない美代子を支えながらお湯で身体を洗い、三人でシャワーを済ませた。
「ちゅっ、んちゅっ、れろぉ。……正吾くぅん。もう一回ぃ……!」
「ダ、ダメよ、アリス。……ダメよね? ……正吾くん」
「ア、アタシは……別に、いいけど? ……正吾」
正吾からすればどこまでも魅力的な誘いだが、本当に時間が迫っているため鋼の理性で却下する。もし今頷いてしまえば間違いなく一回戦で終わることは出来ないだろう。そうなれば列車に乗り遅れるという最悪の事態になりかねないのだ。
「お前たちが試験を生き残ったら、その時にまたしよう。……だから、今日はここまでだ」
正吾はそう言うと、三人にキスを落として納得させ、どうにかホテルを出た。予定の時間から三十分ほどオーバーしてしまったが特に問題はなかった。
結局は時間通りにいかないであろうことを見越して時間設定していたことだけは、正吾の功績と言えるのかもしれない。
アリス、涼子、美代子とのセックスを終え、ホテルを出た俺は札幌の街を走っていた。
三人はそのまま一緒に残り時間を過ごすそうなので、列車で合流しようと言って別れた。そんな未来が来ないことは原作知識で分かっているため、嘘をついたようで少しばかり複雑な気分だ。
しかし、そんなヌルい事も言ってられない。
原作通りに物語を進めなければ、俺のアドバンテージが消失する。更には原作通りの中に『俺』というイレギュラーを組み込まなければならないのだ。そのための下準備をしてきたとはいえ、油断出来ない状況に変わりはなかった。
「あっ、えりなさんっ!」
「燦徳く……じゃなくて。……しょ、正吾くん」
公園のベンチに座っていたえりなを見つけ、声をかける。待ち合わせ時間丁度の到着だ。えりなの方が先に来ていたが、ギリギリセーフと言っていいだろう。
「ごめん。待たせたかな?」
「い、いいえ。私も今来たところです」
なんかこのやりとり恋人っぽい。美人は雪の中だと更に美人だな。ゲレンデ効果ってやつか?
「そういえば緋沙子さんは? 一緒だったはずだよね?」
「緋沙子なら、吉野さんたちと駅の方へ行きました。物産展があるらしくて、私が行ってきなさいと言ったら嬉しそうにしていたわ。……正吾くんと待ち合わせだと知ったら、安心したような顔もしてくれたし」
大丈夫か、緋沙子。えりなの側を離れたくないだろうと思ってホテルに誘わなかったのに、よりにもよって俺に任せるのかよ。最近緋沙子からの信頼が厚くなってきてしゃーない。嬉しいけども。
「……じゃあ、俺たちも歩こうか」
「そ、そうね。……歩きましょう」
えりなと二人で公園デート、というのも悪くはないのだが、そんなつもりでここを待ち合わせ場所にしたわけではない。役者を揃えやすい場所だったからだ。
「おっ、正吾と薙切! 良いところに!」
「な、薙切さん。燦徳くん。二人でお散歩?」
真横から声をかけてきたのは創真と田所さんのコンビ。周りを見ても他に人は居らず、二人で歩いていたことが分かる。
「まあね。田所さんも創真と二人で散歩? 仲良しだね」
「ぬあっ! な、何を言うべさっ!」
「元々はタクミと一緒に食べ歩きしてたんだけどさ、田所が加わったらすぐにどっか行っちまいやがってよぉ。だから二人でその辺を見て回ってたんだ」
予想通り、タクミは田所さんに気を遣って離れてくれたようだ。流石はイタリア男。鈍感主人公も少しはその鋭さを分けてもらえ。
俺が田所さんに提案したデートスポットがこの公園。そして見所となるライトアップの時間も指定した。だからそれまでにえりなと合流する必要があったというわけだ。
「せっかくだしさ、四人で食べ歩かね? 俺と田所だけだと胃袋にも限界くるしよ」
「俺は構わないけど、田所さんとえりなさんは良いの?」
俺としては思惑通りの提案だが、一応の配慮として二人の少女に確認を取る。
「いっ、良いに決まってるべさっ! 燦徳くん! 薙切さん! 一緒に見て回ろうっ!?」
「え、ええ。そうね。一緒に行きましょう……!」
「てか、正吾。薙切のこと名前呼びしてるじゃん。ははっ、いつの間に仲良くなったんだ?」
「なっ……! ゆ、幸平くんっ! 変なことを言うのはやめてもらえるかしらっ!?」
「そ、そうだよ! 創真くん! ……えっ、でも本当に名前呼びだべさ。流石は燦徳くん……」
創真、田所さん、えりな、そして俺。原作の流れを守りつつ、俺の存在を上手く組み込めたらしい。
列車が出発するまでの時間、俺たち四人は普通の高校生のように笑いながら札幌観光を楽しんだ。
そして、出発時刻。
駅で列車に乗り込んだ俺たちの前に現れたのは──十傑第二席・小林竜胆だった。
「──よおっ、燦徳正吾。幸平創真。調子はどうだ〜? 寒くてやる気でねぇよな〜」
待っていたかのようなタイミング、と言うより実際に待っていたんだろう。割り振られた部屋に向かおうとした俺たちの前に、竜胆は普段通りの緩い感じで登場した。
「どうも、竜胆先輩。お出迎えですか?」
「へへっ、まあそんなとこだな」
「どもっす、竜胆先輩。……ところで、他の奴らが見当たらないんすけど、どこに居るんすかね?」
俺がえりなの側に居ると知っているからか、原作とは違って緋沙子からえりなへ乗車確認の電話は入らなかった。だからこそ創真は、駅に姿を見せなかった他の反逆者メンバーたちの居場所を竜胆に訊ねたのだろう。
「おいおい、幸平創真。それは愚問ってやつだぜ? 最初に説明されたはずだろ?
気怠そうな雰囲気から一変、竜胆の目が鋭く光る。ナイフホルダーを取り出しながら獰猛に笑い、野生動物のようなプレッシャーを放った。
「次の三次試験はお前らを含む反逆者全員、
その後、創真は原作通り『
俺と田所さんは竜胆に連れられ、彼女を相手に試験を行ったのだが──普通に合格した。
「うまいっ! 合格!」
「え、えーっと……やったね? 燦徳くん」
拍子抜けしている田所さんには悪いが、気を抜いている暇はないよと伝えておいた。
本当に面倒な戦いは、これから始まるのだから。
オリ主が『純粋な恋愛』に弱いのは、バイキンマンが『綺麗なもの』に弱いのと似たような感じです。