ミネルバ艦橋から自室に戻ったアスラン・ザラは、重いため息と共にデスクチェアに深く身を沈めた。目の前には、処理すべき書類の山。終わりの見えない報告書の作成、オーブとの連絡、議長への定期報告…。ザフトに復隊し、フェイスという特別な地位を与えられたとはいえ、その責務は重く、彼の神経をすり減らしていた。戦場の方が、ある意味では単純でいい。敵と味方、生と死。そこには、このような複雑で、時に欺瞞に満ちた政治的な駆け引きや、煩雑な事務処理は存在しない。苛立ちが、胸の奥で黒い靄のように燻り始めていた。
(…忌々しい)
アスランは舌打ちし、ペンを走らせようとしたが、集中できない。身体の芯が妙に火照り、思考が鈍重になっていくのを感じる。戦闘の興奮の残り火か、あるいは単調なデスクワークへの反発か。いずれにせよ、彼の身体は、肉体的な解放を求めて疼き始めていた。視線を上げ、クロノメーターを確認する。まだ任務終了まで時間がある。
(…カガリに会いたいな…)
ふと、オーブに残してきた愛しい人の顔が脳裏をよぎる。彼女の太陽のような笑顔、真っ直ぐな瞳、そして自分だけに見せる柔らかな表情。彼女に触れれば、この苛立ちも、身体の疼きも、きっと癒されるだろう。だが、彼女は遠いオーブにいる。今すぐその温もりに触れることは叶わない。
(タリア艦長か…? いや、あの女は最近、妙に抵抗を…あるいは諦観を見せるようになって、それはそれで興味深いが、今の気分ではないな。マリューさんは…アークエンジェルか。論外だ)
彼の思考は、手駒として利用できる女性たちを順番にリストアップしていく。その思考自体が、彼自身の歪みを如実に示していた。
(ルナマリアは…確か、今日はMSの調整で格納庫にいるはずだ。呼び出すのは少し目立つか…)
そして、最後に残った選択肢。最も手軽で、最も扱いやすく、そしておそらくは、最も純粋に自分を「英雄」として崇拝しているであろう少女。
(…メイリン・ホーク、か)
アスランの口元に、微かな、しかし冷たい笑みが浮かんだ。あの少女は、自分のどんな要求にも、おそらくは喜んで応えるだろう。姉であるルナマリアへの対抗心もあるのかもしれない。それに、彼女の持つ情報処理能力は、時に有用だ。利用価値のある駒は、手元に置いておくべきだ。そして、溜まったこの鬱屈とした熱を処理するには、うってつけの相手だった。
彼はデスクの内線端末のボタンを押した。数コールで、明るく弾んだ声が応答する。
『はい! こちらCIC、メイリン・ホークです!』
「私だ、アスラン・ザラだ」
『あっ! アスラン様! どうかなさいましたか!?』声が一気に上擦り、緊張と興奮が伝わってくる。実にわかりやすい。
「いや、大したことではないんだが…少し、君に頼みたいことがあってね。データ整理の件で、直接指示したいことがあるんだ。今、少し時間はあるだろうか? 私の部屋まで来てほしいのだが」
『は、はいっ! もちろんです! すぐに伺います!』
期待に胸を膨らませているであろう少女の声を聞きながら、アスランは口元に浮かんだ笑みを深め、静かに通信を切った。(実に、扱いやすい)
程なくして、控えめなノックの後に、メイリンが部屋に入ってきた。軽く息を切らせ、頬を興奮で上気させている。その大きな瞳は、憧れの英雄から直々に頼まれごとをされたという喜びに、キラキラと輝いていた。
「アスラン様! お待たせしました! データ整理ですね! 私、得意なんです! どんなことでもお申し付けください!」
まるで子犬のように、健気に、そして無邪気に彼を見上げるメイリン。その純粋さは、ある意味では美徳なのかもしれないが、アスランにとっては、ただ利用しやすく、そして性的な欲求のはけ口とするのに都合の良い属性でしかなかった。彼は内心で軽く溜息をつきながらも、外面では穏やかな笑みを崩さなかった。
「ああ、ありがとう、メイリン。君の能力は高く評価しているよ。いつも助かっている」まずは当たり障りのない賛辞で、彼女の自尊心をくすぐる。「だが、今日頼みたいのは、少し…別のことなんだ」
アスランは椅子から静かに立ち上がり、メイリンに近づいた。メイリンは「別のこと?」と不思議そうに首を傾げながら、期待に満ちた目で彼を見上げている。アスランは、そんな彼女の華奢な肩に、不意に両手を置いた。
「えっ?」
メイリンの身体がびくりと震え、瞳に見開かれる。アスランは構わず、彼女を壁際にゆっくりと、しかし有無を言わせぬ力で押し付けていった。ドン、と軽い音がして、彼女の背中が冷たい壁に触れる。
「アスラン…様…? あの…?」
突然の状況に、メイリンは明らかに混乱していた。しかし、アスランの真剣な(ように見える)眼差しと、間近で感じる彼の存在感に、身体が竦んで動けない。
「メイリン」アスランは低い、囁くような声で言った。「君は、いつも私のために本当によく尽くしてくれている。感謝しているんだ」
「は、はい…! そんな、滅相も…」
「いや、本当に。君のような優秀なサポートがいてくれるからこそ、私も前線で戦うことができる」アスランはメイリンの髪を優しく撫でた。「だから…少しだけ、君に甘えさせてもらってもいいだろうか?」
「あ、甘える…ですか?」
「ああ。少し…疲れていてね」アスランは、まるで弱音を吐露するかのように、僅かに眉を寄せた。「君のその…若さというか、純粋なエネルギーに、少しだけ触れさせてほしいんだ。ほんの少しでいい。そうすれば、また頑張れる気がする」
それは、あまりにも都合の良い、歪んだ甘えの言葉だった。しかし、憧れの英雄に「君が必要だ」「君に甘えたい」と言われ、メイリンの心は完全に舞い上がってしまった。「アスラン様の役に立てる」「私が彼を癒してあげられる」。そんな思いが、彼女の思考を支配する。
「は、はいっ! もちろんです! 私でよければ、何でもしてください!」満面の笑みで、メイリンはそう答えた。その瞳には、一点の曇りもない、純粋な献身の色だけが浮かんでいた。
アスランは、その返答を待っていたかのように、内心の欲望を隠すことなく、しかし外面ではあくまで優しく、彼女の赤いパイロットスーツの前面に手をかけた。そして、ジッパーを、ゆっくりと、しかし躊躇なく引き下げていった。
「えっ…あ…」メイリンは驚きと羞恥に息を呑むが、抵抗はしない。むしろ、これからアスランの「癒し」になるのだという思い込みから、どこか誇らしげですらあった。
ジッパーが下まで降り、スーツの前が大きく開かれる。下着越しに、まだ少女の面影を残す、華奢な身体のラインが見えた。アスランは、そのインナーにも手をかけ、あっさりとそれを取り払った。
「んっ…!」
メイリンは小さく声を上げたが、痛みはなかった。ただ、急に空気に晒された肌が、羞恥と緊張で粟立つのを感じた。アスランは、その反応を楽しむでもなく、ただ目的を遂行するためだけに、彼女の下着のゴムに指をかけ、一気にそれを足元まで引き下げた。
完全に裸になったメイリンの身体。華奢な肩、まだ膨らみきっていない小さな胸、細いウエスト、そしてパイロットスーツに隠されていた、驚くほど白い肌。アスランはその姿を一瞥したが、特に感想を述べるでもなく、自身の軍服のベルトを緩め、硬く昂った自身の一部を解放した。
「少しだけ、我慢してくれ」
そう言うと、彼はメイリンを壁に押し付けたまま、潤滑も前戯もほとんどなく、自身の硬くなったそれを、彼女の戸惑う入り口へと宛がった。
「あっ…! あ、アスラン様、あの、ちょっと…!」
メイリンはさすがに驚き、慌てたような声を上げたが、アスランは聞き入れない。彼はただ、自身の欲求を早く解消したいという衝動に突き動かされるように、少し強引に腰を進めた。
「んんっ…!」
細い身体には不釣り合いなほどの太さが、狭い場所をこじ開けて侵入してくる。痛みと、圧迫感。メイリンは思わず顔を顰め、壁に強く背中を押し付けた。しかし、憧れのアスランに抱かれているという事実、そして彼を「癒している」のだという思い込みが、彼女の痛みや恐怖を上回っていた。むしろ、彼と物理的に繋がれたという事実に、胸の奥がドキドキと高鳴るのを感じていた。
アスランは、完全に結合すると、すぐに腰を動かし始めた。それは、愛撫や快楽を与えるための動きではなく、ただひたすらに自身の欲望を吐き出すための、機械的で、効率重視のピストン運動だった。壁に押し付けられたメイリンの身体が、その衝撃でガタガタと揺れる。
「あっ、んっ、はっ、アスラン、さま…っ!」
メイリンのか細い喘ぎ声が、部屋に響く。それは苦痛の声とも、あるいは意図せず漏れてしまう快楽の声ともつかない、不安定な響きを持っていた。アスランは、そんな彼女の反応を気にするでもなく、ただ自分のペースで腰を動かし続ける。彼女の内部がどれほどきつく締め付けようと、どれほど濡れてこようと、彼は意に介さない。まるで、相手が感情を持たない人形であるかのように、ただひたすらに、溜まったものを吐き出すための作業をこなしていく。
「あっ、アスラン、さま…っ、ん…もっと…って、あっ…!」
メイリンは、痛みと圧迫感の中に、時折走る鋭い快感の波を感じていた。アスランの動きは雑だったが、それが偶然にも彼女の敏感な場所を刺激することがあったのだ。その度に、彼女は声を上擦らせ、壁に爪を立てた。しかし、アスランはその反応に気づいても、特に動きを変えることはない。彼の目的はただ一つ、射精することだけだった。
そして、その時は、長くはかからなかった。アスランは数度、深く腰を突き入れると、短く息を吐きながら、メイリンの狭い内部に自身の熱いものを注ぎ込んだ。
「はぁ…っ」
満足したような、あるいは単に息をついただけのような短い吐息。アスランはすぐにメイリンから身体を引き抜き、距離を取った。壁にもたれたまま、浅い呼吸を繰り返すメイリン。その顔は汗と紅潮で上気し、瞳は潤み、どこか恍惚とした表情を浮かべていた。細い太腿を、生々しいアスランの白い液体が伝い落ちていくのにも気づいていないようだった。彼女は、潤んだ瞳でアスランを見上げ、健気に問いかけた。
「アスラン様…あの…少しは、お楽になりましたか…?」
その、あまりにも純粋で、状況を理解していない問いかけに、アスランは思わず吹き出しそうになるのを堪えた。(まったく、どこまで愚かな娘なんだ。いや、純粋というべきか?…どちらにせよ、扱いやすいことに変わりはない)彼は、先程のルナマリアとの情事、そして今しがたのメイリンとの行為を思い返し、内心でほくそ笑んだ。(姉も姉なら、妹も妹だな。このホーク姉妹は、揃いも揃って俺の前ではこうも簡単に身体を開く。二人とも手玉に取り、自分の意のままにしている…この感覚は、悪くない)暗く歪んだ優越感と満足感が、彼の心を静かに満たしていく。
「ああ、助かったよ、メイリン」アスランは、感情のこもらない、平坦な声で言った。そして、床に落ちた彼女の下着を顎でしゃくる。「後始末はしておけ。それから、今日のことは他言無用だ。いいね? これは、君と私だけの…秘密の“協力”だからな」
「はいっ!もちろんです!」メイリンは力強く頷き、顔を輝かせた。「アスラン様との、ひ・み・つ、ですね!」
無邪気に微笑むメイリン。自分がただの「精処理係」として、都合よく利用され、雑に扱われただけだとは微塵も思っていない。憧れのアスラン様の役に立てた、彼と二人だけの秘密を共有できた、という喜びで胸がいっぱいだった。
アスランはそんなメイリンに背を向け、再びデスクに向かい、中断していた書類仕事に戻った。まるで、先程までの出来事など何もなかったかのように。残されたメイリンは、少しふらつく足取りでバスルームへ向かいながら、幸福感に満たされていた。たとえ短い時間でも、たとえどんな形であっても、アスラン様に必要とされた。それが彼女にとっての全てだった。その純粋さが、彼女自身を、姉と同じように、深い闇へと引きずり込んでいることにも、まだ気づかずに…。壁に残った微かな湿り気だけが、先程の行為の痕跡を静かに物語っていた。