※この作品はR-18です。

エビ転生。異世界で転生した俺が巨乳美少女料理人に「脱皮を手伝ってもらう」話。〜スキル【脱皮】が最強すぎて世界が俺を狙う〜   作:えびふぉねら

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2話 エビ、脱皮する

 目が覚めると、俺は草の上に転がっていた。

 

 陽の光がまぶた越しにじわりと染み込んでくると、草木ののどかな匂いにようやく意識が現実に戻っていく。

 

 風が肌を撫で、穏やかな木漏れ日の中で鳥のさえずりが耳を打つ。

 どうやらここは森のようだ。

 

 ――と、安らいでる場合じゃない。

 

「……なんで俺、全裸なんだ?」

 

 草が尻に刺さってもぞもぞするし、虫が遠慮なく太ももを這う。

 全身剥き出しの状態で、俺はしれっと自然に放り出されていた。

 

 あの女神――ラナスオルとかいう、へっぽこしらが女。

 転生させるなら、服ぐらいよこせよ……!

 

「……寒っ」

 

 両腕で身体を抱え込むようにして起き上がり、尻から生えた二本の腕――脚で、しっかりと大地を踏みしめた。

 葉が擦れ合い、風がさやさやと枝葉を揺らす中、頭の中で例の女神の言葉が何度も反響していた。

 

 ――スキル【脱皮】。

 

 ……いや意味がわからん。

 

 どう見ても俺は今、人間だ。腕は二本、脚が二本。指が五本あって、殻もない。

 けど、俺には確かに「エビだった記憶」が残っている。

 脱皮ってのは、生存のためのただの生理現象だったはずじゃないか。

 

「とりあえず……服が欲しい」

 

 エビだった頃は、裸でフツーに海底を這っていたのに、なぜか今は羞恥心が止まらない。

 人間ってのは、何かと面倒くさい種族なんだな。

 

 仕方なく、腕で股間を隠しつつ森の中を彷徨う。

 足の裏の皮膚が薄いせいで、少し歩いただけで小石が刺さって痛いったらありゃしない。

 

 木の根をまたぎ、枝に足を取られながらも進んでいくと――小道を発見した。

 

 そして、しばらく歩いた先で目に留まったのは。

 

 ――荷馬車だ。

 

 森の中には不釣り合いな、立派な二頭立ての荷馬車が停まっていた。

 こんな所に行商人か?

 荷台には布袋や樽、干された布きれのようなものも見える。

 

 あれ、服っぽいぞ。

 こっそり近づき、手を伸ばそうとした、その瞬間。

 

「……おい、何してやがる」

 

 ――速攻でバレた。

 

 馬車の影から、斧を担いだマッチョが二人、ずんと現れる。

 片方は坊主頭、もう一人は髭面。どちらも目つきが悪い。悪党ヅラってやつだな。

 

 そして、俺の姿を見て眉をひそめる。

 

「こいつ……フルチンじゃねぇか」

 

「へっへ、なんだよ。変態か? 森でスッポンポンとか、どんな趣味してやがる。まぁ、こんなんでも一応端金にはなるか」

 

 ――ヤバい。ヤられる。物理的に。

 

 俺はとっさに叫ぶ。

 

「ちょ、待って! これには、ちゃんと理由が――!」

 

 ――ズドン!

 

 返ってきたのは言葉ではなく、斧の一撃だった。

 

「ひぁっ!!」

 

 ぶしゅ。

 

 風を裂く音と共に重たい一閃が降って来て、見事直撃。あっさりと俺の左腕が吹き飛んだ。

 肩口から勢いよく血が吹き出す。

 

「え……」

 

 痛い。半端なく痛い。灼けるように熱い。

 嘘だろ……せっかく転生したのに。俺はもう死ぬのか? しかも全裸で。

 あんまりじゃないか……せめて交尾ぐらいさせろよ。

 

 ぐらっと頭が揺れて、倒れかけたその瞬間。

 

 ブチッ――!

 

 何かが、身体の奥で弾けた。

 

 べりっ! ゴシャァァァッ!!

 

「うぉ……?」

 

 異様な音が、尻の方から響く。

 ……絶望のあまり漏らしたか? いや、違う。そんなレベルじゃない。

 

 俺の身体から――もう一人の俺が飛び出していた!?

 

 脱皮。

 

 まるで殻を脱ぐように、くっきりと俺の形をした皮が、ばさっと地面に落ちた。

 透明で、ぬめぬめしていて、陽光が透けてきらきら輝いている。まるで絹の束みたいにきれいだ。

 

「な、なんだ今の……!?」

 

「生きたまま……皮を……脱いだ……!?」

 

「見ろ、腕が再生してやがる……こ、こいつ、変態どころじゃねぇ! 人の姿をした魔物だァッ!!」

 

 マッチョたちは叫びながら、全力で森の奥へ逃げていった。

 魔物呼ばわりまでされるとは。人間が脱皮するって、そこまで恐ろしい事なのか……。

 

 その姿が消えるのを見届けてから、俺はぽかんと口を開けたまま足元の脱ぎ殻を見つめた。

 ん、なんだか自分の身体の様子がおかしいぞ。

 

 俺の千切れ飛んだはずの左腕がすっかり元通りに生え変わっている!?

 その拳を握ってみると、前より明らかに筋肉が張っているような。

 思考も冴え、身体の芯から力が湧いてくる感覚がある。

 

 ※ステータス変動※

 ・筋力 +10

 ・敏捷 +15

 ・魔力 +30

 ・再生力:全快

 

 頭の中に変な声が響いた。

 

「……なんだこれ?」

 

 スキル【脱皮】

 効果:脱皮により、すべての肉体的ダメージ、状態異常を除去。ステータス一部上昇。魔力活性化。

 再使用:72時間

 

 エビ時代には当たり前だった「生きるための脱皮」。

 それが、今の俺にとっては回復も強化もこなす超スキルになっていたとは……。

 女神ラナスオル、しらが女とか言ってごめん。

 

 ――けれど、それ以上に気になるのは。

 

「この皮、めっちゃエビ臭いな……」

 

 鼻を近づけると、懐かしい匂いが。

 俺の殻のはずなのに……なぜか、食欲が湧いてきたぞ。

 そう言えば、転生してから何も食べていないし。自給自足可能なんて最高じゃないか。

 

 思わず拾い上げた脱ぎ殻を、ぺろりと舐めてみる。

 

「……うまっ!?」

 

 衝撃的な塩気と旨み。

 口の中に広がったのは、まさしく――

 

 干しエビの味。

 

 エビが人間に転生したら、自分の脱皮がグルメになる。

 異世界【ラナス】、俺はここで力と食の最強を目指す……!?

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