エビ転生。異世界で転生した俺が巨乳美少女料理人に「脱皮を手伝ってもらう」話。〜スキル【脱皮】が最強すぎて世界が俺を狙う〜 作:えびふぉねら
あの後――俺の脱皮した皮は、通りがかった商人の手によって拾われた。
最初はただの奇妙な干物として好奇の目を引いただけだった。
だが、それを食した者が口々にこう言った。
「精霊のご馳走」「創造の女神の祝福」「銀灰の守護者の気まぐれメシ」
なんだかよくわからない言い回しだが、この世界の偉い神に例えられるほどらしい。
すぐさま噂となって広がり、市場は騒然。
“未確認生物の干物”は、瞬く間に異世界ラナスのグルメ界を席巻し、高級レストランがこぞって買い求めるという騒動に発展していた。
俺はその正体を隠したまま、場末の安宿に身を潜めていたが――事件は、突然訪れた。
* * *
――その日の午後。
ドアが小さくノックされたかと思うと、何の前触れもなく開かれた。
「……あなたが、“脱いだ”本人かしら?」
扉の向こうに立っていたのは、場違いなほど妖艶な少女。
赤と黒を基調にしたドレスを纏い、薔薇を添えた象徴的な黒いリボンが胸元を飾る。
背は低いが、人間離れした圧倒的な威圧感が漂っている。
腰まで流れる金髪が陽光に煌めき、切れ長の真紅の瞳が鋭くこちらを射抜く。
そして――目がいくのは、その胸。
ドレスの上からでも分かる、あり得ないほどの存在感。おそらくGは超えている。
それでいて、口元に浮かべた笑みはどこか酩酊したような、“食べ物中毒者”のそれだった。
まるで、獲物を前にした捕食者だ。このメス、只者じゃない。
俺は思わず息を呑む。
「え、えっと……どちら様ですか……?」
間の抜けた問いが俺の口から漏れる。
彼女は優雅に一歩踏み込んで答えた。
「余は『美食ギルド』所属の料理人よ。名は――グレナシア。あなたの“皮”を、いただきに来たわ」
ぞくり、と背筋に冷たいものが走った。
その見た目で一人称「余」って、どういう感性してるんだ……。
グレナシアと名乗った少女は、滑るような足取りで近づいてくる。
ドレスの布地が擦れ、香水とも、スパイスともつかない妖しい香りがふわりと漂う。
「……ねえ、お願い。もう一度、脱いでみせて?」
その言葉の意味を脳が理解するまでに一瞬かかった。
「なっ……何を言って……!」
「今ここで、“脱皮”してくれたら、ちゃんと味わってあげる……隅々まで、ね」
顔を寄せ、耳元にそっと吐息を吹きかけるグレナシア。
あらゆる欲望が濃縮されたような声音に、俺の心臓が跳ねた。
目が合えば、紅い瞳が艶やかに歪んで笑う。
この女――本気で言ってやがる。
「無理強いはしないわ。あなたの“殻”が、食べ頃になるまで待ってもいい」
さらりと背を向け、ベッドに腰かけた彼女は脚を組み替え、ドレスの裾から覗く太ももを惜しげもなく晒した。
目が、どうしても吸い寄せられる。白くて、柔らかそうな肌……ごくり。
「……脱げるタイミングになったら、ちゃんと見せなさい。その脱皮、余が調理してあげるから」
グレナシアは俺の返事を待つ気もなく、唇をいやらしく舐め、そのままベッドに横たわった。
「……じゃあ、今日はここで寝るわ。夜にはいい皮、取れるかもしれないもの」
な……なんなんだ、この状況は。
殺されかけたと思ったら、人間?の女と狭い宿の一室で二人きり……?
俺は部屋の隅に身を縮め、唾を飲み込んだ。
いや、落ち着け。これはただの変態との遭遇じゃない。
狩る側と狩られる側。その明確な力関係が部屋の空気を支配している。
エビ時代、天敵に追われた時ですら、これほどの緊迫感はなかった。
この少女は――本気だ。
脱皮した俺の“皮”に、心から惚れている。
――いや、欲情している。