エビ転生。異世界で転生した俺が巨乳美少女料理人に「脱皮を手伝ってもらう」話。〜スキル【脱皮】が最強すぎて世界が俺を狙う〜 作:えびふぉねら
翌朝。
美食ギルドの料理人グレナシアは、そこにはいなかった。
俺だけが、全裸でベッドの上にいた。
「なんだ、もう帰ったのか……もう一回したかったな」
俺は乱れたベッドから降りて服を着ようとした。
……ん、いつもより妙にお肌がつやっつやのプルップルな気がするぞ?
これはあれか? 交尾のせいか?
その時、久しぶりに頭の中に変な声が響く。
※ステータス変動※
・筋力 +100
・敏捷 +150
・魔力 +300
・性命力:全快
おお!? なんかめちゃくちゃパワーアップしてるぞ。
てか、性命力ってなに!?
その瞬間、俺の頭は一気に醒めた。曖昧だった昨日の記憶が波のように押し寄せ、理性と思考が走り抜ける。
「あぁぁぁぁ!!!」
裏返った叫び声。気づくと俺は、昨日の行為一つ一つにセルフツッコミを始めていた。
>俺の腕は、いつの間にかグレナシアの細い腰を強く抱き寄せていた。
何してんの!?!?!?
さっきまで“味見”とか“皮剥ぎ”とか言ってた相手だぞ!?
俺の中の危機管理能力はどこいった!! エビの甲殻と一緒に脱いだの!?
>目の前の彼女の肢体、こんな甘い誘惑に抗うことなど、エビ……いや、男なら誰もできないだろう。
エビ戻ってきた!? 今エビいたよね!?
なんで“エビ”と“男”が同列で語られてるの!?
俺の性自認、甲殻類からスタートしてるの!? いや、エビん時交尾したことないけどさ!
>俺の熱いモノが、ゆっくりと彼女の奥深くへと沈んでいく。
うわああああ言っちゃったあああ!!!
比喩とかもう何も守ってない!! 倫理どころか水分も飛んでるゥッ!!
なんで人間はこんなに熱くなるんだ!? 自分の熱で茹で死ぬよ!
>「……ふ……く……っ……出る……ッッ……!」
あーあーーーもうダメだーーー。
完全に出ちゃったよ!! 出たよ!! いろんなものがッッッ!!
元・エビとして“殻を脱ぎ捨てて一皮剥けた結果”がこれってどうなんだよッ!!
避妊? 知らないよそんなの!!
>俺は、ひとつだけわかったことがある。
>――人間の身体って、最高だ。
やかましいわ!!!!!
なんでエビから人間になった感想が“最高でした(性的に)”なの!?
もっとこう……あるだろ!? 文化とか、言葉とか、感情とか!!
よりによってそこを最優先にして人間の世界に順応すな!!
――
――――
「ぜぇ……はぁ……何やってるんだろう、俺……」
俺は安宿を出た。
なんか知らんが、出る時に店主のオッさんがやけにニヤニヤしていた。
なんなんだよ、人間、怖いよ……。
* * *
全ての元凶は、グレナシアだった。
俺の皮を――そう、激しい夜のベッドの上で“脱皮した俺の皮”を持ち帰り、ひときれだけ市場に流したのだ。
結果。
「うまっ……」「なんだこれ……」「これが……“エビ由来”……?」
それを食べた料理人、貴族、兵士にごろつき――それぞれが口にしたのは、ほんのひとかけらに過ぎなかった。
だが、人々が口を揃えて叫んだのは、たった一言。
「もっと脱げぇっ!!」
その瞬間から、俺の皮は“出汁皮”と呼ばれ、どんな貴重品よりも高く取引され始めたのだ。
都市全体が、俺の脱皮に熱狂した。
じ、冗談じゃない――
俺は逃げた。逃げて逃げて、逃げまくった。
少しだけ脱げた皮を囮に放り投げて。
人間どもは嬉々としてそれに群がった。
が――無情にも、それが仇となってしまった。
倫理を破壊する悪魔の研究結果が発表されたのだ。
『性的昂ぶり時に脱皮すると、出汁成分が1.7倍に跳ね上がる』
……その一文が、世界を地獄に変えた。
「つまり……“ギンギン時に剥く”と、最強の皮が採れる……?」
「やるしかねえだろ……!」
そうして、ラナスの文明は壊れた。
* * *
「いたぞぉお! あれが“源泉”だ!」「まだ勃ってるぞ! 今が旬だァ!!」
「ちょっとでいい! ちょっとでいいから! こっち来てギンギンになってくれぇぇ!」
俺は走っていた。
フルチンで。
ギンギンで。
全速力で、路地裏を駆け抜けていた。
「なぜだぁぁぁぁッ!! どうして俺がこんな目に……!」
出汁の効いた汗が舞う。股間がぶらぶらと踊り狂う。
後ろからは、人波の如き足音が押し寄せる。
その中に混ざって聞こえる、聞き慣れた声――
「待ちなさい! 金のなる木!!」
美食ギルド料理人・グレナシア。
豊満なGカップの胸を揺らしながら、爛々とした真紅の瞳で俺を追いかけてくる。
……って、そんな所見てる場合か!
「あんたかああああああああ!! やっぱあんたが売ったのかあああ!!」
さらに、背後から新たな狂気が迫る。
「やっぱ“濃厚出汁”は男の体液からだろ?」「うひひ、オスの味、試してえなあ」
は? は? 男……!? うそだろおい……。
「待てぇぇぇぇ!! 俺はノンケだ!! 男に剥かれるとか絶対ヤだ!! やめろォォォ!!」
逃げろ! 振り切れ! 絶対に“勃ったまま”捕まってはいけない!!
* * *
そして、最悪の都市伝説が広まった。
「“あの瞬間”に剥けば、究極の皮が得られるらしい」
そう――射精の瞬間に脱皮すれば、伝説級の“超濃縮エビ皮”が採れるという噂だ。
もはや、都市どころか世界規模で、出汁マニアが俺を狙っていた。
「よし、次ギンギンになったら、一気に剥くぞ!」
「まずは乳首を攻めて様子を見る!」「股間は最後だ! 鮮度を保て!」
なんだこの人たちは。
なぜそんなに真剣なんだ。
どうして俺の乳首にだけ執着するんだ。
――何が最強だ。何が異世界無双だ。ふざけるな。
人間……お前らはもう人間じゃない。バケモノだ。
俺は心の底から、こう願った。
――エビに戻りたい。
その時。
グレナシアが、銀のナイフとフォークを構えて高らかに笑った。
「あっはははは! あなたはもう、“世界にとっての食材”なのよ! 誇りなさい!!」
「誰が“ギンギン出汁製造機”だああああああああああ!!!」
叫んでも、世界は止まらない。
コイツらは狂っている。いや、俺が世界を狂わせてしまった。
そして――
股間は、なぜか反応していた。
「やば……また……剥かれる……ッ……! 助けてくれぇーー!!」
【おしまい】