その日の早朝、サキトは両腕にかかる重みを感じながら目を覚ましつつあった。
「んぅぅん…………」
モルト絡みの事件も終わり、彼が護守家を去ってから1週間。サキトは久々に、土曜の夜にしのぶを家へと泊めていた。
流石に、行方不明の伴侶を探すモルトが滞在する彼の家で、恋人同士の交歓に耽るのは憚られたため、一晩中しのぶと愛し合う土日は2週間ぶりであった。
故に、気が緩んでいたのかもしれない。
「あと、1時間……」
暖かく柔らかい感触が、サキトの意識を微睡みへ誘う。右手にも左手にも、抱き着いて来る少女の体温と、柔らかくすべすべとした肌の感触が──────。
(………ん?)
ここでサキトは、何かがおかしい事に気付いた。自分は仰向けに寝ている状態で……
「っ誰だぁ!?」
一気に意識が覚醒する。掛け布団を捲ると、自分は寝る前に履いたパンツ一丁。右隣には、裸でサキトに抱き着くしのぶ。
そして、左隣には…………これまた裸の、何故か見覚えのあるピンク髪の少女、が──────。
「ファ──────!?!!?!?」
──────朝起きたら、見知らぬ?女性と裸で密着していた。そんな自分には起こりえないであろう状況に、素っ頓狂な奇声を上げるサキトであった。
* * *
「すみません萱野さん、このカードを一旦お返しするので、調べていただいて良いですか」
「いや、日曜に僕を呼び出したと思ったらどうしたんだい急に」
──────2025年4月27日、17時。
DGA本部まで萱野シンヤを呼び出したサキトは、彼に会うや否や2枚のカードを彼に差し出した。
「僕が以前送ったラフルル・ラブとアプルじゃないか。どうしたんだい本当に」
「いや…………今朝えらい事になりまして……」
「ほほう?良ければ聞かせてくれるかい?」
「いや流石に俺としのぶのプライバシーにも関わるんで!」
「とはいえ聞いた方が適切なアドバイスが出来る筈だからね。詳細な部分はボカしても構わないから、とりあえず頼むよ」
「はぁ……本当に色々とアレなんで色々と掻い摘みますよ」
そうして、サキトは昨晩の出来事と、今朝の出来事を思い出し始めた……。
* * *
「ぁあっ♡はひぃいっ♡せんぱ、はげひ♡はげひかよぉっ♡♡」
「しのぶ、しのぶ……っ!」
時刻は昨夜、深夜1時近く。サキトとしのぶは激しく身体を重ね続けていた。久々の家での交わり、デュエルフィールドで防音を効かせてまでサキトはしのぶの身体を貪り続けている。
去年の暮れ、ドギラゴンと一体化して以降……クリーチャーの生命力が宿ったが故か、サキトの精力は大幅に高まりしのぶを圧倒するようになって来ていた。
「あぁぁっ♡またくる、くるけんっ♡もうだ…………っあぁああぁあぁっ♡♡」
「っくあ、締まる……っ!」
後背位で貫かれ絶頂に震える彼女の頭で、花の髪飾りが揺れている。《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》の、金トレジャー版イラストで身に着けているものだ。去年シンヤから貰って以降、2人は度々これとアプルを使いコスプレアプリで楽しんでいた。
「は、へぇ………っ♡」
「しのぶ、まだ行けるか……?」
力が抜けた彼女が、枕に顔を埋め突っ伏す。体力的に限界かと思い声をかけたサキトであったが、彼女の背中を撫でていると急に膣内が強く締め付けて来た。
「はひぃんっ!?ご、ご主人様ぁ…………っ♡」
「……ん?」
急に妙な呼び方をして来たしのぶに首を傾げたサキト。しかし、ここまでの交わりで興奮し頭が茹っていた彼はそれを深く考えずスルーしてしまう。
(そういうプレイによる味変かな?それじゃあ俺も少しばかり……っ)
「はひぅっ!?♡」
後ろから挿入したまましのぶの豊かな胸を右手で鷲掴み、少しだけ強めに揉みながら抱き寄せる。左手は彼女の腰の括れを掴み、そのまま強く突き上げた。
「ひぐぅ!♡ま、まっへごしゅじんさまっ♡だめぇっ♡」
「俺はまだイってないんだから、もう少し頑張ってくれ……っ」
「んぁああぁぁあぁっ!♡♡」
胸を揉みしだきながら、ぐちゃぐちゃと水音を立たせ激しく突き込む。しのぶのナカはサキトを強く締め付け絡み付き、官能に溺れているようだった。
「だめぇっ♡やめ″でぇぇぇ───♡♡」
「そんな事言って、こっちは悦んでもっとして欲しそうだぞ……っ!」
「ゆるひてぇ♡♡イグッ♡♡イグゥゥ♡♡」
再びしのぶが絶頂し、その身を震わせナカが吸い付いて来る。それに興奮したサキトは限界を迎え、奥まで強く突き込んだ。
「出る…………っ!!」
「────────────ッッ♡♡」
ゴム越しに熱い精が放たれ、その熱を感じ取った彼女は更に一段高い絶頂へ登らせられた。秘所からは潮を噴き、蕩け切り声にならない嬌声を上げる。
全て出しきったサキトは肉棒を抜くと、彼女の身体をベッドに横たえた。蕩け切った顔で彼を見つめるしのぶは彼の興奮を煽るが、流石に今夜はここまでだ。
「今日も気持ち良かったよ、しのぶ。こういうプレイがまたしたいなら、いつでも正直に言ってくれよな」
「はひぃ……っ♡ありがと……ございましゅ……♡♡」
疲れ切ったか、そのまま眠りに落ちたしのぶと自身の身体を拭き、汗と潮を吸ってびちゃびちゃの布団はデュエルフィールドの機能を使い即座にクリーニングされる。こういう活用は怒られるかもしれないが、正直に言うとサキトにとって夜の営みにはありがたい応用法であった。
「お疲れ様、しのぶ。俺も……ふぁあぁ……っ」
そうして、彼女と寄り添いながら眠りにつき……朝起きたら、あのような状況になっていたのであった。
* * *
「で、朝起きたら金トレラフルルラブとベッドインしていたという図になったと。全国のデュエリストが聞いたら羨ましがるんじゃないのかい?」
「そら悪い気はしませんし、彼女持ちでなければ最高の状況ですがね……というか何故急にラフラブが実体を持ったのやら」
「んー、サキト君は僕達のカードに意思が宿る状況に、2パターンあるのは知っているかな?」
そう言うとシンヤは端末を取り出し、ホログラムを映し出す。
「まず、僕たち実働部隊の持つカードで、契約を交わしたクリーチャーのカードには彼らの意志が宿っている。そしてその意思が宿るのは、先天的なものと後天的に得るものの2パターンがあるんだ」
「ふむ?」
「まず先天的なものは、カードの製造、出荷段階でクリーチャーの意志が乗り移るタイプ。これは発生条件も分かっていないうえそのケース事態も稀だけれど……蟠龍トウリくんや光明院ユウキくんの相棒はこちらのケースでそれぞれの契約者に出会っている。陽野テルタカくんのものもだったかな?」
デフォルメされたイラストで、クリーチャーが宿ったカードがデュエリストの下へ届くまでの図が描かれている。わざわざ作ったのだろうか?
「対して後者は、デュエリストが使用してきたカードにマナが集積して、そのクリーチャーの意志を引き寄せるというケースが多いようだね。サキト君のドギラゴン閃、井星リュウくんのデ・スザーク、天道アンナくんのアルファリオンなどはこちらのパターンのようだ」
「なるほど……付喪神的な、大事にされた物に魂が宿るとかそういう感じですか」
「今回の場合は後者寄りという所かな?
「こんな使い方で引き寄せてしまったのはほんとに申し訳なくなるんですが!?」
本来の使用用途ではない使い方でこうしてクリーチャーの意志を呼び寄せてしまうとは、ある意味シンヤにとっても興味深いケースであった。流石に同様の事例が起こるか実験するには、自主的に行ってくれる人員はいないと思われるため再現性の証明が出来ないのを残念に思っているようだ。
「しかし、それなら何故アプルまで?」
「あー、朝起きた後も……色々、あったんです……」
* * *
「な、な、な……先輩、どげんことね!?」
「いや俺にも何が何だか!」
「ご主人様………♡」
奇声を上げて跳び起きた後、サキトは即座にデュエルフィールドを再展開し部屋を隔離した。こんな所を両親が見たらえらいことだ。
しのぶとラフルル・ラブも彼の奇声で起こされ、今は2人ともサキトの腕を抱きしめしがみ付く形となっている。両手に花と言えば聞こえは良いが、サキトにとっては少々気まずさを感じる状況であった。
「うふふ………大丈夫よしのぶさん、安心して?」
「えっ!?」
「もう1人!?………っあ痛ぁっ!?」
サキトの背後から声が聞こえ、振り向こうとしたところで彼の尻に痛みが走った。何かを突き刺されたかのようだ。
「あ、こっちもあのカードの!?」
「わ、《若き大長老アプル》……っ、今何を俺にした!?」
「落ち着いてデュエルマスター様♡少し御力を与えただけよ♡」
「レインボーの力は間に合ってるんだが!?」
見ればアプルまで実体化しており、手には何か木の枝を元に作り上げた様な注射器を持っていた。………アニメにて、自然文明の大長老がデュエルマスター候補達に尻から
「実は少し前から私達、うっすらとした意識でだけれどしのぶさんと一緒にいたの♡そして、貴女の感覚と同期して、デュエルマスター様のモノで何度も仕込まれて……♡」
「こ、コスプレアプリん影響ね?」
「とんだ影響だ……その、それは悪かった。ただ出来れば普通に超獣世界に帰って貰えると……」
「それはたぶん無理そうね。本来とは違う姿になったせいか、超獣世界にいる元の私達とは独立した存在になっている可能性があるの……そ、れ、に……♡」
アプルまで正面からしなだれかかって来る。どこに意識を向けても柔らかい感触が襲ってきて、もう彼に逃げ場は無い。
「普通のクリーチャーであったら知らなかった、こんなの覚えてしまったら……ねえ?」
「お、俺にはしのぶが……っ」
「大丈夫よ、する時はしのぶさんの身体に同居させて貰ってしてもらうから♡3人分、頑張ってもらうけれど」
「しのぶの身体は1つしかないから負担がヤバいだろう!?」
「うちがドラゴン娘でも限界があるけんね!?」
向こうとしては折衷案という体なのかもしれないが、まず前提に問題がある。どうしたものかと思案していると、サキトの身体が熱くなって来た。
「う、ぅ……っ?これ、何か、盛って……っ」
「ねえ、しのぶさん?一緒に気持ち良くなりましょう……♡」
「ま、待って、ひゃ──────」
そのまましのぶを押し倒したところから、サキトの記憶は曖昧だ。
「あ゛っ♡♡あぁああぁあぁーっ♡♡」
『すごいっ♡♡やっぱりデュエルマスターさまのすごいぃぃい♡♡』
『ごしゅじんさまぁっ♡♡わたしはごしゅじんさまのものですぅっ♡♡』
正気に戻って目覚めたのは昼過ぎ頃だったろうか。再び寝床が酷い有様になっていて、サキトは頭を抱える事となった。
* * *
「それはまあ何と言うか、お疲れ様だね」
「ほんとですよ……」
夕方にシンヤを呼び出したのも、サキト自身の仮眠と食事の時間を確保するためであった。流石に休まなければ疲労でぐったりとした状態で会う羽目になっただろう。
「それで、彼女らが宿ったカードは手放すのかい?」
「いや、それは……あちらも言っていた通り、超獣世界に戻る場所が無いなら無責任に放り出すのもどうかと思いますので……とりあえず検査とかして貰って、その後処遇は決めたいかなと……」
「随分好かれているようだしねえ?」
「はい?」
「だってほら」
シンヤが受け取ったカードから手を離すと、2枚は自然に浮き上がりサキトへと吸い寄せられるように動いた。この状態でも離れたがらないというのか?
「トウリ君からの報告でモモキングのカード単体が自律行動したという話もあったけれど、契約していないクリーチャーが同じように動けるとはねえ」
「おお……どうしたものか」
「まあ一応説得?みたいな事もしてみるけれど、クリーチャーの倫理観は人間と違う場合もあるからあまり期待はしないで欲しいかな」
「はい……」
「悪い気はしていないなら、いっそハーレム状態を受け入れてしまうのも手だよ?」
「しのぶが納得するかどうか……とりあえず落ち着いた状態で話し合ってみます。ありがとうございました」
とんでもない事になったと言わざるを得ない。一先ず2枚のカードを預け、サキトは家路に就くのであった。
「その……最近先輩としとーと、1人じゃもたんかもって思うこともあったけん……月に一度くらいなら、よかよ?」
「い、いいのか?いやまあ、しのぶが良いんなら良いけど……」
「ばってん、先輩ん一番はうちであって欲しかな?」
「それは勿論!しのぶはこれからもずっと、俺の一番大事な人だ……!」
「うん、それならよか!」
サキトにはクリーチャー相手の女難の相が出ているようです。
そんなわけで、金トレジャー娘が実体化してえろい……もといえらいことになるサキトでありました。あのクリーチャー達スケベ過ぎる。