Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union class Dropship Cabin
Esteros System,Zenith
Jade Falcon
30 August 3151
エステロス星系の天頂に至った降下船が航宙船とのドッギングを終えた。
このあと数時間、30光年の距離を跳躍し終えるまでは、ゾリグの出番は無い。
数時間ぶりに士官室でシャワーを浴びる。
灼けた肌の赤みは引いて痛みはもう無かった。
流れる水の音の向こうから部屋の扉が開く音が聞こえる。合鍵を持っている人間は一人しか居ない。
「ナラン、早かったな。」
寡黙な相棒に声をかけても、返事はない。ひょっとしたら返事をしているのかもしれないが、水音で聞こえなかった。
上着を脱いで、寝台に放るような音が聞こえる。
今回のドッギング後のチェックは船外作業を含んで居ただろうか?だとしたら、待たせるのは悪い気がした。
ゾリグはこれで終わりにしようと流れ出る湯を頭から被った。
その直後に、シャワー室の扉が開いた。
続けて、抗議の声を上げようとしたゾリグの背に2つの柔らかいものが当たる。
不意打ちに戸惑うゾリグに、柔らかい腕が絡みつき、無邪気な声がかけられた。
「アンネさんの特製石鹸をお届けにトヤーさんが参りました〜。お背中痒いところありませんか〜?」
慌てて彼女の手から逃れようと身を捩ったが、シャワー室にはそもそも逃げ場がない。
「何をしている?」
顔にかかった水滴を片手で払いながら、ゾリグは訊いた。
ニブいなー。とトヤーは不満そうに口を尖らせながら、手にした石鹸を泡立てる。
「これからゾリグの体をこれで洗うんだよ。」
「いらん、水は大事にしろ。」
「全部フィルターで濾過されるから大丈夫だってさ。」
ゾリグは精一杯断ったつもりだったが、それを聞き入れるトヤーでは無い。
そんなことを言っている合間にも両手を泡まみれにしたトヤーの腕がゾリグの脚や胸を丁寧に這った。
トヤーの身体を押し除けられないか試してみたが、少しの力では手が泡で滑ってままならない。
むしろ、彼女の全身に泡が撥ね、却って状況を悪化させる。
「洗うだけか?」
「そんなわけないじゃん?」
問うゾリグにトヤーはあっけらかんと答えた。
「ここまで来て、タダで帰れるわけないじゃん。覚悟決めなよ。」
身勝手な物言いにゾリグは抵抗を強める。
シャワー室から出ようと強引に肉体をトヤーと擦りガラスの間に捩じ込んだ。
無理に姿勢を変えたのが災いした。
重心の偏った足を滑らせる。
咄嗟に、倒れ込む彼の身体を彼女がその両腕でしがみついて支えた。
トヤーの歯を食いしばる音が肌越しに聞こえた気がした。
体の勢いが止まったゾリグは腰から順に床に降ろされる。
男の体重に徐々に力で負けていくようにゆっくりと。
二人の体勢が安定した後もトヤーはゾリグの背に回した手を離さない。
ゾリグは耳の傍から彼女が啜り泣く声を聞いた。
「そんなにイヤかよぅ......」
男に全身で拒絶された少女は顔に悔しさを滲ませながら泣き始める。
「冷静になッ......」
ゾリグは動揺を隠しながら彼女の顔の方を向く。
その瞬間、視界をトヤーの表情が覆った。
両手で彼の頭を押さえ付けて、彼女の遠慮のない舌が口の中に入り込む。
ゾリグの舌を掴んで離すまいと巻き付いた。
頭の上から水が降り注ぐ下で、二人は舌の動きだけで無言の攻防を続ける。
両目を瞑って、舌の動きにだけ集中するトヤー。
一途な少女の姿を見てゾリグは諦めに似たため息をついた。
ここまでされて、何もせずに彼女を返すのは彼の主義に反する。
やがて、彼女が静かに顔を離すとお互いの唇を糸が伝った。
その糸が途切れてから、ゾリグは告げる。
「覚悟は出来ているんだろうな?」
トヤーの眼差しはさっきから変わっていない。
これほど虚しい脅し文句があろうか。
彼女の目は臆せずに挑発を返してくる。
「そっちこそ。」
シャワー室の擦りガラスに頬と両胸を押し付けられながら、トヤーが甲高い声で鳴いた。
突き出された桃に挿し入れた指に力を込めるたびに、その声がどんどん甘さを増すのをゾリグは黙って聞いている。
嫌われる覚悟で乱暴に扱ってもトヤーは何も文句を言わなかった。
むしろ、彼女をそう扱うほど、より強く、更に何かを求められているような気すらする。
だが、彼女が望むものを与えるつもりはゾリグにはなかった。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、」
トヤーの背が何度目かの強張りを見せる。
それでもゾリグは容赦なく指を追加で押し込み、更に強く彼女を奏でた。
崩れそうになる彼女の姿勢を両腕で支えて、たまに肢体の下で上下左右に暴れる両胸を弄る。
男の手が身体に触れるたびに彼女は身を捩って悦びの声を上げた。
ベッドに横たえたトヤーの両胸が重力に負けて、左右に広がる。
小柄な身体に似合わないサイズの双房だった。
シーツをかけ直して、ゾリグはそれを隠す。
力尽きた彼女の身体の水を拭き取って、ここまで連れて来るのは容易かった。少女の身体は見た目よりも更に軽い。
結局、ゾリグの相棒はこの部屋には帰って来なかった。
跳躍を終えるまで、艦橋を離れる気が無かったのか、そもそも帰って来るつもりが無かったのか。
トヤーが脱ぎ捨てた服の下を探り、隠されていた鍵を見つけるとゾリグは小さくため息をついた。
仕事がひと段落したところで、事情だけでも聞かせてもらいたいものだ。
こっちは半端に終わらせた分、彼女が目覚めた後も一苦労するんだからな。