※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.12_04

Union class Dropship Cabin

Zanderij System,Zenith

Jade Falcon

1 September 3151

 

 放電を終えた航宙船が、次の跳躍のための再充電に入る。

 天頂や天底と居住可能星が近い距離にあれば、この期間で地上に降りることができる場合もある。

 しかし、今回の中継点だったザンデライ星系は最寄りでも片道10日間必要だった。

 次の跳躍まで、降下船の中で待つことしかできない。

 

 ゾリグが先日の出来事について自分から口にすることはなかった。

 だが、彼女は違った。

 

 艦内の定例会に遅れてきたトヤーが大人達をかき分けて近づいてくる。

 ゾリグの姿を見つけると彼女は彼に近づいてきて口を開いた。

「昨日は私ばっかり気持ちよくなっちゃってゴメン。指だけで終わっちゃったね。」

 本人としては声量を抑えたつもりだったかもしれない。

 だが、その場にいた全員が彼女の声を聴いた。

 意味を瞬時に察したプリヤンカが顔を真っ赤に染めたまま、凍りついたように固まっている。

 言葉を発した本人は周囲の空気の変化を気にしている様子はない。

「ゾリグ、苦しくない?」

 トヤーの眼差しが真っすぐに彼の股下を見つめた。

 悪意を感じさせない澄んだ瞳の後ろから、2人にいくつもの好奇の眼差しが降り注ぐ。

 

 この状況で悪手を打つ彼ではない。

 ゾリグは何も言わずにトヤーに椅子に座るように促すと、それ以上は何も言わなかった。

 トヤーも更に彼に声をかけることはしなかった。

 

 その様を見ていた周囲がそれぞれに2人の現状を思い描いているであろうことは想像に難くない。

 だが、ゾリグはそれに気が付かないフリをする。

 

 会議は何事も無かったかのように始まったが、ゾリグの脳内はそれどころではなかった。

 トヤーの先日の襲撃は彼の記憶にこびり付いている。

 油断をすると少女の裸身、揺れ踊る双房と濡れた肩と背中に形のいい臀部が順に脳裏を過ぎった。

 隣に座る彼女の香りは彼の記憶をより鮮明に呼び覚ます。

 意識が議題から逸れ、体中の血の流れが一点に集中する。

 意識を現実に戻そうとすればするほど、そこは硬く反り返った。

 

 椅子の上で足を組んで、何もなかったように装う。

 それでも、歯を食いしばって耐えねばならないほどの重圧感に顔が強張った。

 Gに耐えるのとは異質な感覚を意地と気力で抑える。

 

 ふと、前の席に座っていたアンネが彼を振り返った。

 天の助けか、碧い眼差しに撫でられると、少し痛みにも似た感覚が和らぐ。

 しかし、やがて彼女は片手で宙の一点を、丹念に撫でるように動かし始める。

 その瞬間、ゾリグの背に電撃が走った。

 痛みの源、その先端に直接触れられたかのような錯覚に、却って張り詰めは増す。

 黒いフェイスベールの下に隠れた彼女の表情が彼に何かを伝えようとしたようだったが、ゾリグにはそれを読み取る余裕はない。

 

 膝の上で握りしめた拳をふと小さな掌が覆う。

 少女の手に導かれるままに彼女の腿を探るとどうしてか、ゾリグは息が再開できるようになった。

 もう、自分が何に耐えているのか、彼には判断が付かなくなっている。

 ただ、トヤーの香りと、彼女の腿の感触だけが、かろうじて彼の意識を繋ぎ止めていた。

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