Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union class Dropship Cabin
Timkovichi System,Zenith
Jade Falcon
9 September 3151
甲高い、切なげな声が壁越しに聞こえる。
ここ数日は每夜のようにこの調子だ。
アリマとドルマーは顔を見合わせた。
「ちょっと、後悔してるんじゃないの?」
「あの子をアンネのところに連れて行ったのはアリマでしょう?」
同性になら相談しやすいと思ったのかもしれない。
トヤーが一番最初にゾリグへの想いを打ち明けた相手は、飛行隊の女隊長ドルマーだった。
男女の恋愛に疎く、困り果てたドルマーはトヤーを連れて、彼と仲の良さそうなアリマに相談を持ちかける。
「相談する相手を間違えてるわよ。」
そう言って、トヤーをアンネの聖域に誘ったのは確かにアリマだ。
「最初から彼があなたを満たすことはありません。
貴女はそれを不満に感じてはなりません。
皆の前で、あなたは不満を抱いて居ないことを彼に伝えなさい。
そうしたら、彼に寄り添ってあげて。
あと、体力を付けなさい。
彼の猛禽の爪は今の貴女を容易に砕くでしょう。」
アンネの言葉にトヤーはポカンとしていた。
何を言われているのか、想像がつかないのかもしれない。
はたまた、まだ何もお伺いを立てていないのに神託が降りたことに戸惑っているのか。
もし、そうであればトヤーの反応の方が正常だ。
アリマはもうこれには慣れてしまっている。
ドルマーは彼女達の目の前に展げられた紙片の並びに興味津々だった。
アンネは彼女たちの様子を見て、フェイスベールの奥で小さく笑っている。
後ろに控えていた寡黙な大男を見上げて声をかける。
「少し助けが必要でしょう。彼女を助けてくれますか?」
ナランが大きく頷くのを確かめるとアンネは一人置いてけぼりになっているトヤーの顔を覗き込んだ。
「策を授けます。」
彼女はアンネの言いつけによく従った。
普段のゾリグがアンネをよく信頼している。
その事実だけが、トヤーをそうさせた。
計画は成就し、彼女は望み通りに彼を手に入れる。
アリマはまさか、計画を知らないはずのツェレンまでがダメ押しに加わるとは思っていなかった。
姉の関与を聞いたドルマーはナランとトヤーの部屋の配置の入れ替えをツェレンに提案する。
あっさりとそれは承認されて、ゾリグの部屋はわずかに数時間の内にカップルの部屋になった。
その結果が今の状況になる。
最後の一手を打ったのはツェレンとドルマ―の姉妹だ。
だから、この状況の原因がアリマにある。と言われるのは心外だった。
でも、それはわざわざ追及するほどの話ではない。
壁の向こうでトヤーが壁に手を付いた音がした。悩ましげな声が一枚向こうで乱れ震えている。
これはお前の手柄だ。と言われていると思えば悪い気はしない。
ふと、反対側の壁の向こうからも女の話す声が聞こえた。
あちら側でも、今晩のお勤めが始まろうとしている。
──今日のドルジのお相手はプリヤンカとツェレンの2人か......
アリマはアンネの腹を支えるような仕草を思い出す。
ナランが彼女の背後に控えるようになってから1ヶ月。アリマはその意味を察した。
アリマの視線に気が付いたアンネには唇に指を当てて口止めされた。
この状況なら次に誰かがそうなるのは時間の問題に思える。
「......ねぇ、アリマ?私たちもそろそろ......」
目を潤ませたドルマーがアリマの思考を遮った。
そういえばと、中断していた口付けを再開する。
自分の舌をドルマーの舌に絡めて糸を引かせた。
脱ぎ捨てた2人の着衣が足元に絡む。
ドルマーの腰に手を寄せて、お互いに向き合った双丘の先端を触れ合わせると、兎は可愛らしい声で鳴いた。