Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Ep.13_01
Fort Chastre Pad2
Krievci System,Chastre
Jade Falcon
23 September 3151
「雇用主」は氏族への支配に対する抵抗組織。
氏族そのものであるドルジ達が歓迎される空気になるはずがない。
アリマの提案は、まずはパイロット2人だけを降下船から降ろしての様子見だった。
念の為にアリマもそれに同行する。
アリマの策は最初から狂った。
地上に降りた先でゾリグとドルマーを出迎えたのは金属鎧に包まれた2人の老兵士だった。
見るからに地球行きの切符を逃したソラマ部隊の兵士。
Jade Falconの残党部隊が来るということで、依頼者も氏族寄りの執政官側の人間を寄越したのだろう。
今は協力体制にあるとは言え、過去の経緯から執政官側と抵抗勢力側はお互いを完全に信頼し切れる間柄にはなれない。自分たちの手駒は寄こさない。氏族とは距離を開けて、戦力だけを使いたい。
そんな相手側の事情が垣間見えた。
そんな連中とでも、共闘しないと公爵側とは勝負にならないのだろう。
老兵士達は、正装の戦士達の姿を見た途端に姿勢を正す。
ゾリグとドルマーの2人を表に出した効果が出ていた。
黒と翡翠の上着に翡翠の羽根で作られたケープが血名持ちの戦士であることを主張していた。更に制服に刻まれた「降下船潰し」のキルマークがその実力を示している。
血統、階位、実績の全てが備わった2人。
「お出迎えに感謝する。」
ドルマーがそこにいる誰よりも先に口を開いた。
航空隊を率いる立場にあるのは彼女だから、彼女が先に発言するのは間違いではない。
「この地が苦境と聞き、我らは馳せ舞い降りた。状況の仔細を知る者に疾くお目通りしたい。」
これを流れるように、噛むこともなく言えるのは、姉の教育の賜物か。
若い戦士の口上に老兵士は顔を見合わせた。
「クリエフチ守備隊のマラートとタニスだ。見ての通り、我々はメック戦士じゃない。強襲歩兵だ。」
「メックの増援と聞いたが、気圏戦闘機とはな。」
現れた2人の姿に彼らは落胆の表情を隠さない。
気圏戦闘機が歩兵戦の助けにならないわけではない。ただ、バトルメックと気圏戦闘機では頼りにできる方向性が違う。
強襲歩兵は金属製の鎧を纏って銃と槍斧で敵と至近距離で戦う昔ながらの歩兵だ。
彼らが切に欲していたのは、彼らの盾となり矛になる存在だった。
彼らの不満に機嫌を損ねたかのような顔をしながら、ゾリグが後ろの降下船を振り返る。
それを合図とするかのように、降下船の警告灯が回り始める。警告音と共に側部の大型タラップが開き始めた。
「寡兵ではあるが...、地上戦力もお持ちした。」
最初に姿を現したFLEAにマラートは首を傾げた。次に出てきたKitFoxの肩に聳える発射機にタニスが眉を顰めた。
最後に出てきたTimber Wolfに首を傾げた。
「この部隊の装備はワシらと変わらんのでは?」
「Kit Fox以外は鹵獲メックの寄せ集めみたいな装備だな。無いよりマシか。」
どこも装備がないのは一緒か。と口に出すのを憚らない。
「その言はTimber Wolfのパイロットの前ではを決して言わないように。」
ドルマーがやんわりと警告した。
TimberWolfを先頭に3機のメックが立ち並ぶ。その後ろでは戦闘車両の荷下ろしが始まっている。
「勝利の証を侮辱されたと受け取るやもしれませぬ。」
見上げればTimberWolfの機体の脇には狼のマークが描かれている。
ただ、その象徴には隼の爪で引き裂かれたかのように3本の線が引かれていた。