Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Ep.02_01
Ammo Dump Control Tower
Zhongshan System,Zuhai
Jade Falcon
10 January 3151
「質問があれば受け付けるが、なにかあるか?」
コボルはドルジ達に問いかけた。
しかし、そもそも質問が出るような任務でもなかった。
捕捉された不審なメック2機とその支援車両を迎撃するだけだ。
会敵見込のポイントは見通しの悪くない丘陵だが、先日の雨で地域の一部の土壌は緩くなっている。足場が不安定な相手を急襲して動作不能に追い込めばよい。それ以上の説明はしていない。
今回ドルジには第51守備隊の指揮車両と戦闘アーマーの分隊を支援に付けた。ドルジがこの星に置き去りにされた件のことを考えれば、再びドルジを単騎で出撃させるのは心象が良くない。無い袖は振れないが、雇われの傭兵、半個小隊が相手ならば十分な支援と言えるだろう。
そもそも世の傭兵は定数を満たしている部隊を運用できている例の方が少ない。小さな傭兵団では戦力の半数が稼動していれば経営上手だ。
雇う側だって、傭兵の面倒をまともに見られるところはそう多くない。満足にメックの整備ができる施設を備えた雇用主なんて、ほんの一握りだ。
今回の“JadeFalconの支援者”は幸運だ。流れの傭兵のお世話をしなくていいし、整備用の設備の費用も運用費だけで済んだ。通信機も軍用で、こんなにもお得な話はない。基地の背の低い管制塔と指揮車両を通じてコボルの声は、前線のドルジ達と同時に”支援者“にも届いている。安定した通信で、戦況の推移を鑑賞してもらえるというわけだ。
基地側にとっても今回の話は良い話だった。指揮車両のオチルも戦闘アーマー隊のボルドも戦場経験豊富というわけではなかった。なかなか実戦経験というものは積めるものではない。火種はあっても、それに関わる機会が戦士達にやってくるとは限らないからだ。
経験を積んだ貴重な熟練の戦士たちは皆、JadeFalconの本隊が地球に連れて行ってしまった。地球侵攻はそう容易い行程ではない。何人が帰るかわからない。
しばらくはこの基地に命令が届くことも無いだろう。報告する先もなければ、妙な横槍が入ることもない。
それにしても、氏族の戦士階級というのはどうしてこんなにも戦うこと以外に興味がないのか?コボルには理解ができないが、お陰で彼の企み事が滞りなく進む。
今回の作戦は将来への試金石の一つだ。試されているのはドルジ達だけではない。