※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.13_09

Port Linz

Krievci System,Linz

Jade Falcon

16 October 3151

 

 高度を取っていても、震える空気の衝撃で機体はガタガタと揺れた。

 

 港湾の上空で散開してからの一投目。

 4ヶ所から立ち昇った爆煙は港湾の目と耳を一気に飲み込んだ。

 

 続けて投下される二投目の目標は燃料設備に集中する。

 方々で起こる連鎖爆発の衝撃でドルマ―の機体は制御を失いかけた。

 左右の重量バランスが取れた状態でもふらつくのだから、これが重量が偏った状態で煽られれば墜落しかねない。

 機体の安全のために少し高度を上げる。

 

──あと3回。

 

 ドルマ―は頭の中で2週間前に聞いたアリマの声を反芻する。

 

「第一目標は輸送船6隻。第二目標は備蓄の燃料設備。」

 

 次の目標の指定を終え、トリガーを連続で引いた。

 3投目と4投目は真っ直ぐに埠頭に停泊する巨大な輸送船に向かっていく。

 ドルマ―は小さな点が船首に吸い込まれていくのを機体の下部に付いた視覚センサーから見送った。

 

 部隊の斬り込み役としては第一目標よりも先に第二目標に手を出すのは奇妙な気分だ。

 真っ先に大将首に向かうのがドルマ―の流儀だが、そもそも今回は刈るべき首がどこにもいない。

 ようやく動きを見せ始めていた剥き出しの対空ミサイルの発射機を機首のレーザー砲で焼き払った。

 最後の一発を投弾する前に、戦況の推移を横目で確認した。

 

 ドルマ―の真下では4番機が低い高度から、翼下に吊るした多連装ロケットを地上にバラまいている。

 他の機体よりも重い兵装を載せ慣れているツェレンの機体には爆弾に加えて、更に多くの兵装を積んでいる。

 それにも関わらず、彼女はどの機体よりも低い高度を飛びまわっていた。

 まだ上を向いて抵抗の意思を見せている機関砲を照準に入れ、トリガーを引く。

 光弾が地面を薙いで、姉を狙う不届き者を黙らせた。

 

 僅かに離れたところでは、5番機と7番機が陸軍の宿営地を散々に襲っている。

 最初のブリーフィングでアリマが存在を隠していた4発の爆弾の用途だ。

 一足先に抱えていた投下を終えて身軽になった2機が追い回しているのは、抵抗する術を失った今や小銃すら持てないただの人だ。

 

「完全武装の歩兵、15000人。」

 

 両手を使って1と5をパイロット達に見せつけた彼女の姿が脳裏に思い起こされる。

 ブリーフィングでは攻撃目標として指定しなかったが、完全武装した歩兵連隊をみすみす逃すようなアリマではない。

 兵器も食料も輸送手段も、命すらも。公爵の拡げた手札は全て焼き尽くす。

 それが彼女の標した飛行経路と投弾場所が示す意思だった。

 

 真っ赤に染まった戦場の上空をぐるっと一回りし終えたドルマ―は機首を戦場の中央に向ける。

 戦場の中央より少し北にある軍港の付随施設。軍港を訪れた官僚や将官が宿泊するための邸宅が集中する丘陵。

 ドルマ―は最後の投下目標の座標を胴下の爆弾に送る。

 最終誘導を担うマーカーとの接続を終えた誘導装置が、投下準備完了のサインを操縦席に返す。

 

──これでおしまい。

 

 激しい炎に追い立てられた敵の兵士たちが、丘陵の斜面を登っている様子がHUD越しに見えた。

 構わず、ドルマ―はトリガーを引いて、胴下の枷を解く。

 数秒後、最後の爆炎が立ち昇るのを見届けてドルマ―は機首を上に向ける。

 

──そろそろ、時間切れだ。

 

 味方の緑色のVisigothが3機とも後ろから付いてきているのをレーダーで確認すると、ドルマ―は機体を振って帰還の指示を味方に送った。

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