Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Fort Chastre Cabin
Krievci System,Chastre
Jade Falcon
17 October 3151
──昨日までのお前はどうした?
脳の中で理性が警告を発する。
どんなに乱暴を受けても、裏で冷ややかな笑みを保っていた彼女はもう用済みだった。
今晩は艶やかに、儚い抗いを誰かに魅せる必要はない。
そんな、虚しい演技は必要がなかった。
ひょっとしたら、その警告は正しいのかもしれない。
小柄な身体を軽々と太い腕に扱われて、宙で身を揺らされると警告の主は小さな火花の様に散ってしまう。
身体の下の方に衝撃が加わるたびに味わう脳の浮遊感と実際に身が浮く体の浮遊感が交互に訪れていた。
彼の腰と背に絡ませている腕と脚にはもうほとんど力が入らない。
アリマの肢体はドルジの両の腕と彼女を貫く彼自身だけで支えられていた。
脳が吹き飛ぶほど、思いっきりやってほしい。
そんなおねだりを口にしたのは自分自身だった。
身体の中の悪いモノを全部掻き出して。
そんなことも言った気がする。
本意でない男の惨めな支配欲を満たすために10日に亘っていたぶられ続けたアリマの肢体は所々に傷痕を残していた。
今の医療ならば、適切な治療を受ければ外観は治すことができる。
心に溜まった感情を自分独りで処理できないほどウブではない。
それでも、誰かの手を借りたいと思うこともあるのだ。
その誰かは誰でも良いわけではない。
アリマにとっては、その誰かはドルジ以外ではあり得なかった。
そして今、彼が文字通り自分を受け止めてくれている。
悦びの中で、彼の名前を口にしたいと思うのに、舌の先が痺れてそれすらもままならない。
だらしなく垂れ下がったそれを彼の口が吸う。
アリマの唇がそれに応えたのはただの反射だった。
永遠とも思える時間の間、湿った音を部屋に響かせながら、2人は暗い部屋の中で交わりを続けている。
ドルジのそれは一度で全てを終わらせたりはしない。
彼はアリマの腕を引き、腰を抱き寄せては、飽きもせずに反復運動を繰り返す。
肢体を宙に踊らせている最中に、アリマは何度も脚を伸ばし、背を反らせた。
──この時間を終わらせたくない。
その一心だけで、彼女が意識を必死に繋ぎとめている間も彼は容赦なくアリマの奥底を彼自身で摩り続ける。
幾度も繰り返す音が止まる一時が、彼女にとっての一番の試練だった。
3つの奔流が途切れなく腹の中に放たれて、アリマの脳を真っ白に染める。
それに応えるかのように彼女の身体は捩れて、硬直して、喉の奥から掠れるような声が絞り出された。
脚がスッと伸び、悦びを全身に行き渡らせて静かに震わせる。
ドルジが彼女の中を満たすたび、その時だけはお互いの動きが止まった。
床に滴る液体の音とお互いの息の音以外には何も聞こえないほど静かな時間。
息を整えて、お互いの視線を絡め合う時間とお互いの体液をアリマの中で掻き混ぜる時間。
どちらの方が幸せなのか、自分に問いかけた。
自分のことなのに珍しく結論が出ない。
それもそのはず。
アリマを下から支える力は、放出を終えた後にアリマの中から抜け落ちることのないまま、再び力を取り戻す。
それに応えるように本人の意識に関係なく、彼女の肢体もそれを絞めつけた。
まだ、アリマが息を整えられずにいるうちから、次の動きが始まる。
誰に何日荒らされようとも、身体は主人の形を覚えている。
意識を失いそうになりながらも、アリマはドルジの首に腕を絡めてしがみついた。
自然と口が笑みの形を作った。
──この笑みは私の本当の笑みだ。
そう、確信できる。
笑おうとして口を開いたのに、喉の奥からは自分のものとは思えないほど蕩けた声が溢れた。