Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Ep.14_01
Fort Chastre
Krievci System,Chastre
Jade Falcon
20 October 3151
ブルーマーチンの人間が血相を変えて守備隊の基地に飛んできたのはそれから数日経ってからだった。
「ブルーマーチンは氏族への抵抗を謳いながら、氏族を匿っている。」と元公爵が批判声明を出してから、ようやくのお出まし。
怒りの形相で殴り込んできた女性は目の前にいる3人の女子の前で、今は困惑の表情を見せていた。
この年若い少女たちが、つい最近「核恫喝」でエステロス星系を大混乱に陥れた部隊の代表者とは思えないのだろう。
彼女のことは部隊の中でも若年の人間を選んで、更に若作りして出迎えた。
まだ、大人に成りきっていない女児に囲まれて、散々に翻弄されている。
「ねぇ、どうして私呼ばれたのかな?てか、ブルーマーチンってなんだっけ?」
「協力組織の名前くらい、覚えなさいよ。」
ワンピース姿のトヤーが今更の質問をすると、プリヤンカが眼鏡を抑えながら注意した。
「協力組織の人が何の用かな?」
さっきからトヤーがこの調子で散々に場を荒らしてくれるので、アリマとしても腹が捩れそうで仕方がない。
正真正銘、最年少のトヤーの破壊力の前にはいかなる「フリ」は翳む。
「だから、ウチの部隊とかこの星系の執政とかみたいな氏族の人間と組んでるから、あいつら嘘つきだぞ。って言われちゃったって文句を言いに来たのよ。」
「なんで?」
務めて、大笑いをするのを避けて、アリマがトヤーの質問に答える。
ブルーマーチンの遣いの女の眼は見ない。
今ですら笑い死にしそうなのだ。
これで、怒りと困惑に震える赤ら顔とか目にしたら、もう堪え切れそうにない。
「ウチが公爵の大事な兵隊さんを吹っ飛ばしちゃったからじゃない?」
「そんなの、油断してた公爵さんが悪いんじゃん?」
私たち、悪くないよ。とトヤーが口を尖らせる。
出撃こそしなかったものの、彼女だって今回の作戦で投下した気化爆弾の調整役という立派な共犯者だ。
ねー?と合わせた声もタイミングぴったりだ。
プリヤンカが咳ばらいをして話を戻す。
「今日はどういうご用事でしょう?」
「あなたたちが公爵の部隊を吹き飛ばしたおかげで、早ければ今月にも予定されていた大規模上陸作戦は無くなった。」
トヤーと一緒にいぇい。と手を合わせて、アリマが女の声を遮る。
平然と邪魔されるのに慣れてきたのか、話は止まらない。
「その代わりに、メック部隊が偵察に降りてくる。あなたたちにはウチで雇ったメック部隊と一緒にこれを迎え討ってもらう。」
──首輪を付けとこうって話ね。
せめて、何が起こっているのか把握したい。もう、これ以上知らないところで大暴れされたくない。という考えか。
「いいけど、あなたたちのブラックアイス作戦の片棒担ぐんだからライラ情報部も、もう少し情報を寄こしなさいよね。」
予定外に戦局をひっくり返されたのは看過できまい。
そう思ってはいたけれど、まさか、ライラ共和国の勢力圏回復作戦を繰り広げるLICの工作員が直々にお出ましとはね。
エージェント・エミリーヤ。
ドルジ達の到着から1ヶ月、一度も接触して来なかった本当の雇用主がようやく姿を現した。
ほんの一瞬すらも表情を変えない女性をアリマは鋭い目で見上げる。
ローリングストーンズとのメック戦の前に役者が揃いつつあった。