※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.14_02

Over Gostivar

Krievci System,Gostivar

Jade Falcon

24 October 3151

 

 地上部隊の先端、戦闘ヘリの索敵に敵部隊が引っかかった。

 ちょうど、TimberWolfが味方となるメック部隊と合流したタイミング。

『知ってるぞ、あのWolverine!』

 先行したバヤルの声がヘッドセット越しに聞こえる。

 

 エミリーヤの寄越した傭兵はヒンダーランズ社畜兵団。

 ツォンシャン星系でドルジと3度交戦した、縁のある傭兵団だった。

 足場の悪い沼地で泥遊びをした相手が、今度はTimberWolfと轡を並べている。

 ツォンシャンでは沼、クリエフチでは砂。

 よくよく足場と気象に恵まれない戦場に縁のある傭兵団だ。

 

 ドルマ―はバヤルが彼らを覚えていたことに少し驚く。

 

──目暗で乱射してるだけだと思っていた。

 

 ドルマ―は頭の中で、彼への評価を少しだけ上げた。

 2度目の交戦時にバヤルのキャリアーは彼らに向けて散々にミサイルをバラまいている。

 あの時はバヤルのキャリアーからの命中弾は1発もなかったはず。

 それでもバヤルが社畜兵団のメックの姿を覚えていたということは、彼は少なくとも攻撃目標を視界に捉えていたということだ。

 

 もう数ヶ月の付き合いになるが、Hell's Horseが生んだ狂人の思考回路は未だにわからない。

 だが、それが異文化との遭遇というものなのだろう。 

 

 なぜか、頭の中にアリマの姿が思い浮かぶ。

 ドルマ―は慌てて頭を振って、邪念を振り払う。

 今は作戦中だ。

 

 ドルマ―は上空から地上を駆けるメックの姿を確認する。

 ドルジのTimberWolf、社畜兵団のWolverineとThunderboltが配置に付いていた。

 

 今回の損傷はとにかく少なめに。

 そう、アリマに懇願されたはずなのに、ドルジは陣形のほとんど先頭の位置に立っていた。

 指揮車両に大型の通信アンテナを併設しただけの簡易司令所で悲しい顔をしている彼女の姿が容易に想像できる。

 だが、ドルジが彼女の言うことをおとなしく聞くはずもない。

 

 敵メックは4機、味方は3機。数と合計トン数で負けている。策もなしに正面からぶつかれば、形勢が不利になるのは当然。

 複雑な起伏の地形だけが地上部隊の頼みの綱になるはずだった。

 

 それでも、ドルジに献策を無視されたくらいではアリマはへこたれない。

 ドルジなら大丈夫。このアリマの判断が、彼へのただの妄信でないことは信じる他なかった。

 通信機ごしの彼女の声色からは彼への不満も不安も感じられない。

 

『ローリングストーンズの戦闘機隊が来るわよ。』

 想定通り。というか待っていた。と言うべきか。

 Visigothの進路を塞ぐかのようにCorsairの編隊が現れる。お互いの放った光の束は交差して、そのまま空を過ぎていく。

 エステロスでは、この編隊の飽和攻撃でKitFoxを一瞬でスクラップにされた。

 あれが無ければ、今のトヤーとゾリグの関係は始まらなかったのかもしれない。

 そう思うと、白い6機の機影は恋のキューピッドに見えなくもなかった。

 しかし、ドルマ―にとってみれば、これはそういう話ではない。

 隼のプライドの話だ

 

──借りはきっちり返す。

 

「4番機は対メック用のミサイルを残して。他は各エレメントごとに突入する。」

 白いPhoenix hawkが砂煙の向こうから姿を現した。周囲をがっちりと他の大型のメックに固められている。

 飛行隊の4機はそれには構わずに一斉に高度を下げ始めた。火器管制装置が計算を終えると共にトリガーを引く。当たる当たらないは気にしない。

 胴の下の重量物を放つと操縦桿を引いて機首を上げる。

 機体が水平よりも少し上向きになるくらいのタイミングで敵のCorsairのレーザー砲が、発射された実体弾を次々に焼き払う。

 

──掛かった。

 

 地上のメックを庇うCorsairの背を縦に切り裂くようにVisigothのレーザー砲が薙いだ。

 照射時間が短かったせいか、どの機も撃墜に至るほどは傷つかない。

 レーダーに映る光点の数が互いに機体を失わなかったことを示している。

 

──そう易々とは堕とされてくれないか。

 

 そもそもメックと一緒で気圏戦闘機も簡単に破壊できるような代物ではない。

 この空戦で、お互いに光点が一つも消えない可能性の方が高かった。

 それで、地上のメック部隊が空爆に怯えずに戦えるのなら、航空隊の仕事は完遂されているとも言える。

 でも、それでは面白くない。

「散開して全機でツェレンを支援する。地上の白いのを一刺しもせずには帰ってたまるものか。」

 

 Visigoth1機で敵の1エレメントずつを引き付ける。

 機体重量は向こうの方が上。小回りはこちらの方が利く。 

 

 翡翠の戦闘機隊がパッと四方に散る。

 ドルマ―が背後を振り返ると、2番機の尾翼の後方に白い機影が4機。

 

 速度を下げて相手に距離を詰めさせる。

 急に高度を上げて機体を失速させると、機体の背面を白い機体が通り過ぎていく。

 

──そう来なくちゃ、楽しくない。

 

 ドルマ―は口元を緩めながら、機体を戻して機関砲のトリガーを引いた。

 

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