Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Fort Chastre
Krievci System,Chastre
Jade Falcon
24 October 3151
「いいねぇ、作戦通りじゃん?」
オーケの明るい声が格納庫に響く。
「脚以外の装甲板を張り替えて、弾薬を補給すればすぐ戦えそうだ。」
帰還したTimberWolfはすぐに機体の全ての部分の点検を受けた。
ローリングストーンズは複数の部隊を同時に展開できる数のメックを保有している。
短期間内に複数回の出撃があることを考慮すれば、被弾や修理に時間のかかる内部機構への損傷はできる限り避けたかった。
それなのに、ドルジは戦場で被弾を避けるような素振をみせずに、戦場の正面に出たり、過熱を顧みずに武装を使っていた。
アリマもプリヤンカも機体が本来の予定以上に損傷していることを覚悟して、点検を見守っていた。
報告を聞いて、目を丸くしたアリマとプリヤンカの背後でファーベが嗚咽ような音を喉から出していた。
「あんだけ、被弾しておいて内部機構無傷なの?」
アリマが呆れた声で、翡翠色の機体を見上げる。
「脚が無傷だってことは、ちゃんと稜線に隠れて射撃してたってことなんじゃないの?」
そういえば、丘陵を盾に戦っていたかもしれない。
珍しく、後退しながら戦っていたような気もする。
「愛人の頼みは断れないってか、羨ましねぇ!」
「愛人......?」
女っ気のないオーケの僻みにファーベが反応した。
すぐにアリマがオーケの足を踏みつけて、それ以上の発言を止める。
「そういうのをポンポン口に出すのは良くないと思うな?」
アリマに思わせぶりな声で顔を覗き込まれて、プリヤンカは赤面した。
照れたような顔をしながら、もじもじと右の手でお腹の下の方を擦る手が生々しい。
プリヤンカは既にドルジの所有物として、マラートやタニスに知られている。
だが、アリマまでドルジとの関係をLICに知られるのは良くない。
──誤魔化せたか?
ファーベの表情は読み取れなかった。
彼がどこまで気が付いたのかは分からないが、これで場合によっては彼を処分しなければならなくなった。
──面倒くさいなぁ......
TimberWolfの巨体を見上げる。
期待はしていなかった。
だが、ドルジがアリマ達の要望を聞いてくれる気があったのだと思えば、どこか気恥ずかしい気持ちにもなる。
思わずニヤけそうになる表情を隠すためにも、胸中を怒りの感情で染めた。
アリマは足の痛みで声すら出せなくなっているオーケの背中をにらみつける。無用の懸念が増えた腹いせに、反対側の足も踏みつけた。
オーケの悲鳴が格納庫に響く。
彼が痛みに悶えて、床に転がる様子を嗤うふりをして、アリマは笑った。