※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.15_04

Badland

Krievci System,Gostivar

Jade Falcon

19 November 3151

 

 『もうやってらんねぇよ。見逃してくれ!』

 そう叫んで、戦場に背を向けようとする傭兵をエミリーヤは りつける。

 TimberWolfの被弾による被害は気にはなるが、それよりも重要なことがこれから起こるはずだった。

 

 ドルジにTimberWolfはエステロス星系でもほとんど同じ状況に陥っている。

 窮地のTimberWolfとドルジを救ったのが、アンネだという。

 

 超常の力を操る少女。

 10年近く前にSeaFox氏族によってどこかの星系に幽閉されていたはずの彼女はどういう経緯か、今はドルジ達と行動を共にしている。

 そして彼女は頭部に被弾して沈黙したTimberWolfを再起動し、砂嵐の中を行進し機体ごと彼を無事に基地に帰還させた。

 そんな神話のような噂話が、彼女の耳にも入っていた。

 

 傭兵のメックの視覚センサーを全てTimberWolfに向けさせる。

 漆黒のローブを纏った女性が、TimberWolfの真上に現れるのを今か今かと待った。

 

『ガウスライフルが頭部を直撃して、コクピットが露出している。』

 

 通信機のスピーカーがTimberWolfの周りを飛び回る気圏戦闘機からの音声を流している。

 センサーの邪魔だ、退け。と指示を出そうかと思ったが、そのためだけに映像から目を離すのは愚かしく思えた。

 

『コクピットは空だ。シートはそのまま。パイロットは脱出していない。』

 コクピットという言葉を聞いて、エミリーヤは通信機の方に目を向ける。

 

 3つの報告のうち、重要な報告は2つしかない。

 コクピットは空。パイロットは脱出していない。この2点だ。

 だが、この報告には2つ以上の意味がある。

 

 TimberWolfは今やドルジの部隊の象徴とも言える機体だ。これが公爵側に鹵獲されれば彼の部隊にとって大きな損失になる。

 資金さえあれば、彼らはカロリンジャンのように代替機を確保できるのかもしれない。

 だが、問題は指揮官たるドルジを喪ったことだ。

 これはあの部隊が、もはや機能しない危険性を示している。

 そして、ドルジの部隊が機能しないのであれば、再編された公爵の侵攻部隊を止める手立てはない。

 彼ならば、シャストルを中心に展開している、星系の守備隊をつつがなく動かせるはずだった。

 

 公爵の上陸作戦は数週間以内に必ず発動する。

 今回の作戦は公爵が直々に指揮するとも噂されていた。

 指揮官が誰であれ、公爵が侵攻部隊と共にゴスティヴァルの地を踏みに来るのは間違いがない。

 わずかな期間の間に、シャストルの要塞化を完了しなければならない。

 押し寄せるであろう波を止めるためには、首都の東にある3つの浜とその間の道に防御施設が必要。

 しかし、大部隊を相手に寄せ集めを指揮して、戦場を構築するのはブルーマーチンでは不可能だ。

 そして、もはやエージェント風情の出番でもない。

 

──唯一の将を喪った。

 

 エミリーヤはモニターを見上げた。

 彼女には、目の前の惨劇の原因に心当たりがある。

 エミリーヤはドルジの部隊へ供給する資材の質を下げるように指示をしていた。

 質と物量の低下を露見すれば、当然アリマから苦情が飛んでくる。

 それを機にエミリーヤはアリマ達にドルジへの謁見を要求しようとしていた。

 戦場の伝説は奇跡に護られている。そんな偏見が無かったと言えば嘘になる。 

 だが、まさか死んでしまうとは思ってもいない。

 こんなにも、大きな喪失に繋がるとは思ってもいなかったのだ。

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