※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.17_10

Shack side by Country road

Krievci System,Chastre

Jade Falcon

5 December 3151

 

「耳をふさいで。口は開けて。」

 ナランの指示通りにゾリグが体を動かす。

 それと同時に小さな家がミシミシと音を立てて揺れる。

「今のは俺たちよりも低かったぞ?」

 眉を片方だけ上げて、ナランは聞こえていることをゾリグに伝えるがそれ以上の反応はしない。

 ドルマーは彼らの隠れ家の周囲を何度か低空で飛び回っていた。

 着陸するのではないか。と思うような低い高度を彼女が超音速で飛び回ったせいで、木製家屋は屋根が吹き飛び、バルコニーも崩れ落ちている。

「高度を上げるか、速度を下げろってあいつに伝えられないのか?」

 ゾリグの問いにナランは黙って首を振った。

 壁が剝がれて落ちてしまえば、もう彼らを守るものはない。

 点検を終えた装備を背負うと、ナランに下を指さして見せて、不安定な階段を降る。

 上の階が崩落する危険はあったが、それでも壁の外を降りるよりはマシだった。 

「誰が、あんな無茶な飛び方をあいつに教えたんだ?」

 ナランがきちんと彼の後ろに続いていることを確認しながら、軽口を叩く。

 外では爆音に紛れて、たまに銃声が聞こえる。

 翡翠色のボディに白いラインを引いた荒隼は直進するだけでは飽き足らず、機体を横滑りさせてターンさせて、地上のゴミを払うかのように弧を描き始めた。

 到底、正気の沙汰とは思えない。

「兄貴分のサリーナさんからでなければ、5番機の背中を見て覚えたのでしょうね。」

 ゾリグはナランの口から予期していなかった名前が出てきたことに少し動揺した。

 軋む床板を警戒しながら、大男は一階に降り立つ。

 ゾリグの戸惑いを隠せない様子を見たからなのか、ナランは言葉を加える。

「私はその両方だと思います。彼女は姉を超えることを目標にしていますから。」

「俺はそのどっちも越えられなかった。」

 その差が技術や体力の話ではないのは分かっていた。

 この敗北感の正体はゾリグ本人でさえ未だに掴めていない。

 飛行技術を磨けば磨くほど、それ以外の要素の差も広がっているような気がしていた。

 

 そんなゾリグの迷いを断つかのようにナランは断言する。

「私のゾリグはそのどちらにも負けてはおりません。」

 あまりにきっぱりと断定するので、少しの間だけあっけにとられた。

「俺はアンタにも負けてんだよ。」

 軽機関銃のレバーを引きながら、ゾリグは鼻で笑う。

 行こうぜ。とだけ言って、ナランに背を向ける。

 ゾリグが今の相棒に負けている部分はわかりやすい。

 ただ、彼に追い付こうとすれば、そこには20年近い年季の差があった。

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