Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union Class Dropship,Medic Room
Krievci System,Interplanetary Space
House Sabor
22 December 3151
アリマが病室に運び込まれた後、面会が許されたのは何時間も経ってからだった。
彼女の体に薬を運ぶ透明な管は全て外されて、一見アリマはまるで健康体であるかのように見える。
それでも、そばに寄れば目元や頬に残った痕が彼女の現状をドルマーに教えてくれた。
サリーナが地球で帰らぬ人となった後の姉の惨状を知るドルマーにとって、アリマの今はそれの再現だった。
あの時と違って、今のドルマーはアリマの側にいてあげることができている。
愛しの娘が慰めを欲せば、文字通りにひと肌でもふた肌でも脱いで甘やかし、彼女の飢えを癒した。
しかし、本当の彼女の望みは叶えられない。
どんなに手を尽くしても、ドルマーはどんどん壊れていく彼女を見守るしかなかった。
──あの女医はどんな手を使ったのだろうか?
寝台に備え付けられた金属のポールの先に下がる空の袋のラベルを検める。
そこに記された薬の名前はドルマーの知る限り、普通の栄養剤と睡眠導入剤だ。
夜中に叫び声をあげ、全身を震わせるアリマを何度も抱きしめた。
眠りにつくたびに苦悶の声を上げる彼女の歪んだ表情を知っている。
今のアリマは静かな落ち着いた寝息を立てていた。
戦は戦士だけで行うものではない。
隼が戦を習うときは必ずそう教えられた。
星の海を往く船は商人や技術者が扱い、医術や遺伝子に長けた人材が肉体を扱い、目となるものが敵や獲物の動きを戦士たちに伝える。
戦場に立たない非戦士を嘲ったり、軽く扱えば戦に勝てないどころか、戦場に辿り着くことすら危ぶまれるのだ。
ドルマーは改めて、かつての教えが正しいことを頭に刻む。
「あっ、」
寝ているアリマが漏らした声にドキリとする。
また、同じ悪夢に魘されているのかと表情を覗き込む。
呼気が浅く変化したように感じて、彼女の口に耳を寄せる。
「はぁっ、」
アリマの甘い吐息が耳元に吹きかかった。
背筋を走る感覚がくすぐったくて、ドルマーは一度寝台から後退った。
何かあってもアリマには手を触れないように。
そう、女医に言い付かっていた。
どんな夢を見ているのだろうか?
甘い吐息を漏らしながら、もじもじと体を動かす彼女を見てどうしたらよいのか、ドルマーは悩む。
到底、平常とは言えないが、女医を呼ぶような話ではない。
気をやったような声を聴いて、ドルマーは恐る恐るアリマの上かけを捲った。
びっしょりと色の変わった彼女の下半身と寝台のシーツの匂いが脳を襲う。
寝苦しいのか、荒い吐息と共にアリマが寝巻のボタンに手をかける。
ふと、ドルマーがアリマの小指に結ばれた赤い紐に気が付いた。
しかし、それに目を取られているうちに、アリマの胸元が大きく開かれる。
彼女を落ち着けるにはどうしたらいいのか。
まるで思いつかなかったドルマーは己の欲に従ってアリマの唇を自分の唇で塞いだ。
そのままの勢いで、舌を突き入れてお互いの舌を絡ませる。
肌けたアリマの胸に手をのせて指を動かすと彼女の肢体はそれにうっすらと反応した。
久々の彼女らしい反応にドルマーは喜ぶ。
しかし、同時に女医の警告を思い出した。
名残惜しさと寂しさに、少しの間だけ両手で柔らかな感触を確かめて、尖った先端を弄る。
──我慢、我慢。今は我慢。
そうドルマーは自分に言い聞かせると、丁寧にアリマの寝巻と上かけを元に戻す。
あとは、じっと寝たまま乱れる恋人の様子を見守った。