Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union Class Dropship,Sacred Realm
Krievci System,Interplanetary Space
House Sabor
22 December 3151
ほんの少しのスパイスが料理の味を大きく変える。
スパイスを効かせるような食事と縁の少なかったシタにはその表現は分かり辛い。
彼女の馴染みのメニューはブロック上の乾いたビスケットと錠剤だ。
今でも、それで済ませてしまうことがある。
自分で調理をしたことはほとんどない。
生鮮食品と言われて思いつくものと言えば、サボテンと何種類かの芋くらいか。
エステロスでまれに食べられていた臭みの強い大蜥蜴の肉は苦手だった。
そんなザマの彼女でもこの味変には革命を感じる。
自分が望んだ事とは言え、この刺激は強烈だった。
もう、元には戻れないかもしれない。
シタの右の手の小指には赤い紐が結ばれている。
この紐の先は地を這うことなく続いて、アンネの左手の小指へと繋がっていた。
聖域の祭壇の上に横たえられたシタの動きに合わせてアンネは腕を振り、器用に紐の張りを保っている。
腹の大きな彼女に視られながら、シタは目の前の大男に肢体を弄られ続けていた。
上半身を黒い衣に覆い、頭部を黒い帯のような布で巻かれた男の姿は彼女の目からでも闇に紛れてほとんど見ることができない。
頭を持ち上げて男の姿の下の方を伺えば、剝き出しになったそこの一部はシタの肢体と繋がっているはずだった。
繋がりが脈動して、その役割を果たすたびに褐色の身体が痙攣するように跳ねる。
既に幾度もの放出を男から受けた彼女の股下は、お互いの身体から迸った様々なモノが混じり、大きな溜まりとなっていた。
シタの腰や尻が水面を打つたびに、祭壇の下まで飛沫を跳ね散らかしている音が闇の中で響いている。
自分の声と水の音、肉がぶつかり合う音。
薄く光る赤い紐と小さな蝋燭に照らされて浮かぶ黒衣のアンネ。
あとは肢体を駆け巡る男の感触。それがシタが認識できる全てだった。
痛む背を祭壇から少しでも離したくて、両腕で男の首を抱く。
男が上半身を少し起こすとシタの肩甲骨の辺りが宙に浮いた。
身体の重みがシタの下半身に移ると彼女の中に突き刺さされていたモノが更なる深みにまで押し込まれる。
激しく幾度も打たれ続けた丸い果実たちはちょっとした刺激にさえも過敏に反応した。
それでも、大きく姿勢を変えることは許されていない。
赤い紐の張りを保たねばならないからだ。
今、シタを狂わせている感触は紐の先、アンネの身体を伝わる。
更に彼女の右手の人差し指の先に触れている水盆を通じて、病室のアリマに通じるらしい。
アリマの回復を聖域で祈った彼女に、この闇魔術か呪いのような神託が降りた。
脳に電子的に回線を繋げば、そこには彼女が追える痕跡が残る。
だが、この手ならば、確かに目覚めた彼女がこの施術に気がつくことはない。
それでも、こんな不気味な儀式の一部となることを二つ返事で承諾した自分のことが不思議で仕方がなかった。
仲間のため?自分の患者のため?
──誰を胡麻化しているの?
今の彼女は白衣だけでなく、下着すらも身に着けていない。
医療を言い訳にするのは無理を感じる。
シタは自分の唇に触れる誰かの唇の感触に薄く目を開く。
男のものではない。
目に見えない誰かの舌が、彼女の唇を優しく開いて中に入ってきていた。
大きな逞しい手の平が胸に広がるオリーブ色の丘をなぞる。
それとほとんど同時に、丘の頂上に立つ実を刺激する細い指先の感触が容赦なく脳を叩く。
まるで4本の腕で同時に責められているような不思議な感覚に負けて、シタはアンネの目を憚らず声を口から漏らし始める。
脳も、身体も、心も降参を告げていた。
自分の想像力がこの世の不思議にまだ追いついていないことを認めざるを得ない。
何よりも、自分の欲望を認めなければならなかった。
──そうよ、私が欲しかったのよ。
これはアリマへの嫉妬。
当てつけと言っても嘘ではなかった。
医者などという尊いモノではない。
今のシタはただの女だった。