Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union class Dropship , Bay1
Sargasso System, Nadir JumpPoint
Jade Falcon
31 December 3151
「ははぁ、それはもうサチコさんとご結婚するしか無いですね。」
SeaFoxの人間ならば色々なことを知っているだろうと試しに訊ねてみると、やはり他の人間とは違う視点の返事が返ってきた。
「そいつは構わねぇんだけどよ。」
サチコと過ごすようになってから、夫婦になることは常々考えている。
だが、彼女が望む結婚とは儀式を経るものなのだ。その儀式がどのようなものなのか、調べてみても、皆目見当がつかない。
さすがのアレフも、その儀式の内容までは知らなかった。
「ですが、知っていそうな女性に心当たりがあります。」
人差し指を上に向けて、任せろと言わんばかりの表情を浮かべている。
「ツェレンさんはかつて、ご結婚をなされた上に結婚式まで挙げていらっしゃいます。式をする前も色々と調べたみたいですから、ご参考になるかと」
なるほどな。とオスキャルは感心した。
副長の経歴は以前から色々と聞いていたが、まさかそこまで異端児だったとは。
彼の意見は採用してもいい意見だ。
だが、彼の期待するような謝礼は出来ないことは伝えなければならない。要望を口にされる前に釘をさす。
「聖域には俺も入れんぞ。どこにあるのかすらも検討がつかねぇんだ。」
「だから、その件は私の担当ではないと言ってるではないですか。」
ははは、と困ったようにアレフは笑う。
「そうかも知れん。だが、4番に繋がってる船はお仲間だろ?」
確信は無かったが、良い機会なのでカマをかける。
これが今日、この男に話しかけた本題だ。
「穴でも空けられちゃ、叶わん。無茶しないようについでに伝えておいてくれよ。」
今度は向こうがため息をつく番。
「アンネ様がそう言ったのですか?」
静かに問われたので、鼻を鳴らして答える。
「いいや、悪いことってのは続くもんだからな。これはただの俺のカンだ。」
アレフはまいったなというように頭を掻いた。
彼の素性を知っている人間はまだ少なく、片手で数えるほどの人数しかいない。
「正体が察知されてることは伝えます。それが僕に出来る精一杯です。」
「助かる。」
オスキャルは短く礼を言う。
一石二鳥とはよく言うもんだ。
雲行きは怪しいが、運は悪くない。
──仕事以外も上手いこといって欲しいもんだな。
そう一人ごちながら、その場を離れる。
ドルジの副官から話を聞けそうな時間の合間は、船が跳躍を終えるまでは見つからなかった。