※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.21_03

Union Class Dropship

Zhongshan System, Nadir JumpPoint

Jade Falcon

6 January 3152

 

「邪魔すんぜ。」

 カルディネは面倒そうな表情を隠すことなく、降下船の通路に降り立った。

「お前さんはいつも、間が悪いな。」

「前回は俺のせいじゃねーだろう。」

 通信機越しならば、散々顔を合わせているが、こうして実際に顔を合わせる機会はほぼ無い。

 ただそれは、問題が無ければの話だ。

 

――爺がここにいるということは、今の艦長席にはあの娘がいるのか。

 

 そんなことに考えを巡らせながら、カルディネは出迎えのオスキャルに尋ねる。

「今日はどう間が悪いんだよ?」

「おめでただよ。クルーがの双子を産んだ。」

 いつも通り、老人の答えは彼の想像を越えていた。

 眉をひそめて後ろを振り返ると、ついてきた2人の部下も困惑した表情を浮かべている。

 だが、その言葉は、彼のペースを乱すための冗談にも思えなかった。

 姿勢を戻して、カルディネはオスキャルに苦し紛れの軽口を返す。

「爺の子かよ。」

 当然の疑問を老艦長がちげぇよ、と笑い飛ばした。

「だが、運気付けだ。見ていけ。」

 

 海を行く航海の時代から、船乗りの縁起を担ぐ風習は変わっていない。

 古き良き時代を忘れた連中も多い中で、オスキャルの誘いは古風な計らいだった。

 直近の運の巡りの悪さを考えれば、カルディネが誘いに乗らない理由はない。

 数日前の通信の内容を、彼は思い起こす。

 カルディネが逃げるようにして通信を切った後、オスキャルは艦長席で嫁さんともヤッたらしい。

 袖口で口を隠すようなあの若女将の指の動きと、「ここでたっぷりといただきました。」という言葉からは、そうとしか解釈のしようがなかった。

 それは彼が勝手に想像した経緯だったが、無重力下で出産をすることに比べれば遥かに現実味がある。

 臨検という本来の用事を忘れて、絶倫の老艦長の後に続く。

 まだ赤い身体中が皺だらけの双子を前にして、カルディネはその姿に驚きを隠せない。

 

――目がまだしっかりと見えていないのか。

 

 真っ白な部屋の真っ白な布の上で、半開きの口と宙を掻く小さな手を見た。それだけで、船乗り達にはこの船に脚を踏み込んだ意味がある。

 同じ部屋にいた赤子の母親は、黒い艶やかな髪の毛に碧い目が印象的な女性だった。

 白衣を被って、我が子を抱く姿は、どこか神秘的な雰囲気をカルディネにですら感じさせる。

 あまりに戦闘艦に相応しく無い光景を前にして、自分が本当に邪魔者であることも感じた。

「なんか、色々気を遣わせたみたいで悪ぃな。」

「なぁに、船乗り同士はこうでなくちゃな。」

 何十歳も歳上の男の貫禄があればこその、あの妻なのだろう。

 実際にこうも生命力の差の証を見せつけられては、参ったと言うしかない。

 

「例の船の件だが、あっちの船主はお前らを疑ってるみたいでよ。」

 とにかく航宙船には防御能力がない。

 ジャンプポイントからそう遠くない距離から軍船で威圧されては、乗船調査を断れなかったのだ。

「SeaFoxに何を睨まれてるのかは知らねぇけどよ。俺からもう一度お前らは今回の件には関係ねぇって言っておく。」

「手間をかけるな。ご配慮に感謝する。」

 老艦長はカルディネの方を振り向きもせずに、感謝の言葉だけを口にする。

 もう一度、カルディネは透明板越しの母子を振り返った。

 その姿を見て、彼は部下に武器を持たせなかったのは正解だったと確信する。

 すっかり肩の力が抜けてしまった様子の2人に目配せをすると、カルディネは彼らに引き上げの指示をした。

 

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