※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.21_08

Visigoth I51GAW22

BlueHole System, Nadir JumpPoint

Jade Falcon

8 January 3152

 

『ヨウコウハアメノイワトニカクレタ』

 通信機から流れる奇怪な言葉にドルマーは顔を顰めた。

「受信する側が、聞き取ることすら困難な符牒にする意味がわからないわ。」

『これって、どういう意味なんすか?』

『陽光が隠れたそうです。』

『ナラン...説明したら、符牒の意味が無いだろうが。』

 不思議そうに問うシフに、ナランが気を遣って答えを返すが、すぐに彼はオスキャルに厳しい注意を受ける。

『対艦戦闘を伴うような有事が、本当にあり得るならば、4番機と5番機の不在はあり得ません。』

 アレフの他人事のような声色が、ドルマー達の疑問を遮る。

 降下船の艦橋で通信席に座る彼は、この件になぜか協力的だ。

 彼によれば一番ありそうな妨害は、ツォンシャンで彼らが受けた襲撃の意趣返し。

 バトルアーマーを使った移乗攻撃が一番実現性が高いのだという。

『粘着質な人達みたいですから、執念と執着があるんです。』

 ツォンシャンの天底に駐留していた、SeaFox氏族の艦船が動くことは無い。

 理由は単純で、船の回航が到底間に合わないからだ。

 SeaFox氏族も一枚岩ではない。

 ドルジの部隊に対しても、彼らの中では様々な意見があるのだという。

 彼らをアリイナに呼び込んで、戦力として利用したい勢力。アンネをドルジに奪われ、面目を潰された勢力。

 この2つはそれぞれ、異なる長に率いられている。

 アリイナの勢力圏に降下船が入ってしまえば、ツォンシャンにいたSeaFox氏族はドルジ達に手出しがしにくくなるらしい。

 

『ちなみに僕は、その2つのうちのどちらでも無いんですけどね。』

「えぇぇ...」

 なんとかアレフの話を理解できていたドルマーは、悲しい声をあげた。

『要するに、ツォンシャンに駐留していたフリゲートの指揮官が博打屋でなければ、飛行隊の皆さんが飛んでいるのはまったくの無駄です。』

 あっけらかんと笑う彼のホロは、図々しい笑みを浮かべていた。

 それでも、ジャンプポイントから1日の距離に現れる可能性も含めて、警戒するに越したことはない。

 だから、動きの取れない降下船の代わりに、飛行隊は広い宙域を哨戒しなければならないのだ。

『ちゃんと今まで皆さんのお役に立ってるんですから、その分くらいは信じて欲しいですよ。』

 自分でも己が疑わしい存在だという自覚はあるのだろう。

 だが、アレフは保身のために、ドルマー達に何かの利益をチラつかせたりはしなかった。

『目的のわからん奴が一番扱いにくいんだけどな。だが、そこは致し方あるまい。』

 彼と同じ場所にいるオスキャルの声が、通信機越しに聞こえる。

 老艦長はいつも通り、艦橋の中央にある席に座っていた。

 気がついたら、帰還する船が無くなっている。

 そんなことにならなければ、ドルマーはひとまず現状に文句はない。

 でも、だからと言っていつ牙を剥くかわからない人間と、同じ部屋で2人きりになる。

 そんな胆力は、彼女にはなかった。

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