Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Union class Dropship , Bay1
Alyina System, Interstellar space
Alyina Mercantile League
27 January 3152
Crossbowのコクピットの中は暗くて、気分が滅入る。
座席の周りのインプラントと情報のやり取りをする機械が取り外されて、室内は視野を確保するためのモニターが増えた。
それよりもあたしは高熱と放射線に強い、音楽の再生機が欲しい。
そんなものはどこにもないのはわかってるけども、何か気持ちの明るくなる要素が欲しかった。
正面に映し出されているのは、本物の光景ではなくて、訓練用の偽物の風景。
キャノピーにかかった布を払えば、その先には薄暗い格納庫が見える。
「ねぇねぇ、このメックさぁ、指ないね?」
『モニターに集中しろ。今までとは操作の感覚がまるで違うはずだ。』
インプラントに頼らない、標準的なメックの操作を教えてくれるはずのマイは、超ぶっきらぼう。
シュミレーターなんか面白くないよ。と訴えても、彼女は少しも同意をしてくれなかった。
「はぁ、ウーリン姉が訓練に付き合ってくれないかなぁ?」
記憶がないとは言え、姉妹でならもう少し話題が生まれるのかもしれない。
そう期待をして、ボヤいてみる。
『ヌルは独房から出られない、諦めろ。』
右の腕をサチコに斬り落とされたエノリは、病室にいてほとんど拘束を受けていない。
他はびっくりするくらい弱い縛りなのに、あたしが姉に会いに行こうとするとみんなが首を振った。
理由を聞いても、誰も答えてくれない。
せっかく、怖い手術を乗り越えたのに、どうしてか皆がよそよそしく感じた。
決闘の儀式の後、本当に結婚したのだってヌルとマイの一組だけ。
あたしとゾリグの間柄も、他の3人組も公には身の回りに変化がない。
船が星系に到着したり、あたしは2人のチビのお世話があったりで、お互いに忙しいのはわかる。
それでも根拠はないけれど、あたしは他のみんなに避けられているような雰囲気を感じていた。
――どうして、こうなっちゃったんだろう?
ほとんど、何もしないままにシュミレーターの中のCrossbowはマイの操るNovaの光線に焼かれて、倒れ伏す。
棒立ちのでくの坊を相手にしていても、氏族の女戦士の爪は容赦なく機体を引き裂く。
『貴様、やる気があるのかっ!』
通信機の向こうから、彼女の怒声が聞こえた。
叱責を受けても、罵声を浴びせられても、あたしは気にならない。
こんなにも惨めな想いばかりするのなら、もうあたしはパイロットじゃなくても良かった。