Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Camp Jaipur ,Union Class Dropship,Jail
Alyina System, Noida
Alyina Mercantile League
6 February 3152
「あっ…んっ…あぁんっ…」
自分の耳に入った声の正体に気がついたシフは、あの百合夫婦がまた盛ってるのかと思い、ゲンナリとする。
そうと知っていれば、例え遠回りになっても別の道を選んで、艦橋を目指した。
「教養のない声が聞こえるざますね。」
「面目ねぇっす。」
頭の上から降ってくる声に、シフは素直に謝罪を返す。
だが、ここまで来て引き返すのは面倒だったので、彼女はそのまま前に足を進めた。
背後からの足音も、何も躊躇うことなく彼女に続く。
悲しいことに、上の階に繋がる昇降機に向かうためには、この声の源の前を通らねばならない。
一定のリズムで続く、声の方向に向かってシフ達は進み続け、ついにその扉とその前に立つマイを視界に収める。
シフはその光景に首を傾げた。
マイが独房の入り口に立っているということは、囚人の相手をしているのは彼女ではないということになる。
軽く見られがちであるが、気圏戦闘機に乗るという行為は、身体的にも頭脳的にもそれなりの優秀さが求められる。
そのくらいの単純な引き算は、シフの頭脳でもできた。
「だめぇ…もっと…」
伴侶の請うような、甘えた声にマイは顔と背を向けるようにして、歩哨に立っている。
彼女の口元が少し、への字に曲がっているのを見て、シフは彼女が強い嫉妬の感情を抑え込んでいることを察した。
だが、彼女の頭脳をフル回転させても、ヌルをこれほどに蕩けさせる相手は思い当たらない。
「ここ、ざますね」
エリザベータは、全く遠慮することなく独房の入り口の扉を開く。
完全に虚をつかれたシフは、慌てて彼女の服の裾を掴もうとしたが届かず。マイも開いた扉に遮られて、女の侵入を易々と許してしまう。
「虜囚への陵辱は戦場の常とは言え、感心な行いではないざます。」
そう言って、エリザベータが目的の独房の扉を開いたのと、部屋の中の声が頂に登り詰めたのは、ほとんど同時だった。
「ふぅっ…ボク…すき…んっ…あっ…」
エリザベータの細身の身体の隙間から、背を大きく反って、開いた股の間から白く濁った液体を零すヌルの肢体を目にしたシフは、思わず目を逸らしてしまう。
揺れる乳房を両手で押さえ、胸の先を指先で触れることで自らも肢体を昂らせ、男の精をその身で受け止めて、愛の言葉を小さく声にして彼女は達した。
再び股の間から、今度は大きな音と共に液体が吹き出す。恍惚の声の後で、ヌルの肢体は床に膝をついて、液溜まりの上へと倒れ込む。
シフは男と交わっている女性の姿を目にするのは、これが初めてだった。
「これは、失礼をしたざます。」
部屋の様子を一瞥した女は自分の想像と部屋で行われていた行為が違ったと察したのか、すぐに謝罪の言葉を述べる。
「ただ、独房プレイの見張りに女性を使うのは配慮が足らないざます。無教養な行いざます。」
「違うっす。その女は虜囚で合ってるっす。」
あまりの勘違いに、シフはつい訂正をしてしまう。
「それは、おかしいざます。部屋に抵抗の様子も無ければ、薬物使用の形跡もないざます。完全な合意がなければ、この状況はありえないざます。」
床に脱ぎ捨てられた2人分の服と、いくつかの水溜り、そして身を震わせながら床に臥した女。
それを指差すエリザベータに逆に指摘をされると、シフは頭を抱えた。
――この世の正解がわかんねっす。
男女の機微に疎い上に、部隊の意思決定に関与していないシフでは、この教養高い女性を論破するのは無理がある。
だがしかし、この場にはシフよりもこの船の事情に詳しいはずの人間がいた。
「隊長、ヘルプっす。」
シフは、迷うことなく独房の中にいるヌルの相手にパスを送る。
この部隊の頂点である彼ならば、その全ての理を知っているはずだった。