※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.29_10

Camp Jaipur , Hanger

Alyina System, Noida

Alyina Mercantile League

8 February 3152

 

 騒がしい音に誘われて、あたしは基地の格納庫に辿り着いた。

 ここに来ると訓練、訓練で鬼のような形相のマイに毎回、しごかれている。

 正直、もう操縦桿なんて見たくもなかったけど、それでも何かが気になってこんなに来てしまった。

 

「聞いてる?B、o、o、b、s、よ。こんな短いふざけたパスワードあるっ!?」

「ふぅっ、アぁ、リマちゃん...んぅっ、こんなところじゃ嫌だよぅ...。」

 入り口を抜けると、そこでは怒りの形相のアリマがパイロットスーツの上からドルマーの胸を揉みしだきながら、わけのわからないことを叫んでいる。

 ドルマーの顔は涙でぐちょぐちょだけど、喘ぎ声には悦びが混じっていた。

 アリマの両肩に置かれた彼女の手と、互いの絡み合った脚を見れば二人の仲がわかる。

 

――いいなぁ。

 

 2人の腰の布が擦れ合う音を羨みながら、あたしは当てのない探し物の旅に戻った。

 

 観音開きの扉の前にいるゾリグの背を見つけて、少しだけ胸が跳ねる。

 手術を受けてからそろそろ一ヶ月。シタ先生に傷が開くから、と激しい運動を禁止されていた期間がそろそろ空ける。

 そう思うとお腹の下の方がどうしようもなくうずく。

 それなのに、今のあたしにはゾリグに声をかける自信がなかった。

 

 俯いて、床の模様を眺めながらその場を離れる。

 行く先もなくぶらぶらと歩いていると、赤い光る棒を持ったおじさんに叱られた。

 名前を知ってるはずなのに、どこの誰だかわからない人。

 彼に歩みを止められて、仕方がないからそのまま、2台のトレーラーが中に誘導されるのを見守る。

 

 大きなコンテナをいくつも積んだ1台目が通り過ぎて、ごわごわの布が被さった2台目のトレーラーの荷台がちょうどあたしの目の前で止まった。

「トヤーちゃん、これから荷下ろしするから離れて。」

 きっと、親切で言ってくれてたんだろうけれど、あたしにはその言葉が何か悲しい意味に聞こえてしまう。

 ぼろぼろと涙をこぼすあたしを見て、おじさんは慌て始める。

「ああ、もうわかったから、見てていいから。でも、お願いだからあと3歩。3歩でいいから後ろに下がって。」

 そう言いながら、おじさんは棒立ちになるあたしをずりずりと押す。

 

 そんな騒ぎは気にもされず、おじさんの後ろでは荷下ろしが始まる。

 ワイヤーが解かれて、大きな布が剥がされていく。

 

 だんだんにそのボディが露わになると、あたしは泣くのをやめた。

 平べったくて丸い頭部、鶏みたいな脚、背中と腕部にごっそりと積まれたミサイル発射機。

 翡翠色に輝くその姿にあたしは見覚えがあった。

 

「なんだ、お前もこっちに来れたんだ?」

 

 ぼーっとた頭で、あたしはその軽量級のメックを見上げる。

 あの時と同じ機体なのかはわからないけれど、あたしと一緒に地獄を脱走した高速機。

 目の前に現れた機体は、紛れもなくJennerIICだった。

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