※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.04_02

Ammo Dump Control tower


Zhongshan System,Zuhai


Jade Falcon


17 March 3151

 

 罠だとわかっていたはずだ。

 

 TimberWolf出撃の報告はコボルの心臓を止めた。

 その報告に来たトヤーはコボルにそれをすぐに伝えなかった。

 

 宇宙で行われている海賊退治。そのときコボルは管制塔でこの推移を見守っていた。

 気圏戦闘機の星隊の海賊退治は大勝利だった。

 作戦は成功し、コルベット1、降下艇3が宇宙の藻屑になった。ここ数ヶ月、ツォンシャンを悩ませていた海賊は最早戦力を残していない。大戦果だ。

 後日、降下艇の残骸を漁りに行けば、大儲けだ。ジャンクだけでも相当な稼ぎになる。しばらくは基地の運営資金に悩まずに済む。コボルの悩みが一つ消えるはずだった。

 

 しかし、トヤーの知らせはコボルの勝利の余韻を一瞬で吹き飛ばした。

 

 トヤーは、報告を遅らせた。彼の手が空くのを待ったと言われた。

 ……嘘だ、とコボルは思った。

 報告を遅らせたのは、コボルに彼を止める時間を与えないためだ。

 トヤーは、意図的にそうした。

 

 それを問いただす意味がないことは、彼女の眼を見ればわかった。

 彼女は確かな意思を持っていた。

 

 また、ドルジはまた忠臣を増やした。

 誘拐まがいの手段で攫ってきた人間だけじゃない。基地の人間も彼に影響を与え始めている。

 どうやったら、そう簡単に人を口説き落とせるのかコボルにはわからなかった。

 

 ドルジのTimberWolfはもう戦域に入っている。

 戦場は泥沼だ。

 敵が幾度も身を沈めてきたあの泥濘が、今度はTimberWolfの脚を掴み、ドルジの最大の武器を奪う。

 それでもドルジなら、ひょっとしたら戦況を制して帰って来るかもしれない。

 勝ちはせずとも、TimberWolfと共に帰還するかもしれない。

 

 コボルの祈りにも似た仮定は、警報に潰された。

 TimberWolfの核融合エンジンが被弾した警報だ。

 メック同士が撃ち合うにはまだ早い。

 あの土地は木が多く、地形も起伏が多い。まだお互いに姿を見ることすら叶わないはずだ。

 基地の対空レーダーに所属不明の機影が映っている。

 ドルジは戦闘機か爆撃機の対地攻撃に晒されたに違いない。

 前回もボルドがそれで撤退に追い込まれた。

 

 コボルには、もう動かせる手駒がなかった。

 今さら救援に出せる戦力も、手段も、何も。

 

 赤く光る警告ランプが、管制室の壁を染め続けていた。

 時間だけが過ぎた。手は動かない。命令を下す声も出ない。

 コボルはその光の中で、ただ、何も掴めないまま考え続けていた。

 

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