Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Camp Jaipur , Head office
Alyina System, Noida
Alyina Mercantile League
16 February 3152
分厚い石灰色の壁に囲まれた少し広めの部屋。
見るからに重そうなカーテンが引かれているせいで、外からの光は室内に入ってこない。
高そうな机とか椅子が、毛の長い絨毯の上に載っている。
この基地の執務室と呼ばれる部屋に、用事のある人はあまりいない。
それでも、何かに使うかもしれないと掃除をして、一応清潔さを保っていた。
あたしは緑色のふかふかの座面の大きな長椅子の上に座って、足を揺らしている。
聖域に入りたいとシャロンが言うので、あたしは彼女達との待ち合わせの場所をこの部屋にした。
どういう仕組みなのか、あたしには全然わかんないのだけど、聖域への入り口は方々にある。
そして、それらは限られた人にしか、あることがわからない。
そんな入り口の一つが、この部屋の近くにあって、2人を案内するのにはちょうど良かった。
――二人とも、早く来ないかなぁ...?
まだ、この部屋に辿り着いて、何分も経っていないけど、あたしは部屋の扉の方を振り返る。
頭を動かすと部屋の中の匂いが纏わりついて鼻の中をくすぐった。
部屋の奥の大きな机の上から漂う、濃いめの重くて甘い、気怠い匂い。
この部屋にいるのは、あたし1人ではなかった。
荒い息を繰り返しながら、静かに部屋の空気の湿度を上げている。
乱れた黒いローブの胸元は肌けていて、こぼれ出した大きな2つの球が、呼吸の音と共に上下に揺れていた。
二人の赤子を養えるだけの乳を蓄えたそれらは、瑞々しく部屋の光を反射している。
しわくちゃになった裾は捲り上げられ、彼女のお腹の下まで白い肌が露わにされたまま。
脚の間から洩れ出して、床にまで垂れている液体と、彼女の胸元と顔を汚している液体は同じ白。
涙で濡れた表情は、恍惚と悦びの笑みを湛えている。
丸い円を描くように散らされて拡がった長い髪の毛は、彼女の頭を真ん中にして机の上を覆っていた。
「...ぁっ...。」
短い小さな悲鳴と共に、彼女の腰の下から空気を含んだ水の吐き出される音が響く。
収まりきらない量を注ぎこまれたお腹の中からは、今も強い粘り気のあるおつゆが湧き出していた。
――いいなぁ...。
もう、彼女の相手はこの部屋を後にしている。
全身に男の余韻を満たしながら、一人で震えているアンネは幸せそうに見えた。
まだ産むには早くても、彼女とドルジの交わりは復活を遂げている。
双子をもうけたばかりなのに、アンネはもう次を欲しがっていた。
男に、汚しつくされたまま、この部屋に置き去りにされていても、彼女は不満を見せない。
2人が出会った頃は、お互いに経験が少なかった。
でも、今は彼が色々知っている。
真っ暗な部屋の中、月明りの下で静かに抱き合っていたのはもう昔の話。
何人もの女の人と経験して培われた男の技術が、全部アンネの肢体に注ぎ込まれている。
欲しいものを、充足を、限界を超えて貰っている彼女のことが、あたしは羨ましくて仕方がない。
男の人の腰がぶつかる感触も、躰の中に残る熱の感触も、重なり合う肌の感触も、あたしは全部知ってるはず。
その記憶が本物なのか、妄想なのか確かめるチャンスすらないから、心細くて仕方がない。
せっかく、さっさとゾリグとヤろう。って決意をしたのに、肝心の相手が今は基地を出払っていた。
あたしは自分の中の疼きを、自分でどうにかする手立てを無くしている。
それでも、2人の交わりの音に刺激されて、ドルジに身を投げ出したりしなかったのはあたしなりの拘り。
ペトロワやサッチー、シャロンが大事にする貞操とかそういう義理とか倫理じゃない。
ただ、ゾリグ以外の男に身を許す気になれない。ってだけの事だった。
「...あたしも目いっぱい愛されたい。」
心の声だったはずなのに、口が頭で思ったそのままの言葉を音にする。
それに気が付いて、あたしははっとしてアンネの方に目を向けた。
いつのまにか、あたしに向けられていた彼女のどこか優しい眼差しと目が合う。
なんか急に恥ずかしくなったので、あたしは座っていた椅子から立ち上がる。
ひとまず、あたしは彼女の剥き出しになっている胸と太ももを、黒いローブの下にしまうことにした。