※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.04_13

Ammo Dump lounge

Zhongshan System,Zhuhai

Jade Falcon

20 April 3151

 

 コボルは弾薬集積場のラウンジに、基地の人間をすべて集めた。

 

 数十名の視線が彼の一言を待っていたが、コボルはすぐには口を開かなかった。少し間を置いてから、ぽつりと告げる。

 

「……地球圏での決戦が終わった。鷹は、またしても狼に敗れた」

 

 誰も言葉を継がなかった。

 何人かは目を伏せ、何人かは天井を仰いだ。

 だが、怒号も、嘆きもなかった。沈黙だけが場を包み込んでいった。

 

 やがて、ツェレンが唇を噛んで項垂れた。俯いた肩が、わずかに震えている。彼女の隣にいた隊員が、迷うように手を添えた。

 飛行隊の生還者の名簿に、彼女の夫の名はなかった。

 

 彼女を見つめる視線が、いくつも集まっていた。

ーー4年前か。

 今も記憶に残っている。彼女とあいつの結婚式は飛行隊の格納庫でやった。基地一番の美女の結婚を皆が惜しみながら手作りで祝った。この基地にとって、束の間の春だった。

 だから誰もが知っていた。彼女の涙が、ただの一人の悲しみではないことを。

 

 基地に帰還しない者は彼だけではない。この基地から発った戦士は誰一人還らない。彼女はそれを表に出すまいと必死に抑えようとしているが、抑えられていない。敗戦の衝撃が喪失の悲しみに塗り替えられていく。

 場には、もう言葉ひとつ入り込む余地もなかった。

 

 コボルは、地球の件についてはそれ以上語らず、スクリーンの一角に指を向けた。

「基地は維持する。周辺都市との折衝も始めている。我々は今や最前線の基地になろうとしている。」

 短く、それだけだ。誰も訊かない。誰も問えない。

 

 医官や技術者はわずかな数が生き残った。艦隊も一部は残った。だが、戻ってはこない。狼の損失を埋めるため、地球圏に釘付けにされる。

 かつてこの星域に広がっていた鷹の占領地は、今や空洞だ。

 空白を嗅ぎつけた者たちは、もう動き出している。

 機能しないHPG通信の裏で、静けさの奥に蠢く気配が感じ取れた。

 戦の煙がまた空を覆う。時間の問題だった。

 

「生き延びて、我々より大きな残存勢力との合流を目指す。それが当面の方針だ。」

 

 ズデーテンへと戻りたい者もいるだろう。

 鷹は爪だけが能ではない。商人艦隊と接触して再起を狙う者もいるだろう。

 

「俺は、ここを離れられない」

 

 言葉は短く、重かった。

 それを最後に、コボルは視線を切った。

 会場の片隅で、誰かが小さく息を呑んだ。

 彼が動けない以上、この星系を出て使える人間は限られている。

 

 伝令は、ドルジに託すしかなかった。




18 April 3151
Salina — MIA
Last known deployment: Ontario, Canada
Final transmission: Jammed / unrecoverable
Presumed KIA. No body recovered.
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