※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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Ep.06_03

Mining district

Esteros System,Alkahera

Jade Falcon

24 June 3151

 

 鉱山基地の滑走路は短く、壁のような岩肌に囲まれていた。

 守るには好都合だが、出入りの困難さは航空機にとって致命的だった。

 特に砂嵐の多いこの季節には、離陸も着陸も命がけになる。

 気象の荒れに巻き込まれれば、着陸誘導装置の精度も当てにならない。

 

 基地のサイレンが鳴り、基地の防空隊に出撃命令が出る。

 どの機体よりも早く、ドルジの部隊のVisigoth2機のエンジンに火が入った。

 翡翠色の機体がキャノピーを閉じながら前に進み始める。

 オチルは他の整備員と共に床に這うパイプを脇に避けて2機の進路を作った。

 格納庫の扉が整備員たちによって開かれ、外から庫内に砂が舞い込む。

 隣の格納庫から装甲車両の搭乗員が駆け付けて、手にした光り輝く棒を振って機体を庫外へと誘導した。

 

 警報を聞いたドルマーが、遅れて格納庫に飛び込んでくる。

 しかし、彼女の目の前で、5番機と8番機が誰の命令を待つでもなく庫外に出ていく。

 土色の砂嵐のカーテンに吸い込まれるように、機影は消えた。

 口を開きかけていたドルマーは、そのまま言葉を呑み込むしかなかった。

 

 通信機が鳴り、鉱山基地の司令室から協力要請を伝える声が聞こえる。

 ここにはいないツェレンの声が通信に割り込み、迷いなく管制塔への発進許可を要請した。

『5番機、最寄りの滑走路から離陸してください。8番機も続けて離陸を許可します。』

 管制塔からは慣れた応答が返ってくる。管制官が滑走路前での停止の不要を告げた。

 既に2機はエプロンにまで進入している。

 ゾリグとナランの2人はそのまま機体の速度を上げて、飛び立っていった。

 サイレンが鳴ってから数分。

 この流れに、誰も疑問を抱かない。

 彼らがここに到着してからは、むしろこれが定型の風景だった。

 

 オチルは格納庫の扉の閉鎖を確認しながら、すっかり出番を失ったドルマ―の悲しそうな顔を眺めた。

 整備員たちは彼女に気がつかないまま、皆、黙々と黙々と持ち場に戻っていく。

 

 彼女が飛行小隊の隊長であることを覚えている人はここにどれだけいるだろう?

 

 ドルマ―を除けば飛行隊のパイロット達は皆、彼女より年長のベテランだ。

 指示などなくても動ける独立心の高いパイロット達が彼女の部下だった。

 彼女は彼らの手綱を取ろうと努力しているようだったが、それは今のところうまくいっていない。

 ツェレンのように手綱を握らない方が飛行隊の指揮に向いていた。

 

 彼女と目を合わせれば何かを言える気がした。

 慰めじゃなくて、彼でも伝えられることがあった。

 ただ、それをどう伝えればいいのかわからずにいるうちに、いつの間にか、そこには誰もいなかった。

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