Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Mining district
Esteros System,Alkahera
Jade Falcon
28 June 3151
最前線の高所を陣取っていた翡翠色のバトルアーマー隊。
彼らは誘導役のホバー戦車が地表を逃げ回り、全滅するのを見届けるしかなかった。
今回の作戦は、ArrowⅣありきだった。それの誘導手段を失ったからにはさっさと撤退するのが上策。
だからこそ、アレフのFleaには逃げ道を指示した。
しかし、狙いの獲物を逃したGrasshopperは次の目標を確実にボルド達に定めていた。
ボルド達の姿を覆い隠していた木々が、Grasshopperの放つ光弾に焼かれて焦げた臭いをあげる。
対してバトルアーマー隊からは一発も撃ち返さない。
──まだだ。
部下たちを抑えて、攻撃に耐える。
目隠しに使っていた頼みの綱の木々が、何か途方もなく重いものに押しつぶされ、折れてはじけている音が聞こえる。
痺れを切らした重メックが広葉樹の森に足を踏み入れて来たのだ。
判断が早い。思い切りのいいパイロットだ。
ボルド達の狙いが時間稼ぎを含んでいることを見破ったのだろう。しかし......
ズン。と地鳴りのような音を立てて大地の一部が沈む。ドルジが仕掛けた古典的な罠だった。
Grasshopperの脚が沈み、壕の縁を崩しながらずぶりと腰まで飲まれる。ボルドは静かに唇を結んだ。見下ろせば、バランスを失った哀れな獲物が穴の底でもがいている。
ボルドがアレフのFleaを逃した直後、ドルジはバトルアーマー隊にほんの少しの移動を指示した。彼が何を狙っていたのかは、移動した先で察した。言葉を交わすまでもなかった。Grasshopperを臨む、ボルド達の視線の先にはメック壕が隠されていた。
こうなれば、主戦場は狭く深い壕の中。こちらが主導権を握ったも同然だ。
ボルドはバトルアーマー隊に撤収指示を下した。壕を制圧しきることは最初から考えていない。
時間を稼ぎ、全体の損失を最小限にとどめることこそ任だ。
元海賊の娘が期待以上に働いたらしい。メック部隊が前線を押し上げている。
戦局は持ち直した。痛み分けといったところか。
だが、壕を出たその瞬間、彼の胸に重く冷たいものが沈んだ。
一筋の閃光が、TimberWolfの頭部に突き刺さった。
瞬間、爆ぜる音と共に装甲がはじけ、視界が白く焼かれる。
コクピットのあたりから黒煙が立ちのぼる。
時も音も全てが、止まった気がした。