Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants 作:Sykyu
Mining district
Esteros System,Alkahera
Jade Falcon
20 July 3151
撃つ。渡す。また撃つ。渡す。
あたしとバヤルのミサイルリレーは、砂嵐の中でも絶好調。
KitFoxの肩に積まれた発射機が唸っている。
──行ってらっしゃい、狐矢さん。
トリガーを引いた瞬間、また背中にビリッときた。最初の一発と、まるっきり同じ感触。
バヤルが誘導を受け取ったのが感触で分かる。彼の気配が、ひんやりと背中に触れた気がして、あたしの息が浅くなる。
ゾリグが送ってきた座標へ、“狐の矢”が消えていった。
白い尾を引いて、バヤルのビーコンに吸い込まれるように。
トリガーから離した指先が、なぜか少し、熱い。
喉元に残る心地のいい発射音が、また、身体の奥をなぞっていく。
──これ、クセになりそうなんだけど。
再装填が待ちきれない。まだ撃ち足りない。
足の付け根がずっとムズムズしてる。
それなのに、Riflemanの反応がHUDから消える。
──そっか。もう終わり、か。
物足りなくて、手が伸びる。
背中に伝わる衝撃の快感が忘れられなくって、指が自然と次の目標をなぞった。
再装填の完了の振動が肩を伝う。
ランプの確認なんか要らない。
Jagermechの位置を誘導装置に送って、またトリガーを引いた。
発射の震えが痺れのようにあたしの体にも伝わってくる。
照準をバヤルのヘリに渡せば、すぐに誘導が始まる。
せっかく3度目の快感に身を震わせてるところだったのに、ふいにどこかから視線を感じた。
砂嵐の向こうから、あたしを覗き見ている鈍く光る塊がいる。
Jagermechが、こっちを見ていた。
──なに、覗き見してんのよ、変態っ!
少し恥ずかしくなって、心の中でツッコんだら、撃ってきた。容赦なく。ガチのやつ。
あたしに向かって凄い量の実弾が飛んでくる。
少し晴れた砂のスクリーンの向こう、あいつの全身が見えた。
……いや、でかすぎ。
武装、盛りすぎ。
あたしの倍はあるって、反則でしょ……。
何発も弾が当たってKitFoxが軽く揺れる。こっちは体が小さいから必死だ。
頑張って耐えたら、覗き魔はそっぽを向いて逃げ始める。
肩を撫でる感触がもう一度。
4回目のトリガーを引いて、照準をバヤルに渡す。
それだけじゃ足りない気がした。
体の疼きが収まらない。
あたしはKitFoxを急加速した。
矢を飛ばすのと同時に、地面を蹴って、覗き魔のすぐ後ろに潜り込む。
右脚で踏み込んで、そのまま勢いで逃げる背中に左脚でケリを入れる。
Kit Foxの機体が少し跳ねた。その瞬間、下から突き上げるような衝撃があたしを跳ね上げた。
撃ったときとは違う、妙な快感があたしの中に残る。
──撃った時とどっちの方がキモチ良かったかな?
……うん、もう一発。
自分の気持ちを確かめたくなって、もう一発だけ、覗き魔の脚にケリを入れた。