※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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炎雷
Ep.10_01


Mining district

Esteros System,Alkahera

Jade Falcon

30 July 3151

 

「敵司令所攻撃?」

 プリヤンカの提案に、会議室にざわめきが広がった。

 重症の指揮官を戦場に押し出して攻勢に出る。

 現実味を欠いた作戦に、慎重な意見が場の大半を占めた。

 

「賛成しかねる。」

 最初に反対の言葉を口にしたのはゾリグだった。

 彼が反対する理由は航空支援の限界時間だった。

 防衛戦と違って戦場まで移動する距離の分、気圏戦闘機が戦場に留まれる時間は減る。

 指令所が敵の滑走路に近いのであれば、彼らは迎撃機の相手もしなければならなかった。

 もしも相手を奇襲する予定ならば、警戒を避けるために、事前偵察の量も減らさなければならない。

 

「長距離行軍は......怪我に良くないかと」

 医官のシタは当然反対した。ツェレンも同様に反対する。

 ドルジの座席の両脇に控える彼女らの影響は大きく、攻勢に賛成の意見はすっかり息を潜めた。

 

 反対が出るのは承知の上だった。だが、退路なき防衛はむしろ損害が大きい。

 打って出て損害を与え、余力を残して退く。それがプリヤンカの狙いだった。

 

 それに、もう一つ理由がある。

「この司令所には、ローリング・ストーンズが駐留しています。」 

 かつて、鉱山基地を襲撃してきた傭兵団の名だった。あの時はドルジ隊との交戦で痛み分けになった。

 ルヒ軍閥と敵対する勢力に雇われており、他戦線ではメックを奪われたという傭兵団も出ていた。

 

 因縁の傭兵団の名を出せば、少しは状況が変わると思っていた。

 だが、変わらない反対の勢いに目論見が甘かったことを察する。

 アリマは唇をかすかに噛んだ。もう、一押ししないと場を押しきれない。

 

「ローリング・ストーンズはスフィア共和国と関りがある。彼らの目的は軍閥というより、私たち。」

 アリマが、プリヤンカの横から口を添えた。

 部隊内ではすでに、二人はひとつのチームとして見られていた。

「詳細な目的はわからない。でも、ツォンシャンからわざわざ追ってきたくらいだから......」

 反対意見が出るのはわかっていた。部隊の状況も理解している。

 でも、狡い言い方をすれば、彼らの反対はただの経過。

 アリマとプリヤンカが説得すればいいのは、最初からただ一人だった。

 アリマはまっすぐに、ドルジの目だけを見て言う。

「彼らとの再戦は避けられないわ。」

 

 アリマは彼の一言で、全ての反対を押し切る気だった。

 プリヤンカもそれを察したらしい。

 二人は目を合わせることなく、彼の言葉を求める。

 まだ、彼は一言も発していない。

 彼の言葉を待たず、アリマとプリヤンカの声が自然と重なった。

 

「「ご采配を。」」

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