※この作品はR-18です。

Battletech:Tales of Jade Falcon Remnants   作:Sykyu

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鍼孔
Ep.11_01


Mining district

Esteros System,Alkahera

Jade Falcon

15 August 3151

 

 エステロスを発つにあたって、いくつかまだ解決しなきゃいけない問題はあった。最難関はオスキャルの降下船が未だに現地の警察に差押えられていることだ。

 宇宙港を襲うのは論外だが、じゃあ何か交渉材料を持っているのか?と問われれば、アリマは思い当たらなかった。

 

 まだ若いプリヤンカのツテには限度がある。

 それに士官と医官の2人を奪われたアリンダムを更に強請るのは、さすがに交渉の難易度が高かった。

 それでもドルジならば押し通しそうだが、彼の圧に頼るのは参謀役として失格のような気がしてならなかった。

 

ーーそういえば、私ってどういう立場になるんだろう?

 

 プリヤンカは作戦参謀役としてドルジに同行するつもりだし、彼もそれを認めている。今まで作戦立案を担当していたアリマは自分の立場がわからなくなった。

 

 情報分析はゾリグと被るし、そもそもなぜ作戦立案役なのか...。

 そう思い悩むアリマのところに伊達男がやって来た。

「プリヤンカはいないのか?」

「私じゃ不満なわけ?」

 胸に刺さった棘を指先で弄られたような気がして、ついつい、噛みつく。

 ゾリグが複雑な表情を見せるが、彼はそのまま手にしていたパッドをアリマに見せた。

 

「トヤーと買い物に出かけているツェレンの様子がおかしい。」

 パッドに表示された地形図とその上を動く光点を指す。

「知らないかもしれないが、ツェレンは常に発信器を持たされている。」

 ツォンシャンの基地に居た頃からの習慣らしい。彼女の身に何かあればこうして、すぐに所在がわかるというわけだ。

 

 発信器はエステロスの首都を走り抜けて郊外に向かっている。彼女がどこに向かっているのかはわからないが、鉱山基地とは明らかに方向が違った。

 

 ゾリグがパッドを操作すると次はどこかの駐車場のカメラの映像が映し出される。カメラの隅にツェレン達が乗って行った車が映り込んでいた。車の中には人の姿はない。

 

 ゾリグのパッドを借りて、アリマはいくつかのコードを走らせる。流れているカメラの映像は現在の駐車場の様子。アリマが欲しいのは、もう少し前の映像だった。

 

 1時間前。

 トヤーを庇って、武装した10数人の男の前に立ち塞がるツェレンの姿を見つけた。

 銃口を前に抵抗することなく、捕らわれる彼女達の姿が流れた。

 武装した男達の姿には見覚えがあった。

 あの日、宇宙港でやり合った軍閥の鉄砲玉達だった。

 

「ゾリグ行って。」

 険しい怒りの滲む表情を見せる彼にアリマは声をかけた。

「まだ、機体はバラす前だから。管制塔はどうにかするから行って。」

 ゾリグにそう叫んで、アリマは部屋を飛び出して走り出した。

 救出するには、地理情報が必要だった。

 5番機には仕事がある。飛んでもらわなければならない。

 ゾリグが格納庫に向かって走りだす気配を感じた。

 

 とりあえず、管制塔を説得するにはプリヤンカの協力が必要だ。ツェレンの不在の今、その穴を埋められそうなのは彼女しかいない。

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